猫のノミ・ダニ駆除薬はどれが一番良いのか獣医師が詳しく解説

猫のノミ・ダニ駆除薬はどれが一番良いのか獣医師が詳しく解説

今年は暖冬の影響で、3月なのに汗ばむ陽気の日もありますね。

春になると、ノミやダニといった外部寄生虫が繁殖し、猫たちを悩ませる季節になります。猫を飼っている方の元に、動物病院からノミ・ダニ駆除薬のお知らせなどが届いているかもしれません。

それでは、ノミ・ダニ駆除薬はどんな物を選ぶのがよいのでしょうか?ノミ・ダニ駆除薬について詳しく解説します。

猫のノミ・ダニ駆除の必要性とは

猫のノミ・ダニ駆除の必要性

実は猫を飼っている方でも、ノミ・ダニ駆除をしたことがない方はかなりいらっしゃいます。その理由として、完全室内飼育だからノミ・ダニが寄生しないと考えているからです。外に出ないからノミ・ダニが付かないわけではありません。

ノミ・ダニは通常は草むらなどに生息しており、平均気温が13~14℃になると、活動的になり繁殖します。そして、近づいてきた動物に飛び移り吸血します。飼い主さんが草むらの近くを通ると、ノミやダニが服や鞄について室内に持ち込む危険性があるのです。一度室内に持ち込まれてしまうと、室温が安定しているため、繁殖してしまうのです。

筆者の動物病院でも、完全室内飼育猫からノミの多数寄生を経験したことがあり、飼い主さんが屋外から持ち込んだことが原因でした。

ノミ・ダニはそれ自体が問題になるだけでなく、様々な病原体を媒介します。ノミ・ダニが媒介する病気の中には、人にも感染する病気もあります。また、命に関わる病気も少なくありません。

次のような疾患がノミ・ダニによって引き起こされる病気の一例です。

  • アレルギー性皮膚炎(ノミ・ダニ)
  • 瓜実条虫症(ノミ)
  • ヘモバルトネラ症(ダニ)
  • ライム病(ダニ)
  • 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(ダニ)
  • 貧血(ノミ・ダニ)

ノミ・ダニは予防薬を使用すれば、寄生を防ぐことができ、結果として上のような病気を予防できます。そのため、完全室内飼育でも定期的なノミ・ダニ駆除が必要になります。

猫のノミ・ダニ駆除薬の種類とは

猫のノミ・ダニ駆除薬の種類

ノミ・ダニ駆除薬は様々な種類があり、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬から、動物病院のみで購入できる動物用医薬品があります。また、首輪タイプ、シャンプー、スポットタイプなど、様々なタイプがあります。

ノミ取り首輪

市販で購入でき、価格も高くありませんが、ダニには効果がありません。また、装着部が脱毛や皮膚炎を起こすことがあります。定期的に交換しないと予防効果はありません。

シャンプー

ノミ・ダニ駆除用のシャンプー剤もあります。気になった時にすぐ洗え、安価なのがメリットと言えます。しかし、猫はあまりシャンプーが好きではないため、頻繁にシャンプーをするとストレスになってしまい、シャンプーだけで駆除するのは得策とは言えません。

市販のスポット剤

スポット剤とは、液体の予防薬になり、首の付け根に垂らして使用します。価格もあまり高くはありません。飼い主さん自身が猫につけるため、うまくつけられないこともあり、確実に駆除できないことがあります。近年、ノミ・ダニの薬剤耐性が出現しており、市販薬では対処できないことがあります。また、中毒の報告も出ています。

動物病院専用スポット剤

動物病院で取り扱っているスポット剤は、ノミ・ダニだけでなくシラミにも効果があるものや、お腹の虫下し、ミミダニ駆除が可能なものなど、様々な種類があります。

さらに、犬の病気として有名なフィラリア症ですが、これは猫にもあり、数匹寄生しただけで重篤な症状が出現します。動物用医薬品では、フィラリア予防薬ができるものまであります。

月に1回使用するものや、3か月に1回のものもあります。動物病院でつけるため、確実に投与できます。薬剤耐性についても、それに対抗する新たな薬剤を使用した予防薬もあります。しかし、価格は市販薬と比べて高く、動物病院嫌いの猫にとってはストレスとなることがあります。

猫のノミ・ダニ駆除薬はどのタイプが一番良いのか?

ノミ・ダニ駆除薬はどのタイプが一番良いのか?

獣医師としての立場から申し上げると、やはり動物病院専用の動物用医薬品が一番良いと思います。

予防効果や薬剤耐性、中毒例など、製薬会社がしっかりとしたデータに基づいて開発しています。また、獣医師は飼い主さんのニーズや猫の状態に応じて薬剤をチョイスします。

確実に駆除できるものを獣医師が選択し、確実に投与してもらえるため、飼い主さんの手間が省けます。どの薬剤がいいのか分からないときは、獣医師に相談すると良いでしょう。

動物病院で投与することで予防が確実になりますし、投与の際に簡単な健康診断や爪切りなどをしてもらえる場合もあります。定期的に受診することで、病気の早期発見に繋がることもあります。

飼い主さんのメリットとしては、動物病院を身近に感じていただくことができ、気軽に相談できるかかりつけ医を見つけることができます。そのようなことからも、動物病院専用の予防薬を選ぶのがよいと思います。

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まとめ

まとめ

ノミ・ダニ駆除薬と一口に言っても、薬のタイプも購入先も様々あります。室内飼育でも、飼い主さんが持ち込むケースもあるため、定期的に駆除することが重要です。

もし、猫の体にノミやダニがついているのを見つけても、慌てて潰したり無理やり取らないようにしましょう。ノミやダニの体内の病原体を押し込むおそれがあり、ノミやダニの口が体内に残ってしまうことがあります。すぐに動物病院を受診しましょう。


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