猫ちゃんが体調を崩してしまったときだけでなく、病気予防のために投薬が必要になることがあります。
だけど、「薬だけを吐き出してしまう」「薬を嫌がって暴れる」など苦労している飼い主さんもとても多いです。猫ちゃんの健康のためにも、薬はしっかりと飲ませたいですよね。
そこで今回は猫ちゃんへの薬の飲ませ方の基本と、嫌がる場合のコツについて詳しく解説します。
猫が薬を嫌がる理由
猫ちゃんのなかには、すんなりと薬を飲んでくれる子もいます。だけど、そんなおおらかな性格の猫ちゃんはごくわずか。
ほとんどの猫ちゃんは薬を飲むのをとっても嫌がります。それにはちゃんと理由があるんです。
ニオイと味が嫌い
猫ちゃんにとって、薬は変なニオイや味のする怪しいもの。警戒心の強い猫ちゃんは、本能的に口に入れるのを嫌がります。
そして何より、猫ちゃんは「苦味」と「酸味」が大の苦手。苦みや酸味のある薬を「毒」や「腐った食べ物」と認識してしまうのです。「薬」が理解できない猫ちゃんにとって、命をおびやかす怖いものでしかありませんよね。
トラウマがある
過去に薬に対して嫌な思い出があるときも、薬の気配を察知しただけで逃げてしまいます。
猫ちゃんには薬をきちんと飲んでもらいたいですが、トラウマにならないような飲ませ方の工夫が必要ですね。
猫用の薬の種類
猫ちゃんに処方される薬は大きく分けて4タイプ。形状によって飲ませ方も異なります。
- 錠剤
- カプセル
- 粉薬
- シロップ
錠剤やカプセルは、ニオイや味がわからないようにコーティングされているものもあります。ただ、飲んだと思ってもそのまま吐き出されたり、上手に避けられてしまうこともあります。
粉薬はフードや水に混ぜやすいですが、ニオイや味ですぐにばれてしまうことも……。
シロップは飲みやすい味になっていることが多く、スポイトなどで直接飲ませることができます。ただし、シロップタイプの薬はとても少ないので、症状によっては選べないことがあります。
猫への薬の飲ませ方
薬を猫ちゃんにきちんと飲んでもらうためにも、まずは基本の飲ませ方を知っておきましょう。
錠剤・カプセルの飲ませ方
錠剤やカプセルは、そのまま口に入れて飲ませます。ごはんといっしょに吐いてしまうことがあるので、飲ませるタイミングに指定がなければ食前に飲ませるのがおすすめです。
飲ませ方の手順
- 利き手の親指と人差し指で錠剤・カプセルを持ちます。
- 反対の手で猫ちゃんの頬骨のあたりを持ち、頭をななめ上に向けます。
- 薬を持った手の中指を下あごに当てて口を開けさせます。
- そのまま薬を舌の付け根に落とします。
- 猫ちゃんの口を閉じて飲み込むのを待ちます。
- のどを上から下にやさしくさすって飲み込ませます。
飲ませるときの注意点
錠剤やカプセルを舌の上に落としてしまうと、苦みを感じてしまいます。よだれが大量に出たり、泡を吐くこともあるので、舌の付け根に静かに落とすようにしましょう。
あとでこっそり吐き出していることもあるので、薬をきちんと飲み込むまで見守るようにしましょう。シリンジなどで水を少し口に入れてあげると飲み込みやすくなります。
粉薬の飲ませ方
粉薬はウェットフードなどに混ぜて食べてもらうのがお互いに楽ですが、ニオイや味の変化を敏感に察知してしまう猫ちゃんは多いです。
特に抗生剤は苦みが強いので、とても嫌がります。決められた量をきちんと飲ませることが大切なので、確実に飲ませるようにします。水に溶かしてスポイトやシリンジで飲ませると、猫ちゃんの負担も少ないです。
飲ませ方の手順
- 粉薬をお皿に入れ、1~2ccほどの少量の水で溶かします。
- シリンジかスポイトで吸い取ります。
- 猫ちゃんの頬骨のあたりを持ち、頭をななめ上に向けます。
- 猫ちゃんの口の横、犬歯の後ろからシリンジ・スポイトの先を入れます。
- 喉に向かって少しずつ押し出します。
- 飲み込むまで上を向かせておきます。
飲ませるときの注意点
フードに混ぜて与えるときは、必ず食べきったかどうかを確認するようにしましょう。
また、市販のカプセルやオブラードに粉薬を入れて飲ませる方法もあります。獣医師に相談の上で使用するようにしましょう。
シロップの飲ませ方
シロップなどの液体薬も、スポイトやシリンジを使って飲ませます。口の中を傷つけないように注意しましょう。
飲ませ方の手順
- シロップをシリンジかスポイトで吸い取ります。
- 猫ちゃんの頬骨のあたりを持ち、頭をななめ上に向けます。
- 猫ちゃんの口の横、犬歯の後ろからシリンジ・スポイトの先を入れます。
- 喉に向かって少しずつ押し出します。
- 飲み込むまで上を向かせておきます。
猫が暴れる場合の薬の飲ませ方
薬を飲ませようとすると暴れて嫌がる……。そんな猫ちゃんに薬を飲んでもらうのは一苦労です。飼い主さんや猫ちゃんがケガをしてしまわないように、ちょっと工夫してみましょう。
2人がかりで飲ませる
ひとりが保定して、もうひとりが猫ちゃんに薬を飲ませます。猫ちゃんが後ずさりで逃げないように、股の間で猫ちゃんのおしりをしっかりと挟んでおきます。
どうしても暴れる場合は、「身体をバスタオルで包む」「首から下を洗濯ネットに入れる」など首から下の動きを制限してしまいましょう。
苦い薬はおいしいオヤツに混ぜる
苦い薬でもウェットフードやオヤツに混ぜることで、すんなり食べてくれる猫ちゃんもいます。投薬用のオヤツも市販されているのでいくつかご紹介します。
ただし、食べ物と混ぜると薬の作用が変化するものもあります。フードやオヤツに混ぜる場合は、獣医師に確認するようにしましょう。
投薬用ちゅ~る
投薬用ちゅ~るは従来のものよりも3倍の粘度があり、錠剤やカプセルを包んで飲ませるのに便利です。粉薬を混ぜて上あごに塗ると、そのまま食べてくれる猫ちゃんもいます。
投薬用ではないですが、「ちゅ~るビッツ」も便利です。なかに錠剤やカプセルを詰められるので、そのままオヤツとして与えることができます。
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メディボール
薬を包みやすい「メディボール」も人気です。味のバリエーションが多いので、猫ちゃんの好みのものを探してみましょう。
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投薬専用の道具を使う
薬を挟んで口の中に落とす「ピルガン」という動物専用の投薬機や、錠剤を細かく砕く「ピルクラッシャー」という道具も市販されています。
どれも扱い方には注意が必要なので、必ず獣医師に相談の上で使用するようにしましょう。
まとめ
猫ちゃんに薬を飲ませるのを苦手に感じる飼い主さんはとても多いです。
嫌がる猫ちゃんを見ると、ちょっと辛い気持ちになってしまいますね。猫ちゃんも、飼い主さんも、できるだけ負担を少なくできるように工夫してみましょう。
薬を飲ませる方法はいろいろありますが、コツは手早くささっと終わらせること。
あまり長引いてしまうと猫ちゃんにとってもストレスです。薬に対してトラウマを感じてしまってもいけません。どうしても飲まないときは、一旦引いてみましょう。
また、薬をきちんと飲ませることに加えて、猫ちゃんの体調や行動の変化を観察することも大切です。
ぽぽねこの『猫の健康手帳』には、投薬スケジュールはもちろん、猫ちゃんの様子も記録することができます。動物病院を受診するときにも役立つので、ぜひ活用してみてくださいね。
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