ふわふわの体に独特のきれいな毛色、シュッとした顔の「ソマリ」。どことなく野性味を感じる、とっても魅力的な猫ちゃんです。
ところで、アビシニアンに似てると思いませんか? それもそのはず、実はアビシニアンの長毛種がソマリなのです。毛色も体型もよく似ていますが、性格も似ているのでしょうか?
今回はそんなソマリの特徴や歴史を紐解きながら、ソマリの性格や飼い方、ソマリとアビシニアンの違いについて詳しく解説します。
ソマリの特徴
ソマリ(Somali)はとても美しい毛色をしていて、体を動かすたびに色が変わっているように見えます。
このような毛色の付き方を「ティッキング」といい、1本1本が4~6色の帯状に彩られています。毛先にいくほど色が濃くなっていることから、毛色が微妙に変化して見えるというわけです。
このソマリやアビシニアンならではの模様を「ティックドタビー」または「アグーティタビー」「アビシニアンタビー」といいます。じーっと見つめていると、だんだん「美味しそう……」と思ってしまうほど魅力的ですね!
毛色の呼び方
ソマリの毛色はCFAではルディ・レッド(ソレル)・フォーン・ブルーの4色、TICAではシルバーも認められています。
ルディとはオレンジブラウンにブラックやダークブラウンのティッキングがあるタイプで、アプリコットのような色味が特徴です。ソマリやアビシニアンというと、この毛色のイメージが強いかもしれませんね。
レッドまたはソレルは栗色にシナモン色のティッキング、フォーンはピンクベージュに濃い色のティッキングがあります。最近ではブルーも人気で、温かみのあるブルーグレーに濃いグレーのティッキングが特徴です。
ルーツはエジプト?
ソマリもアビシニアンも瞳の色はグリーンかゴールド。大きなアーモンドのような形で、細くて黒いアイラインの外側を明るい色のアイラインが囲んでいます。とても神秘的ですね。
このクレオパトララインといい、額にあるM字のスカラベマークといい、エジプトの壁画に描かれる猫によく似ていることから、エジプトがルーツと考えられていました。
ソマリとアビシニアンの違い
ソマリもアビシニアンも毛色や体型、性格はほぼ同じです。どちらもスレンダーでなめらかなボディラインで、つま先立ちをしているような長い足が特徴です。成猫の体重に若干の違いはあるものの、大きく異なっているのは被毛の長さだけといえます。
ソマリの歴史
ソマリのもとになったアビシニアンは、インド洋沿岸や東南アジアがルーツとされていて、最も古い猫種だと考えられています。はっきりしたことは不明ですが、イギリスで猫種として確立します。
1871年からキャットショーに登場し、1900年代前半にはアメリカでも人気の猫種となりました。
計画的にアビシニアンの繁殖が行われるなかで、ときどき長毛のアビシニアンが生まれました。短毛種のアビシニアンの突然変異だろうと思われていましたが、1963年のカナダのキャットショーでひとりの審査員がその姿に魅せられ、長毛種のアビシニアンの繁殖が始まったそうです。
その後、長毛種のアビシニアンは「ソマリ」と名付けられ、1972年にCFA(世界最大の猫種登録団体)で公認されました。ちなみに、アビシニアンという名前は「アビシニア(現在のエチオピア)」から、ソマリという名前はアビシニアの隣の国「ソマリア」からとられています。
ソマリの性格
ソマリの性格をひとことで言うと「好奇心旺盛で甘え上手な猫」です。野性味ある見た目をしていますが、穏やかで落ち着きのある猫ちゃんです。
活発で運動量が多く、とっても遊び好きですが、飼い主さんに寄り添うことが大好きなやさしい性格をしています。いつも人といたがるので、「犬のような性格をしている」といわれることもあります。
でも、さみしがりやな面もあるので、放っておかれるとストレスを溜め込んでしまうという繊細な性格でもあります。毎日、遊びやスキンシップなど猫ちゃんと向き合う時間を作るようにしましょう。
鈴を転がしたようなかわいらしい鳴き声で、飼い主さんに甘える姿はとっても愛おしいですよ。
ソマリについて知っておきたいこと
ふわふわの長毛が自慢のソマリですが、長毛種なので1日1回のブラッシングが必要です。
また、活発な猫ちゃんなのでキャットタワーなどの運動できる環境も必要になります。甘えん坊でさみしがりやという性格なので、飼い主さんに構ってもらえないとストレスを感じ、ストレス性の皮膚炎になってしまうこともあります。
ほかにもソマリがかかりやすい病気があるので、ぜひ知っておきましょう。
ソマリがかかりやすい病気
ソマリは遺伝的に「網膜萎縮」や「ピルビン酸キナーゼ欠損症」といった病気にかかりやすいといわれています。
「網膜萎縮」は目の奥の網膜が薄くなる病気で、進行すると視力障害や失明の危険があります。残念ながら具体的な治療法はなく、視力障害とうまく付き合いながら暮らしていきます。
「ピルビン酸キナーゼ欠損症」はピルビン酸キナーゼという酵素が不足することで赤血球が破壊され、貧血になる病気です。疲れやすかったり、食欲が落ちるなどの症状が見られるため、気になるときは獣医師に相談しましょう。
まとめ
動くたびに色が変化して見える美しい被毛に、神秘的なアイラインが魅力的なソマリ。飼い主さんのことが大好きで甘えん坊、構ってもらえないことがストレスに感じてしまう性格の猫ちゃんです。
アビシニアンによく似た毛色をしているのは、ソマリはアビシニアンの長毛種だから。突然変異で生まれた長毛のアビシニアンの魅力に惹かれたブリーダーの努力によって、新たな猫種として確立しています。
アビシニアンの力強くて美しいボディラインはそのままに、ふわふわの被毛をまとったソマリは世界中で人気があります。甘え上手な性格で鈴のように鳴くソマリといっしょに、猫のいる生活を楽しんでくださいね。
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