元気いっぱいの子猫ちゃんでも、まだまだ体調を崩しやすいです。抵抗力が弱いので感染症も心配ですし、下痢や嘔吐をしてしまうこともあります。
それに、猫ちゃんは「ストレス」を感じやすい生き物。身体の小さな子猫ちゃんだからこそ、ストレスにとっても敏感なのです。
子猫ちゃんがストレスを感じるのはどのようなときなのでしょうか? 今回は子猫ちゃんのストレスの原因やストレスを感じているときの行動や症状、ストレスの発散方法について詳しく解説します。
子猫のストレスの原因とは?
天真爛漫で怖いもの知らずな子猫ちゃんでも、本能的に「嫌だな」と思うことはストレスになってしまいます。
猫にとって過ごしにくい生活環境
まず最初に考えたいのは「生活環境」です。完全室内飼いの猫ちゃんにとって、過ごしやすい環境かどうかはとても重要です。
飼い主さんが快適でも、猫ちゃんにはストレスの原因になることもあります。猫ちゃんの習性をよく理解した生活環境が必要です。
大きな音が鳴っている
猫ちゃんは耳がいいので、大きな音に恐怖やストレスを感じます。とくに子猫ちゃんは、初めて接する掃除機やドライヤーの音を嫌がるかもしれません。
充分に運動できない
猫ちゃんには走り回れるスペースよりも、キャットタワーやキャットウォークなどで上下運動ができる環境が必要です。運動不足はストレスに繋がります。
ひとりで落ち着ける場所がない
猫ちゃんは狭くて暗い場所が大好き。穴に隠れて外敵から身を守っていた名残で、もぐりこめる場所は安心できるようです。ひとりでリラックスできるスペースがないと、常に緊張して落ち着かない気持ちになってしまいます。
爪とぎができない
小さな子猫ちゃんでも本能的に爪とぎをします。爪のお手入れをするという目的もありますが、爪とぎそのものがストレス解消に繋がります。
トイレが使いにくい
トイレが使いにくい、トイレが汚れている、猫砂が気に入らないなど、排泄がスムーズにできないこともストレスの原因です。
飼い主さんのスキンシップが過剰
甘えん坊の子猫ちゃんでも、一日中構っていてほしいわけではありません。遊んでほしいとき、ひとりで寝ていたいときがあります。
飼い主さんが構いすぎたり、スキンシップが過剰になってしてしまうと、子猫ちゃんも疲労やストレスを感じてしまいます。
逆に構ってもらえないことがストレスになってしまう子猫ちゃんもいます。子猫ちゃんの性格をよく観察して、ほどよい距離感で接することが大切です。
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環境の変化
子猫ちゃんは環境の変化がとても苦手です。子猫ちゃんを飼い始めて、新しい環境になれるまでは体調を崩しがちになってしまうかもしれません。
また、せっかく慣れた生活環境でも、引っ越しや模様替えで過ごす場所の雰囲気が変わるとストレスを感じてしまいます。来客、赤ちゃんが生まれた、ペットが増えたというのもストレスでしょう。
本来、猫ちゃんは縄張りから出ることを好まないので、ペットホテルに泊まる、動物病院に行くのもストレスになってしまいます。1泊~2泊程度なら、自宅でお留守番をしてもらったほうがストレスが少ないでしょう。
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子猫のストレスサインを見逃さないで!
子猫ちゃんがストレスを感じていると、行動や体調に変化が見られるようになります。ストレスサインは見逃さないようにしましょう。
子猫がストレスを感じているときの行動
ただのイタズラや問題行動だと思っても、実はストレスが原因かもしれません、
過剰グルーミングをする
猫ちゃんはストレスを感じたとき、自分を落ち着けようとグルーミング(毛づくろい)をします。ストレスの原因がなくならない限り舐め続けてしまい、出血や皮膚の炎症を起こすことも。
過剰グルーミングによる舐性皮膚炎(しせいひふえん)に悩む飼い主さんはとても多いです。
さらに強くストレスがかかると、毛をむしってハゲる、執拗に掻く、しっぽなどを噛むなど、自傷行為をしてしまう猫ちゃんもいます。
元気がない
遊ばなくなった、ずっと寝ている、爪とぎをしないなど、ストレスが原因で元気をなくしてしまうことがあります。
粗相が増える
今までトイレでおしっこやうんちができていたのに、トイレ以外の場所で粗相をしてしまうことがあります。トイレの場所や猫砂の材質が変わった、同居猫や家族が増えたことがきっかけになることが多いようです。
攻撃的になる
ストレスが原因でイライラしやすくなり、飼い主さんや同居猫に対して攻撃的になります。威嚇する、噛む、引っ掻くなどの問題行動は、強いストレスを感じていることが原因かもしれません。
急に走り回る
ストレスが溜まってうまく発散できない状態が続くと、夜中に突然走り回る、何もないのに飛びつこうとするなどの「真空行動(しんくうこうどう)」がみられます。運動不足が原因といわれています。
子猫がストレスを感じているときの症状
子猫ちゃんもストレスで食欲がなくなったり、胃腸症状を起こすことがあります。命に関わることもあるため、動物病院を受診するようにしましょう。
食欲不振
普段よりも食欲がなかったり、水を飲まないというときは、ストレスが原因かもしれません。何らかの病気の可能性もあるので、普段から食べる量や飲水量を観察するようにしましょう。
嘔吐・下痢
さらにストレスを感じると胃腸が弱って嘔吐や下痢をしてしまったり、便秘や血尿などの症状が見られることがあります。
脱毛
猫ちゃんのストレスは皮膚症状になって表れやすいです。フケが増えた、皮膚に赤みがある、抜け毛が増えたなどの症状には要注意です。
子猫のストレス解消法
ストレスの原因をすべて取り除くのは難しいかもしれませんが、うまくストレス解消できる環境を整えることはできます。完全室内飼いの猫ちゃんが上手にストレス発する方法を知っておきましょう。
上下運動ができる場所を用意する
猫ちゃんが走ったり、遊んだりできるように、最低限のスペースを確保します。
さらに運動不足解消のために、キャットタワーやキャットウォークなどを設置し、猫ちゃんが高いところへ登れるようにしましょう。
安心できる場所を作る
猫ちゃんが逃げ込めるように、狭くて暗い場所をいくつか用意してあげましょう。
キャリーバッグやクレートをリラックススペースにすることで、通院や移動時のストレス軽減にもなります。災害時には避難スペースにもなるため、普段から慣らしておくことが大切です。
食事・トイレの環境を整える
猫ちゃんが落ち着いて食事・トイレができるように、静かな場所を選ぶようにしましょう。いつでも新鮮な水が飲めるように、水飲み場は複数箇所に設置します。また、トイレも猫ちゃんの頭数分+1個があると安心です。
同居の猫ちゃんがいる場合は、猫ちゃん同士の相性を見ながら、食事やトイレの場所を離すなどの工夫もしてみてくださいね。
本能を刺激する遊びをする
猫ちゃんは狩りをして生きてきた動物なので、狩猟本能を刺激するハンティング遊びが大好きです。ねこじゃらしやひも付きのおもちゃなどを使って、毎日10~30分程度は遊んであげるようにしましょう。
ブラッシングなどでコミュニケーションを深める時間も大切です。ただし、スキンシップを嫌がる猫ちゃんもいるので、過剰に構いすぎないように注意が必要です。
また、爪とぎが自由にできるようにします。爪とぎにも猫ちゃんの好みがあるため、いくつか用意してお気に入りを見つけられるといいですね。
▼猫に快適な室内環境の例
引用:環境省『猫の適正譲渡ガイドブック 猫に快適な室内環境を用意しよう』より
まとめ
子猫ちゃんに限らず、猫ちゃんと暮らすなら生活環境を整えること、適切に接することは必須です。
のんびりしているように見える猫ちゃんでも、意外とストレスを感じやすいもの。ストレスをうまく発散できないと、問題行動や体調不良として表れます。特に子猫ちゃんはストレスの影響が大きいため、ちょっとしたストレスが病気の原因になってしまうことがあります。
ストレスから過剰グルーミングをする猫ちゃんも多く、毛をむしってハゲてしまったり、血が出るほど舐め続けて皮膚炎になってしまうことがあります。
獣医師に相談のうえ、皮膚を保護する猫服やエリザベスカラーを使いながら、ストレスの原因を取り除き、ストレスを発散できる環境を整えることが大切です。
普段から猫ちゃんの様子をしっかり観察し、飼い主さんのライフスタイルを見直すとともに、猫ちゃんにとって快適な「猫ファースト」な環境を用意してあげましょう。
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