「フィラリア症」という病気をご存じですか?犬を飼っている方であれば、蚊から感染する寄生虫症であることを知っているかもしれませんが、猫飼いさんはあまりなじみのない病気かもしれません。蚊が媒介するフィラリアは、犬だけでなく猫にも寄生することがわかっています。今回は、猫のフィラリア症について解説します。
猫も蚊に刺される?刺されやすい部位と見られる症状

毛の薄い「耳・鼻・肉球」は要注意
蚊は日中の暑い時間よりも、涼しくなった朝方や夕方に出現します。網戸の隙間などからも入ってくるため、室内でも刺されてしまいます。蚊は、動物から発せられる二酸化炭素、体温、体臭に引き寄せられます。全身が被毛に覆われている猫でも、被毛が薄い耳の周辺、鼻先、肉球などは蚊に刺されるリスクがあります。
蚊に刺された時に現れる症状と応急処置
人間と同様に赤みや強いかゆみが出ます。刺された部分をしきりに足で掻いたり、頭を振るなどの症状が現れます。また、刺された部分が赤く膨れてくることもあります。
猫が痒がっている場合、容易に人用のかゆみ止めを使用しないでください。人用のかゆみ止めには、猫にとって有害な成分が含まれていることがあります。症状がひどい場合は水で冷やして動物病院を受診しましょう。
【獣医師が警告】蚊が媒介する恐ろしい「猫のフィラリア症」

猫のフィラリア症(犬糸状虫症)とは?
フィラリア(犬糸状虫)とは、蚊が媒介する寄生虫です。犬の心臓や肺の血管に寄生しますが、犬だけでなく人や猫にも寄生します。フィラリアの幼虫を持った蚊が吸血することで、動物の体内に侵入します。体内に入った時点では1mm程度の幼虫ですが、体内で成長すると10~15㎝ほどになり、心臓や肺の血管に寄生します。フィラリアにとって犬は本来の宿主であるため、多くの幼虫が成虫に成長し、心臓内でメスは子虫(ミクロフィラリア)が生み、血流に乗って体内を循環します。犬の心臓では数十~百匹ものフィラリアの成虫が寄生しますが、猫はフィラリアの宿主ではないため、ほとんど死滅します。心臓に到達するのは1~3匹程度です。
気づきにくい初期症状と「突然死」のリスク
猫がフィラリアに感染しても、ほとんどが無症状、もしくは一時的に咳が出るなどの症状が見られます。猫のフィラリア症は、フィラリアの寄生数が少ないため、検査キットなどでの検出が難しく、猫のフィラリア症は犬よりも診断が難しい疾患です。咳、嘔吐、呼吸困難(喘息のような症状)、食欲不振などから始まり、重症化すると腹水や胸水の貯留、呼吸困難などが現れ、ごくまれではありますが突然死を引き起こす恐ろしい病気です。
「完全室内飼い」でも感染のリスクがある理由
蚊は網戸の隙間からでも室内に侵入します。「うちの子は外に出ないから大丈夫」は大きな間違いです。室内飼いの猫でも、フィラリア予防薬を使用していない未予防の猫では、約10%の感染率があるというデータも出ています。
猫に人間用の虫除けはNG?アロマや蚊取り線香の危険性と注意点

一般的な蚊取り線香やワンプッシュ式スプレーは使える?
一般的な蚊取り線香やスプレーに含まれる「ピレスロイド系」の殺虫成分は、猫をはじめとする哺乳類の体内で素早く分解されるため、安全に使用できます。しかし、薬剤が直接かかったり、閉め切った部屋で使用すると、嘔吐や下痢、よだれなどの症状が出る可能性があるため、換気や使用方法に注意する必要があります。
【厳禁】猫にアロマ(精油)やハーブの虫除けが危険な理由
人間用のオーガニック虫除けスプレーによく使われるハッカ油やティーツリーなどの精油(エッセンシャルオイル)は猫にとって猛毒です。猫の肝臓には脂溶性成分を分解する「グルクロン酸抱合」という代謝機能が備わっていないため、有毒な脂溶性物質を体外に排出することができず、深刻な中毒症状を引き起こします。そのため、アロマオイルやハーブなどは使用しないようにしましょう。
【安全対策】愛猫を蚊から守る!室内飼いでも必要な予防法

確実な予防は動物病院での「フィラリア予防薬」
蚊に刺されること自体を100%防ぐのは不可能なため、月に1回の予防薬(スポットオンタイプや経口薬など)の投与が最も重要かつ安全な対策です。フィラリア予防薬は体内に入ったフィラリア幼虫を駆除するものです。診察室でよく「蚊に刺されない薬ですか?」と質問されるのですが、蚊自体を忌避するものではありません。蚊の発生時期(5月~11月)に毎月定期的に使用することで予防できます。ただし、薬の効果が1か月程度で切れるため、定期的に投与しないと予防効果は下がります。
家庭でできる物理的な蚊の侵入対策
蚊の侵入を完全に防ぐことはできませんが、対策することで侵入を少なくすることはできます。網戸の破れを補修する、玄関の出入りを素早くする、蚊が産卵する水たまり(プランターの受け皿など)を無くして蚊の発生源を断つなど、環境整備をしていきましょう。
まとめ:猫を蚊の脅威から守るため、正しい知識と予防薬の徹底を

猫のフィラリア症はあまり知られていない病気ですが、地球温暖化により今後増えてくる恐れがあると考えられています。猫のフィラリア症は、フィラリアが少数寄生するだけでも突然死に繋がることがあります。フィラリア予防薬で定期的に駆除することで予防できるため、定期的な予防薬投与を行いましょう。
アロマやハーブでの蚊の忌避は、猫にとって有害になることもあります。まずは、蚊の侵入経路をなくす環境整備を行い、人も猫も蚊に悩まされない環境作りで夏を乗り越えましょう。






請留下您對這篇文章的意見!(撰寫評論)