はじめましての方も、はじめましてじゃない方もこんにちは。
猫狂でミニマリストの阪口ゆうこです。
春ですね。
桜が咲いたかと思えば、気温が乱高下し、「落ち着け、春」と言いたくなる今日この頃。
うちにも落ち着かない存在がいます。そう、猫たちです。
今日も「メシ」と「遊べ」を交互に訴えています。
うちの猫はNOシャー猫
うちの猫たちは、基本的におだやかです。
来客にも強いし、掃除機にも慣れています。
気に入らないことがあっても、「察して」の顔だけで済ませる。
つまり、NOシャー猫。生涯無言の構えです。
白猫は膝の上で喉をゴロゴロ鳴らして寝ています。
黒猫は陽が当たるあたたかな窓辺で、ゆったりとパトロール。
猫たちはマイペースかつピースフルな暮らしをしています。

テレビとかメディアでよく見る「シャー」を乱発する猫ちゃんとはほど遠い。
そう思って平和ボケしていたのですが、先日ついにその「日」が来たのです。
家の前で電気工事が始まった、あの日。
ブォォォォンと、地鳴りのような重機音がする中、黒猫が静かに窓際に立ちました。
そして次の瞬間。
「シャーーーーッ!!」
まさかのサプライズシャー。
口を大きく開け、鼻にこれでもかとシワを寄せ、牙をむいて吠えるガチ威嚇でした。
シャー猫、ここに爆誕。
しかし、腰は引けてましたね。飼い主は見た。
猫のシャーの正体は?
猫の「シャー」は、怒りじゃなくて、拒絶や警戒の気持ちの表れ。
しっぽを膨らませたり、毛を逆立てたりすることもあり、「来るなよ?ほんとに来るなよ?」という時に出すそうです。

とくに、警戒している相手や物(うちの場合は重機)に対して発動されることが多く、
いわば「近づくと火傷するぜ!」という、猫なりの強めのアピールなのです。
じゃあ、なんで「シャー」って音になるの?と思って調べてみたら、これがまた面白かった。
諸説ある中で有力なのが、「蛇のマネ」説です。
猫の祖先は砂漠で暮らしていたと言われていて、その環境では毒蛇が天敵だったそうです。
蛇は「シューッ」と威嚇音を出す。
だから猫は、蛇の音を真似して「わたしも毒あるかもよ?」と見せかけるため、「シャー」と鳴くようになったのでは…という説。
生きるって、戦略だな。そう思いました。
そして「シャー」だけじゃなくて、他にも猫の声には種類があるそうです。

- シャー:敵意や拒絶のサイン。喉の奥から出る音。
- ウー:低いうねり声。不満や警戒心MAX。
- キー!:金切り声。不安や恐怖、激痛など、緊急事態レベル。
-
ワーオ!アオー!:甲高くて意味不明に聞こえる絶叫。主にパニック時。
感情の豊かさがすごいです。
そして、覚えられない。

今回の場合でいうと、「来るなよ!?近づいたらやるからな!?」という、猫なりの最終警告。つまり、あれは虚勢だったと思います。
小さな体でなんとか気持ちを保つための、勇気の音。
言うなれば、中学生男子が「来いやコラ!」と拳をプルプル震わせながら言ってる状態ですね。
実際に来られたら謝り倒すけど、ここは一発言っとくしかない。みたいな。

この日、黒猫がシャーした相手は、窓の外にいた重機でした。
人を乗せて、ミョーンって首が伸びるタイプの電気工事の働く車です。
猫からしたら、急にトランスフォームしたので驚いたのかもしれません。
彼はたぶん、こう思ったのです。
「あれ、生きとるな」と。

サイズ的に、明らかに自分よりでかいし、しかも大きな音を立てて形が変わる。
これは絶対、生きてる。たぶんラスボス。
その判断のもとの「シャー」なのです。
飼い主としては言いたい。
お前はがんばった。ほんとうに。
記念すべき「初シャー記念日」
あまりのレアさに、わたしはそっとスマホを構え、動画を撮影しました。
記録して、家族LINEに貼り付けて「初シャーでました」と丁寧にご報告。
すると、その日の晩ごはんの話題は「シャー」一色になりました。
「前、近所のおじさんにしてたよ」と娘。
「半年くらい前、カラスにもやってた」と夫。
「あーそうだったね。見た見た」と息子。
ちょっと待て。
全員、見たことあるんかい。

まさかの展開に震えが止まりませんでした。
わたし以外、全員「シャー目撃者」で、わたしだけが「未シャー」だったのです。
でも、初シャーが私の目の前で炸裂したことにより、我が家では「シャーの目撃数=信頼度」みたいな謎指標が生まれつつあります。
みんな、我が家の絶滅危惧アクションの「シャー」に、一種の希少価値を感じているみたいです。
これだけ盛り上がったのだから、これからも家族が「シャー」を目撃した時は、記録しておいてくれそうです。
そして私自身も気づいた。
猫の威嚇ひとつで、食卓が1時間も盛り上がる家庭って、けっこう幸せなのでは?と。
黒猫の威嚇、わたしの春。
その日以来、黒猫はまたピースフルモードに戻りました。
あれから「シャー」は出ていませんが、わたしはあの瞬間を忘れません。
腰が引けていても、声だけは一人前だった彼の勇姿。
この春、うちの黒猫はひとつ成長したのかもしれないし、わたしは「シャー」の真意にようやく触れられた気がします。

猫ってすごい。
怖がってるときも、ちゃんと伝えてくる。
「来るなよ!?来たらやるからな!?」という、その叫びにこそ、信頼や感情が込められているのです。
春の風にのって、「シャー」は響いた。
たった一度のその音で、我が家の空気が、ちょっとだけあたたかくなった気がしています。
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