猫の殺処分の現状と課題とは

猫の殺処分の現状と課題とは

こんにちは、ぽぽねこの栗山です。最近、「保護猫」や「地域猫」という言葉がよく知られるようになりましたね。

野良猫というイメージがあるかもしれませんが、保護猫や地域猫は殺処分から守られた猫ちゃんたちなんです。

猫の殺処分数は減少傾向にありますが、それでも犬よりは多く、ゼロではない。今回は猫の殺処分の現状と課題について考えてみたいと思います。

2021年、猫の殺処分の現状

2021年、猫の殺処分の現状

猫の殺処分が年間どのくらいあるのか想像できますか? 環境省によると、2019年度の日本国内での殺処分数は犬5,635頭、猫27,108頭ということでした。

犬猫の殺処分数【2011年から2020年の推移グラフ】

犬猫の殺処分数【2011年から2020年の推移グラフ】

※出所:環境省『平成16~令和元年度の犬・猫の引取り及び処分の状況』をもとにぽぽねこが作成

 

推移グラフからもわかるように、猫の殺処分数は減少傾向にあるといえます。

年間100万頭以上の犬や猫の殺処分が行われていた1970年~1980年代と比べると、ぐっと少なくなっていますが、それでもゼロにはまだまだ遠いのが現状です。

約2割は飼い主の飼育放棄

2019年度の猫の引き取り数は53,342頭ですが、そのうちの10,403頭は飼い主が保健所や動物愛護センターに持ち込んでいます。とても悲しいことですが、約2割の猫が飼育放棄されているのです。

「飼えなくなったから」という理由で保健所や動物愛護センターに持ち込まれ、里親が見つからなければ殺処分されてしまう……。そんなことはあってはならないですね。

殺処分される猫の半数以上が子猫

猫は繁殖力の強い生き物です。年に2回以上出産することもあるため、避妊去勢手術を受けない限り、どんどん増えてしまいます。そのため、飼い猫が子猫を生んだけど飼えない、野良猫が子猫を生んで困っているなど、様々な理由から子猫が保健所や動物愛護センターに持ち込まれます。

2019年度の猫の引き取り数は53,342頭、そのうち35,777頭が子猫。殺処分された27,108頭のうち18,176匹が子猫という現実に胸が苦しくなってしまいます。子猫の殺処分が多いのは、すでに弱っている状態で持ち込まれることが多いのと、きめ細かなケアが必要だという理由があります。

まだ離乳していない月齢であれば、数時間おきにミルクをあげたり、排泄を促すなどのお世話が必要です。保健所や動物愛護センターの職員だけで管理することはとても難しく、子猫の殺処分数の割合が多くなってしまうのです。

犬よりも猫の殺処分が多い理由

狂犬病予防の観点から野犬は必ず捕獲されていたため、そもそも飼い主のいない犬の数はとても少ないです。

猫の場合は狂犬病予防法の適用外。捕獲されることなく、どんどん増えた結果、「飼い主のいない猫」の殺処分数の方が圧倒的に多くなっています。

猫の殺処分ゼロのために取り組むべき課題

猫の殺処分ゼロのために取り組むべき課題

猫の殺処分数はここ10年で大きく減少しています。それでもゼロにならないのは、猫の殺処分をめぐる課題が大きな壁となっているからです。

1.終生飼養の厳守

1.終生飼養の厳守

保健所や動物愛護センターに持ち込まれる猫の約2割は飼い主の飼育放棄によるものです。引っ越すから、懐かないから、大きくなったから。そんな無責任な理由で飼育放棄をする飼い主がいるのは大きな問題です。

2012年の動物愛護法の改正では「終生飼養の責務」が明記され、保健所や動物愛護センターでは、そのような身勝手な引き取り依頼を断れるようになっています。

ただ「かわいい」だけでは命を預かることはできません。ペットショップで気軽に買えてしまうのではなく、最期まで責任を持てる人だけが飼える制度や仕組みが必要だと考えています。

迷子対策も飼い主の責任

保健所や動物愛護センターに収容される猫のなかには、迷子になって飼い主が見つからないという猫もいます。そのような場合でも殺処分は行われてしまいます。

猫は脱走名人です。完全室内飼いだからと安心せず、猫首輪迷子札、それからマイクロチップを装着して迷子対策を万全にしておきましょう。それが「飼い猫」という証になり、捜索の手助けにもなります。

2.TNRの推進

2.TNRの推進

TNRという活動があります。野良猫に避妊去勢手術をして、元の生活場所に戻すというものです。「地域猫活動」ともいわれていますね。

TNRをすることで野良猫の過剰な繁殖を防ぐことができます。つまり、保健所や動物愛護センターに収容される子猫の数を減らすことができるのです。

TNR後の猫ちゃんは地域猫、またはさくらねこと呼ばれ、ボランティアさんに見守られて一代限りの猫生をまっとうします。発情期もなくなるので、うるさい鳴き声やケンカ、臭いオシッコなどのトラブルを無くすことができます。

TNRはぽぽねこも支援している「どうぶつ基金」など、民間団体が中心になって取り組んでいます。活動資金はボランティアさんの私財や募金。手術は活動に賛同した獣医師によって行われます。計画的にTNRを進めるには、まだまだたくさんの支援が必要なんです。

 【関連記事はこちら】

 

飼い猫の避妊去勢手術で多頭飼育崩壊を防ぐ

猫の繁殖力は強く、素人が計画的に繁殖をコントロールすることは困難です。避妊去勢手術をしないまま多頭飼育する、自由外出させると、望まない妊娠をしてしまうでしょう。

「自然のままがいい」と妊娠出産を繰り返すことで、あっという間に多頭飼育崩壊してしまうのは明らかです。発情期のストレスや病気のリスクを考えると、やっぱり避妊去勢手術をおすすめします。

3.里親を見つけて殺処分を防ぐ

3.里親を見つけて殺処分を防ぐ

保健所や動物愛護センターに収容された猫を殺処分させないためには、「里親」を見つける必要があります。

そのような取り組みを「保護猫活動」といい、収容された猫を引き取って、ボランティアさんの自宅や保護猫シェルターなどでお世話をしながら里親を募集するというものです。

もちろん、保健所や動物愛護センター主催で譲渡会も実施されています。ペットショップで買うのではなく、保護猫の里親になるという選択肢をもっと当たり前にできないか。課題は大きいです。

コロナ禍で生まれたオンライン譲渡会

コロナ禍で譲渡会が開催できないという問題があります。保護猫シェルターも満杯。新たに保護猫を受け入れることができない。とても苦しい状況です。

そんななか、対面がダメならオンラインで譲渡会をしようと、動画配信やSNSで里親募集をするアイデアが生まれています。

 【関連記事はこちら】

子猫の命を救う「ミルクボランティア」

子猫が離乳するまでお世話をして、里親を募集するボランティアをミルクボランティアといいます。子猫のお世話は大変ですが、ミルクボランティアで救われる子猫がいます。

保護猫カフェを支援する

保護猫シェルターと猫カフェを兼ねた「保護猫カフェ」というものがあります。保護猫と里親さんの出会いの場であり、保護猫のお世話をする資金を得るための場でもあります。

里親になれなくても、保護猫カフェに遊びに行くだけで殺処分を減らす手助けになります。

まとめ

まとめ

猫の殺処分をめぐる問題は、長年にわたって多くの人が取り組んできました。

終生飼養をするのはもちろん、野良猫の繁殖を防ぐこと(TNR)、保護猫の里親を探すことで成果が見え始めています。それでも、まだまだ猫の殺処分数ゼロにはまだ遠いのが現状です。

制度、資金、意識改革……。乗り越えなければならない課題も多いですが、この記事をきっかけに地域猫活動や保護猫活動について知ってもらえたらうれしいです。

 【この記事で紹介した商品】


この記事のご感想をお寄せください!(コメントを書く)

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleプライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。


RuffRuff App RuffRuff App by Tsun
RuffRuff App RuffRuff App by Tsun
ハゲにくい猫首輪に替えませんか?
獣医師が推奨

ハゲにくい猫首輪に替えませんか?

ぽぽねこ公式オンラインショップ
詳しく見る

あわせて読みたい記事

猫が首輪ハゲになる理由とは?

体に合わない首輪を着けることで、皮膚が炎症を起こしたり、首の毛が猫首輪のラインに沿ってハゲてしまう子は少なくありません。

ぶらぶらしない迷子札

首輪にはなんとか慣れても、迷子札のわずかな揺れや重み、食器にぶつかる音が苦手な子も多いようです。

わずか2グラム、だから気にならない

水に強くて軽い迷子札

脱走や災害で迷子になってしまったとき、飼い主さんの元へ帰還を助ける

伸びる素材

ウルトラストレッチ猫首輪

「ふんわり柔らか」「軽い」「伸びる」の条件にぴったりのウルトラストレッチ素材でした。

軽くて柔らかいエリザベスカラー

猫ちゃんにとってエリザベスカラーは邪魔なもの、嫌なもの。固くて重くて、周りがよく見えないこと。それが問題でした。