こんにちは、ぽぽねこの栗山です。東日本大震災から10年。節目となる年に、愛猫の命を守るために「ペットと防災」について考えてみたいと思います。
第1回目のテーマは「災害へ備える」。
いつか起こる災害、愛猫といっしょに生き残るには飼い主は何を準備し、どのように備えておくべきなのでしょうか?
同行避難に備える
災害発生時は猫ちゃんといっしょの「同行避難」が推奨されています。
猫連れの避難は「自助」が基本です。自力で猫を助けて、自力で避難し、自力で身を守らなければなりません。
事前の備えがなければ猫ちゃんの安全は守れないということを覚えておいてください。
キャリーバッグに慣らす
同行避難の際は、猫ちゃんはキャリーバッグに入ってもらって移動します。避難所で猫ちゃんのとりあえずの居場所にもなるため、必ず用意しておきましょう。
とはいえ、いきなりキャリーバッグに入ってもらおうと思っても、そう上手くはいきません。普段からキャリーバッグに慣らしておくことも災害への備えなんです。
キャリーバッグを寝床にしたり、猫ちゃんがひとりになれるリラックススペースにしたり。オヤツを食べる場所にするなどの工夫をすることで移動時のストレス軽減にもなります。
避難時に猫ちゃんがキャリーバッグから飛び出さないように、ハーネスとリードをつける、扉をガムテープでふさぐ、洗濯ネットに入れるなどで対策をしましょう。
避難所・避難ルートの確認
災害時の安否確認の方法、避難先、避難ルートを家族で話し合っておいてください。近隣の避難所のペットの扱いについても確認しておくべきですね。
同行避難が推奨されているとはいえ、同じ室内で猫ちゃんといっしょに過ごせるのか、別室や屋外に隔離されるのかは避難所ごとに対応が異なります。
自治体のホームページなどで調べることもできますし、ご近所の猫仲間や獣医師から情報収集をして、猫ネットワークを作っておくのもおすすめです。
防災グッズを用意する
避難所には猫ちゃん用品の備蓄はありません。キャットフードや猫砂などの救援物資が届くまで、最短でも3日はかかります。療法食となると、もっと手に入りづらくなるでしょう。
猫ちゃんのフード類は1週間分×頭数分が必要です。キャットフードや水には消費期限があるため、ローリングストック方式で常に消費期限内のものがストックされているようにします。
また、多くの避難所にはペット用のケージは用意されていません。猫ちゃんが自由にトイレや運動ができるように、ポップアップ式の簡易ケージも用意できるといいですね。
【猫連れ避難に必須の持ち物】
- ドライフード
- 療法食・薬
- 水(軟水)
- 食器類
- キャリーバッグ
- 簡易トイレ・ペットシーツ
- 猫砂
- ハーネス・リード
- 猫の健康手帳(猫ちゃんの写真、ワクチン接種歴、持病、既往歴などを記入)
【できれば持っていきたい物】
- ケージまたは簡易ケージ
- ウェットフード・おやつ
- タオル
- ブラシ
- おもちゃ
- 段ボール
- 新聞紙、ウェットティッシュ、消臭スプレー、粘着クリーナーなど
避難訓練
猫ちゃんの防災グッズが用意できたら、かばんにまとめて玄関の近くなどの持ち出しやすい場所に置いておきます。
それから、猫ちゃん用の防災グッズと猫ちゃんの入ったキャリーバッグを実際に持ってみることも忘れずに。人間用の防災グッズもプラスして、避難時に運べるかどうか避難ルートを歩いて避難訓練をしてみましょう。
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避難所暮らしに備える
災害時は同行避難が推奨されていますが、避難所でペットと同室で生活できる「同伴避難」ができるとは限りません。
多くの避難所ではペットは別室、もしくは駐輪場などの屋外にケージを置いて生活することになります。
たくさんの猫ちゃんが集まるので、基本的なしつけができている、ケージに入ることを嫌がらない、感染症対策をしていることは必須条件ですね。
ケージに慣らす
ケージのなかでもパニックにならず、トイレもきちんとできるように、普段からケージ生活に慣らしておく必要があります。新たにポップアップ式の簡易ケージを購入した際は、必ず事前に猫ちゃんに使ってもらいましょう。
ワクチン接種・ノミダニ対策
完全室内飼いの猫ちゃんでもワクチン接種・ノミダニ対策は必須です。なかには人間にも感染する病気があるため、ワクチン接種・ノミダニ対策をしていることが避難所への入所条件としているケースもあります。
猫用ハーネスに慣らす
避難所生活中に猫ちゃんに運動をさせたい、トイレをさせたいというとき、ハーネスとリードがあると脱走を防止できます。普段からハーネスとリードに慣らし、ごはんやトイレ、運動ができるようにトレーニングしておきましょう。
また、いきなりの避難所生活でパニックにならないように、ときどきハーネスとリードをつけて散歩をしてみるのもおすすめです。
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避妊去勢手術
オスの猫ちゃんの尿スプレーやケンカ、発情期の鳴き声などはトラブルのもと。避難所生活を想定すると、避妊去勢手術をしたほうがメリットが大きいです。
東日本大震災では放浪状態になった猫ちゃん、わんちゃんが爆発的に繁殖したことが確認されています。不幸な子猫、子犬を増やさないためにも、避妊去勢手術を受けるようにしましょう。
年に1回は健康診断を
特に持病がなくても、年に1回は健康診断を受けてください。災害時に猫ちゃんが体調を崩したとき、普段の健康状態がわかるデータがあると診断に役立ちます。
猫ちゃんに持病がある場合は、かかりつけ医に常備薬や緊急時の対応について相談しておくといいですね。
脱走・迷子に備える
地震や緊急速報アラームに驚いて、家を飛び出してしまう猫ちゃんは少なくありません。割れた窓や壊れたドアから外に出てしまうことも考えられます。
東日本大震災でも多くのペットが飼い主さんと離ればなれになり、再会が困難な状況でした。その原因のひとつに「所有者の明示がなかった」ことが上げられています。
離ればなれになったペットと再会するには、「マイクロチップ」「迷子札」で飼い主を明示し、さらに自分の猫だと証明できなければなりません。
マイクロチップは必須
マイクロチップには飼い主の情報などが記録されており、専用の注射器で皮下に埋め込むため、災害時でも脱落することがありません。
猫ちゃんが動物愛護センターや動物病院で保護されたとき、マイクロチップを読み取ることで所有者がわかります。災害時は飼い主さんの居場所がわからず、連絡が取りづらい状況かもしれませんが、猫ちゃんとの再会の確率がぐんと上がることは間違いありません。
猫首輪+迷子札に慣らす
ぱっと見で飼い猫とわかるように「猫首輪+迷子札」を着けましょう。猫首輪が目印となって、目撃情報を集める際にも役立ちます。
万が一の脱走の備えにもなるため、マイクロチップと併用して着けてほしいと思っています。
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猫の飼い主の証明
震災時に保護されたペットは、保健所や動物愛護センター、ボランティアの尽力によって飼い主さんの元へと戻されます。
そんなとき、猫ちゃんの予防接種履歴などが記入された「猫の健康手帳」や「猫と飼い主さんがいっしょに写った写真」などがあると、スムーズに飼い主であることが証明できます。
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人とペットの災害対策ガイドライン
2011年の東日本大震災では、「ペットといっしょに避難できない」という問題がありました。同行避難について知る飼い主さんが少なく、また、ペットの受け入れ体制の整った避難所が少なかったのです。
それから、迷子になったわんちゃんや猫ちゃんを保護しても、迷子札やマイクロチップが装着されておらず、飼い主の特定ができないという問題もありました。
愛犬や愛猫を必死に探す飼い主さんを報じるニュースを見るたびに心が痛みました。
2011年の東日本大震災、そして2016年の熊本地震で明らかになった「ペットの防災」についての課題を解決するために、環境省が『人とペットの災害対策ガイドライン』をまとめています。
普段の備え、災害時の行動などが詳しくまとめられているので、家族全員にぜひ一読してもらうようにしましょう。
まとめ
ペットの命を守るなら、飼い主さんが無事でいなければなりません。そのためにも、家具の固定や防災備蓄品のチェックなどの基本的な災害対策は必須です。
地震などの災害はいつ起こるかわかりません。どんなに備えていても、いざというときはパニックになってしまうかもしれません。私も冷静に行動できる自信がありません。
だけど、飼い主さんの不安や焦りは猫ちゃんにも伝わるものです。
落ち着いて行動できるように、日頃から非常時のシミュレーションや避難訓練をしておくことも忘れてはなりません。
そして、「同行避難」「避難所暮らし」「脱走・迷子対策」に必要な備えは、災害が起こらなくても猫ちゃんの身を守るために必要なことです。いまいちど、猫ちゃんの防災対策を見直してみましょう。
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