猫は肉食動物であり、肉類から必要な栄養素を摂っています。そのため、動物性タンパク質を喜んで食べます。しかし、生クリームなどが入っている人間のデザートを欲しがったり、食べられてしまった経験がある方もいるかもしれません。
今回は、猫の味覚について解説します。
味覚を感じる仕組み

人や猫の舌には、味を感じる味蕾(みらい)にある受容体があります。味蕾の受容体に味の成分の化学物質が結合すると、味蕾から出ている味覚神経を通じてその情報が脳に伝えられ、味を感じます。
動物の種類により味蕾の数は異なります。また受容体の違いにより、感じられる味が違います。そのため、舌の場所によって感じられる味は違います。例えば、塩味は舌の先、酸味は舌の側面に近い部分、苦味は舌の奥の方に受容体が集中しています。
猫はどんな味を感じるの?

口に入った食べ物は、舌にある味蕾で味を感じ、その情報が脳に伝わることで味を認識しています。人は「甘味」「酸味」「旨味」「苦味」「塩味」の5種類を感じ取ります。猫は人と比較すると味蕾細胞の数が10分の1と少なくなっています。人の味蕾の数は約7,000ほどに対し、猫は約500と非常に少ないことがわかります。また、感じられる味も少なくなっています。
猫の味覚はおいしさを感じるというより、命を守るためのセンサーとしての役割が強くなっています。
酸味
猫は獲物を狩り、その肉を食べます。肉は腐敗してくると酸味を帯びてきます。猫が酸味を感じるのは、腐敗した肉を食べないように備わったものであり、猫は酸味を帯びた物を非常に苦手とします。また、柑橘系などの酸味も苦手としています。
しかし、酸味の中でも、ある種の酸味は猫が好むようで、嗜好性が上がるとの報告がされています。猫が好む酸味についてはまだはっきりとわかっていないようです。
今まで食べていたフードを急に食べなくなった場合、もしかするとフードの袋を開封してから時間が経って劣化しているかもしれません。
苦味
毒や腐敗したものには苦味があるため、猫は苦味に対し非常に敏感です。身を守るために苦味を感じるようになっています。
旨味
旨味成分であるアミノ酸は肉類に含まれています。猫の味蕾には旨味を感じる受容体があり、旨味には敏感と考えられています。
塩味
猫は塩味には鈍感で、高濃度の塩分にならないと反応しないようです。
尿路結石や膀胱炎のフードは、他のフードと比較すると塩分濃度がやや高く設定されており、嗜好性を上げるとともに水分摂取量を上げる役割を果たしています。
塩味に対しては鈍感なため、あえて塩分を多くしてしまうと心臓や腎臓に悪影響を及ぼしてしまいます。人の食事は塩分が多いため、絶対に与えないようにしましょう。
甘味
猫は甘味を感じる味覚の受容体が機能していないため、甘味を感じません。糖分を用意しても興味を示さない傾向にあります。
しかし、猫は人が食べている洋菓子などを欲しがったりすることがあります。それは糖分を感じているのではなく、動物性タンパクに反応しています。人の食べ物は猫にとって魅力的ですが、糖分、塩分、脂肪分が非常に多く含まれています。与えてしまうと、肥満の原因になり、糖尿病、腎臓病、尿石症など様々な疾患の原因につながるので、絶対に与えないようにしましょう。
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猫は味がわかるの?

前述しましたが、猫の味覚は酸味、苦味、旨味には敏感ですが、塩味はあまり感じず、甘味に関してはまったく感じません。猫の味覚からすると、おいしいかどうかよりも食べても問題がないかを判断しています。
おいしさは味覚だけでなく、においから感じる嗅覚も重要です。猫の嗅覚は人よりもかなり敏感で高度に発達しています。においを感じる嗅覚細胞が集まった場所を嗅覚上皮と言いますが、人では約3〜4cm²であるのに対し、猫は約21㎝²と非常に大きくなっています。猫は口の中の味覚だけでなく、嗅覚からも食べ物がおいしいかを判断していると言えるでしょう。
猫は水の味の違いがわかる

猫の味覚は、人よりも敏感ではありませんが、水に対しては敏感のようです。猫によっては、給水機やウォーターボールの注がれた水をそのまま飲む猫もいれば、蛇口から出た水、お風呂場の水、少し時間を置いた水など特定の水を好む猫も多くいます。詳しくはわかっていませんが、水の新鮮さやpH値、成分などから味の違いを感じているようです。
まとめ

猫の味覚について解説しました。猫の味覚は味を楽しむというより、食べて問題ないかを判断するセンサーの役割が強く出ています。猫は腐った食べ物を避けようとするため、今まで喜んで食べたフードを食べなくなった原因の一つに、フードの劣化があるかもしれません。フードは開封してから1か月程度で使い切りましょう。
人間の食べ物は猫にとって魅力的な味がするようです。初めて食べた猫は、目を輝かせて食べることでしょう。しかし、人間の食事は塩分や脂肪分、糖分が非常に多く含まれ、猫にとって悪影響となってしまいます。
新鮮なキャットフードと、猫が好む水を十分に用意することが大切です。
「猫は甘味を感じない」といいますが、我が家の猫は感じているのではないか、と思うことがあります。
というのも、バターや卵とは無縁の水羊羹、練羊羹、小豆餡、蜂蜜など、私や母が食べていると、蜜だけでも舐めようと必死なのです。
身近な人が食べているものが気になって仕方がない、ということはよくありますが、その場合は匂いを嗅いでおしまいです。
ところが、羊羹や餡、蜂蜜については、匂いを嗅いでそっぽを向くのではなく、どうにかして口にしようとするのです。
小豆の匂いに惹かれるのかなと思い、何度か試しに茹でた小豆を出してみたものの、匂いを嗅ぐだけでそっぽを向き、興味すら示しません。
ところが、水羊羹やあんころ餅などについては、どうにかしてお相伴に預かろうと必死になるのです。
こちらから与えることはありませんが、油断すると空いたお皿を舐めていることすらあるのです。
お腹がすいていても、食べたいものとそうでないものは、はっきり区別があるようなので、どう考えても甘味を感じているとしか思えないのですが…
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