「うちの猫、ぜんぜん水を飲んでくれない……」「尿路結石や腎臓病にならないか心配」そんな悩みを抱える飼い主さんはとっても多いです。
確かに猫ちゃんはあまり水を飲みません。暑い夏はもちろん、冬でも水分補給が足りないのではないかと不安になってしまいますよね。
今回は猫ちゃんが水を飲まない理由を知って、猫ちゃんに上手に水を飲んでもらう方法を考えてみます。猫ちゃんに1日に必要な水分補給量も詳しく解説するので、猫ちゃんの健康維持に役立ててくださいね。
猫が水をあまり飲まないのはなぜ?
猫ちゃんの先祖は砂漠で暮らすリビアヤマネコといわれています。砂漠という環境ゆえに、水を飲む習慣はあまりなく、捕まえた獲物から水分補給をしていたようです。
体内の水分を失わないように、老廃物を凝縮した濃いオシッコをします。そうすることで少ない水分摂取量でも生きられるように適応したと考えられています。
現代のイエネコがあまり水を飲んでくれない理由は、そんな性質を引き継いでいるからなんです。
猫ちゃんには「喉が渇いた」という感覚があまりないと考えられています。それから、水に顔をつけることで大切な感覚器官であるヒゲが濡れるのを嫌がります。猫ちゃんが水を飲まない理由がわかれば、効果的に対策ができそうですね。
猫にとって水分補給は重要
猫ちゃんが水をあまり飲まないとはいえ、水分補給なしでは生きていけません。食べ物がなくても1か月程度は生きられますが、水がなければ1週間も生きていられないでしょう。
水分摂取量が不足すると、尿路結石、膀胱炎、腎臓病など泌尿器系の病気のリスクが高くなってしまいます。
また、脱水症状も起こりやすいです。気温が高い夏はもちろん、冬場も注意が必要です。
急に水を飲まなくなったり、逆にたくさん水を飲むようになったときは病気の前兆かもしれません。早期発見ができるように、普段から猫ちゃんの水分補給の様子やおしっこの色や量などをよく観察するようにしましょう。
猫が1日に必要な水分量
猫ちゃんは1日にどのくらいの量の水を飲めばいいのでしょうか?
猫ちゃんの体重や運動量、季節要因によって異なりますが、おおよそ以下の通りの水分補給が必要になります。
【猫が1日に必要な水分量】
体重 |
水分量 |
2kg |
140ml |
3kg |
190ml |
4kg |
240ml |
5kg |
280ml |
6kg |
320ml |
7kg |
360ml |
8kg |
400ml |
9kg |
440ml |
10kg |
470ml |
引用:環境省『飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~』
けっこう多いように感じますが、すべてを飲み水から摂る必要はありません。キャットフードからも水分補給をすることができます。
ドライフードの水分含有量は10%ほどですが、ウェットフードの水分含有量は75%ほどです。ウェットフードを併用するミックスフィーディングで、充分に水分補給をすることができます。
上手な水分補給の方法
猫ちゃんの健康のためにも、いつでも新鮮な水が飲めるようにしておくことが大切です。
だけど、水を飲む習慣がない猫ちゃんに上手に水分補給をしてもらうには、ちょっとした工夫が必要。愛猫ちゃんの水分補給量が足りていないのでは? と感じたら以下の方法を試してみましょう。
- 水飲み場を増やす
水飲み場は1か所だけでなく、猫ちゃんの通り道に複数設置しましょう。
- ミックスフィーディングをする
ドライフードだけでは水分補給ができないので、ウェットフードをトッピングします。食いつきも良くなりますし、水分補給も同時にできます。
- ウェットタイプのおやつをあげる
ちゅ~るなどのウェットタイプのおやつも上手に使って水分補給をしましょう。
- ドライフードを水やぬるま湯でふやかす
おいしいドライフードのニオイや味付きの水なら飲むという子もいます。
- 白湯やスープをあげる
冬場は水が冷たくて飲まないということもあります。飲み水を白湯にしたり、スープをドライフードにかけるのもおすすめです。
猫にミネラルウォーターはOK?
猫ちゃんに与える水は水道水や浄水が良いでしょう。人間用のミネラルウォーターはカルキ臭がしないので健康に良さそうですが、猫ちゃんには不向きな場合があります。
ミネラルウォーターにはナトリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルが多く溶け込んでいて、特に「硬水」には豊富に含まれています。猫ちゃんにとってミネラルは尿路結石のリスクをあげてしまうもの。
猫ちゃんにミネラルウォーターを与えるなら必ず「軟水」を選んでください。避難グッズとして用意したミネラルウォーターも見直してみましょう。
水飲み食器の選び方
猫ちゃんに水を飲んでもらうには、水の新鮮さ、温度、ニオイのほかにも「器」も重要です。なかなか水を飲まないときは水飲み食器を見直してみましょう。
どんな水飲み食器がいいのかは猫ちゃんのお好み次第。ステンレス製、プラスチック製、陶器製など素材にこだわりのある猫ちゃんもいます。猫ちゃんの好みを探ってみてくださいね。
- 背の高い水飲み食器
水飲み食器を背の高いものに変えただけで水を飲むようになることもあります。下を向かなくてもいいので、飲みやすいのかもしれませんね。
- 水が湧き出るタイプの自動給水器
噴水のように水が湧き出るタイプの自動給水器なら飲んでくれる、という猫ちゃんは多いです。常に水が循環し、フィルターでゴミも取り除けるので、いつでも清潔な水が飲めます。
- 水が流れ落ちるタイプの自動給水器
なぜか水道の蛇口から水を飲みたがる猫ちゃんっていますよね。汚れた水を嫌う猫ちゃんもいるので、流水を好む子も多いです。
- 浅いお皿
お皿の底をペロペロと舐めるようにして水を飲むのが好きな子もいるようです。少しの量しか入れておけないので、こまめに入れ替えるか、複数個所にお皿を置く必要があります。
まとめ
猫ちゃんには尿路結石、膀胱炎、腎臓病などの泌尿器系の病気にかかりやすいといわれています。
その原因は水分補給が足りないことにあります。猫ちゃんはもともと水を飲む習慣がありません。なので、飼い主さんが猫ちゃんの水分補給をサポートしてあげなくてはならないのです。
とはいえ、お皿に水を入れておくだけではなかなか飲んでくれません。ドライフードにウェットフードをトッピングするミックスフィーディングやウェット系のおやつを上手に使って水分補給をするようにしましょう。
水飲み食器が気に入らないということも考えられます。背の高い水飲み食器や循環型の自動給水器なども試してみてくださいね。
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