食べムラ、遊び食べ、吐き戻し……猫ちゃんとの暮らしに食事の悩みはつきものです。特にキャットフードの量や与え方はこれであっているのかどうか、不安に思う飼い主さんが多いようです。
「欲しがるだけあげていいの?」「本当にこれで足りているの?」と迷ってしまわないように、猫ちゃんが1日にどれだけのカロリーを必要としているのかを知っておきましょう。
1日に必要とするカロリーや適切な食事量はかんたんな計算式でわかります。猫ちゃんの健康のために、キャットフードのカロリー計算式をぜひ覚えておいてください。
1日に必要とするカロリーの計算式
1日にどのくらいの量のキャットフードをあげればよいかは、猫ちゃんの年齢や体重、飼育環境によってさまざま。もちろん、どんなキャットフードを選ぶかによっても適切な食事量は変わってきます。
まずは猫ちゃんが1日に必要とするカロリーを正しく知らなければなりません。
子猫期、成猫期、シニア期それぞれのライフステージごとに、1日に必要とするカロリー計算式を確認してみましょう。
子猫(1歳まで)のカロリー計算式
急速に成長する子猫は、成猫よりもたくさんのカロリーが必要です。
子猫は生後30日ころまでは母乳や子猫用のミルクで育ちますが、歯が生え始めたら離乳食を与えます。生後2か月ころから少しずつキャットフードに慣れさせていきます。
子猫の月齢ごとの1日に必要なカロリー数は、以下の計算式で求めることができます。1回あたりの食事量はそんなに多くないので、1日3~4回にわけて与えます。猫ちゃんの様子をよく観察し、体重測定をしながら食事量を調整していきましょう。
年齢 |
カロリー計算式 |
2か月 |
210kcal×体重(kg) |
3か月 |
200kcal×体重(kg) |
4か月 |
175kcal×体重(kg) |
6か月 |
135kcal×体重(kg) |
9か月 |
100kcal×体重(kg) |
成猫(1~7歳)のカロリー計算式
生後6か月を過ぎて体重が3kgくらになったころから、少しずつ成猫用のフードに切り替えていきます。
成猫に必要なカロリーは基本的には「80kcal×体重(kg)」の計算式で求めることができます。猫ちゃんによっては運動量が多い子、少ない子、不妊去勢手術を受けて太りやすくなる子もいるので、猫ちゃんの様子を見て調整します。
また、妊娠・授乳中の猫ちゃんは普段よりもたくさん栄養を摂らなくてはなりません。専用のフードを与えるか、獣医師に相談のうえで食事量を増やすようにしましょう。
年齢 |
カロリー計算式 |
1歳以上 |
80kcal×体重(kg) |
運動量の多い猫 |
85kcal×体重(kg) |
運動量の少ない猫 |
70kcal×体重(kg) |
シニア猫(7歳以上)のカロリー計算式
シニアの年齢になると、運動量が減ってくるため、1日に必要なカロリー数も少なくなります。
シニア期に必要なカロリーは「60kcal×体重(kg)」で求められます。猫ちゃんによっては運動量が減っても食欲が落ちない子、逆に食欲がなく食べられなくなってしまう子もいます。
猫ちゃんの様子を見ながら、食事量を調整したり、シニア用のフードを選ぶことも大切です。
年齢 |
カロリー計算式 |
7歳以上 |
60kcal×体重(kg) |
運動量の少ない猫 |
40kcal×体重(kg) |
猫の体重の測り方
日頃から愛猫の体重を把握しておくことは大切です。動物病院で測ってもらうこともできますが、自宅でも体重測定をしてみましょう。
体重が1kg未満の子猫ちゃんなら、キッチン用のスケールにかごなどを乗せて測ることもできます。
成猫の場合は猫ちゃんを抱っこして体重を測り、飼い主さんの体重を引き算するだけでOK。週に1回くらいの頻度で体重をチェックして、メモしておくようにしましょう。
キャットフードの正しい与え方
猫ちゃんのごはんは「総合栄養食」の表示があるドライフードが基本です。
総合栄養食とは猫ちゃんの健康維持に必要な栄養を摂ることができるフードのことで、総合栄養食と新鮮な水があれば生きていけるというものです。
なるべく、毎日決まった時間に食事を与えるようにしましょう。
キャットフードの与え方
上記の計算式で1日に必要とするカロリーを求めたら、キャットフードのパッケージに記載のカロリーをもとに必要量を算出します。
1日あたりの食事量
=1日あたりに必要なカロリー数÷フード○○gあたりのカロリー×○○g
例えば、100gで375 kcalのキャットフードがあったとします。
体重3kgの成猫に必要なカロリー数は240kcalなので、240kcal÷375kcal×100g=64gが1日あたりの食事量になります。これを2~3回にわけて与えるというわけです。
ウェットフードと併用するときは?
ウェットフードにも「総合栄養食」とそうでないものがあります。
総合栄養食のドライフードにウェットフードをトッピングする場合は、栄養バランスが崩れてしまわないように、「一般食」または「栄養補完食」「副食」と表示のあるものを選びます。
ウェットフードは水分が多いのでカロリーは低いです。ですが肥満を防ぐためにも、ウェットフードをトッピングした分だけドライフードの量を減らしましょう。
おやつのあげ方
猫ちゃんのおやつは1日に必要な総カロリーの20%以内が理想的です。例えば体重3kgの猫ちゃんの1日に必要なカロリーは240kcal。おやつの量は20%の48kcalまでということになります。
置餌はNG
猫ちゃんは食べムラがあったり、ダラダラ食べをする生き物です。だからといって、キャットフードを出しっぱなしにしておく「置き餌」はNGです。
ドライフードでも酸化してしまうと風味が落ちますし、いちど口をつけたものを放置すると雑菌が繁殖してしまいます。1日の摂取カロリーを管理できなくなってしまうというデメリットもあります。
少しずつ食べるタイプの猫ちゃん、気まぐれで食べるタイプの猫ちゃんでも、食事の時間を決めて30分~1時間を目安にお皿を下げるようにしましょう。飼い主さんの留守中は、自動給餌器やフードが飛び出る知育おもちゃも活用してみてくださいね。
食べすぎ・肥満に注意!
食べ終わったのに、まだフードを欲しがる食欲旺盛な猫ちゃんもいます。欲しがるままにおやつやフードを与えてしまうと肥満につながります。
肥満は糖尿病や心臓病などの病気のもとになるだけでなく、関節にも負担をかけてしまいます。1日に必要なカロリーを超えないように注意しましょう。
BCS(ボディコンディショニングスコア)
BCS(ボディコンディショニングスコア)とは見た目と脂肪の付き具合から、体型を5段階もしくは9段階で評価するものです。BCS3が標準とされているので、猫ちゃんの体型チェックの際に参考にしてみましょう。
引用:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」より |
急激なダイエットは危険
猫ちゃんがぽっちゃり気味でも急激なダイエットや空腹状態にさせるのは危険です。週に1~3%の体重減少を目標に気長にダイエットを進めましょう。
ダイエット用のキャットフードを与える、ウェットフードと併用するなど、工夫しながらダイエットをしてみましょう。本格的にダイエットが必要な場合は、必ず獣医師に相談するようにしてくださいね。
まとめ
猫ちゃんに必要な1日に必要とするカロリーは、年齢や体重によってさまざまです。運動量が多い子かどうかなど、猫ちゃんのライフスタイルによっても変わってきます。
猫ちゃんが健康で長生きするためには食事管理は必須です。肥満を防止するにはカロリー計算も必要です。だけど、大切なのはその子に合っているかどうかです。
どんなキャットフードをどのくらいの量あげればいいのか、どんな与え方がいいのか、猫ちゃんと二人三脚でいろいろ試してみてくださいね。
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