猫の里親の条件とは?飼育環境や費用など迎える準備を解説

保護猫の里親の条件とは?飼育環境や費用など迎える準備を獣医師が解説

 猫を飼いたいと思ったときに、まずどこから入手するか考えると思います。

ペットショップ、ブリーダー、愛護センター、保護施設など、お迎え先はいくつもあります。

近年、保護猫ブームにより、保護猫の里親になりたい方が増えています。

保護猫に興味があるけど、猫を初めて飼うのは難しくない?そう思われる方も多いと思います。

そこで、猫の里親になるために必要な条件や飼育環境、費用面について解説していきたいと思います。

保護猫とは

保護猫とは 

保護猫という言葉をよく聞くと思いますが、まず保護猫について知っておきましょう。

文字通り「保護された猫」です。

ノラ猫、捨て猫、様々な理由で飼育できなくなった猫を、愛護センターや保護ボランティアの施設などで保護し、新しい家族に出会えるのを待っています。

保護猫たちは過酷な環境で病気やけがをしていたり、飼育放棄、虐待にあっていることも少なくありません。保護猫たちは体にも心にも傷を負っていることがあります。

さらに、保護されても新しい家族が見つからなかった場合、殺処分の対象になることもあります。

保護猫を飼うのに必要な条件

保護猫を飼うのに必要な条件

「猫を飼う=猫の命を守る」といっても過言ではありません。

ただ「かわいい」「飼ってみたい」「保護猫を飼う自分ってすごいかも」など、中途半端な気持ちで飼ってはいけません。

猫を飼うのに必要な条件とはどんなものでしょう?

猫を飼える住宅に住んでいること

これは絶対条件です。

ペット不可の物件で隠れてペットを飼育して、トラブルになったケースが多々あります。

ペット可の賃貸でも「猫不可」のところがありますので、きちんと確認しましょう。

終生飼育・完全室内飼育をすること

猫の平均寿命は15年です。良質な食事や医療の発達により、猫の寿命はどんどん延びています。

10年以上にわたって食事、トイレの世話、健康管理などが必要になります。そのため、猫の一生を養うのに必要な経済力が求められます。

もし引っ越しの必要があっても、転居先に猫を連れて行けるように猫飼育可の住宅を探さなければなりません。それができないのであれば、新しい飼い主を見つけるなど、飼い主としての責任を果たしましょう。

また、保護猫を引き取る際、完全室内飼育を求められることがほとんどです。

猫が外に出てしまうと交通事故に遭ってしまう可能性があります。

近隣に糞尿をしてしまい、トラブルになるケースもあります。

ノミやダニをつけてきて、家に持ち込まれることもあります。ノミやダニから、猫だけでなく人にも感染する病気もあります。

もし避妊去勢手術をしていなければ、望まぬ妊娠や発情行動によるトラブルが起こります。

責任をしっかりともち、終生飼育・完全室内飼育することが大切です。

家族全員が猫の里親になることに賛成であること

家族全員が保護猫を受け入れたいという気持ちがあってこそ、猫は幸せになります。

家族のうち誰か一人でも反対していると、万が一の時に保護施設に戻されるかもしれません。

家族全員で保護猫をお迎えしてあげましょう。

飼い主が長期間家を空けない

飼い主が留守がちになる環境での飼育はお勧めできません。

思わぬ事故に遭ったり、猫も退屈して問題行動(過剰な毛づくろい、自傷行動)を起こす可能性があります。

猫は縄張り意識が強い動物ですが、飼い主と遊ぶことも大好きです。留守にする場合、キャットタワーなどで上下運動ができるように環境を整えましょう。遊ぶ時はたくさん遊び相手になってあげることで、猫からも信頼されるようになります。

保護猫を飼うのに適した飼育環境

猫を飼育してよい物件であることが大前提です。

保護猫は屋外で過ごした時間が長いため、外に逃げ出す可能性もあります。逃走を防ぐために、ペットゲートを設置したり、ベランダに出れなくする工夫が必要です。

また、猫が遊んで事故になりうるものや、猫にとって毒となるものはあらかじめ片づけておきましょう。

猫の里親になる条件でも書きましたが、飼い主が留守がちになる環境での飼育はお勧めできません。

猫のお迎えするのに必要な費用

猫のお迎えするのに必要な費用

猫の里親になる意志が固まったら、次はお迎えする準備をしましょう。飼い始めに必要な物と費用について説明します。

 内容 費用の目安 説明
キャットフード 500円~ 「総合栄養食」と書いてあるものを選びましょう。総合栄養食は、そのフードと水だけあれば生きていけるフードです。
猫用トイレ+トイレ砂 1,000~3,000円

トイレは箱型のものから蓋つきのものなどがあります。砂の種類は紙や鉱物など様々であり、粒の形も小さいものから大きいものまで様々です。猫の好みや掃除のしやすさによって変えましょう。

爪とぎ 1,000~2,000円 麻ひもタイプや段ボールタイプなどがあり、床に置くものや立てて使用するものなど様々です。爪とぎは、爪のケアだけでなく、ストレス発散、自分のにおい付けをするのに必要です。
キャリーバッグ 3,000円~ 動物病院や移動の際に必要です。肩掛けタイプやリュック型などがあります。使いやすさや猫の入れやすさで選びましょう。
フードボール、ウォーターボール 1,000円~x2個 ステンレス製の物が一般的ですが、陶器製やプラスチック製などがあります。猫の好みによって変えてあげましょう。フードボール等を置く高さを少し上げた方が猫にとって楽なので、台などを用意するとよいでしょう。
ブラシ 1,000円~ 短毛種でも長毛種でもブラッシングは必要です。ラバータイプ、獣毛ブラシ、スリッカータイプなどがあります。
おもちゃ 500円~ 猫じゃらしが一般的ですが、様々なおもちゃがあります。
紐がついたおもちゃや動物の皮を使用したおもちゃは、飲み込む事故につながります。著者自身、過去に何度もこの事故の診察、治療を経験しています。必ず一緒に遊び、遊び終わったら片づけるようにしましょう。

ケージ

10,000円~ 留守番や来客の際に入れておいたり、猫の逃げ場としてあるとよいでしょう。2段、3段など上下運動できるものがおすすめです。
キャットタワー 10,000円~ 猫は上下運動をします。運動不足解消のためにもあるとよいでしょう。棚を階段状に設置したり、自宅にある家具を利用してもいいです。

ここまでが飼い始めに必要な物になります。すべて揃えると3万円ほどになりますが、ケージやキャットタワーは落ち着いてから購入してもよいでしょう。

猫の一生にかかる費用

猫の一生にかかる費用

あるペット保険会社の年間支出調査では、猫にかかる年間費用の総額が約16万円(1か月当たり約13,000円)でした。

猫の平均寿命の15年間、この費用がかかるとして、猫の生涯にかかる費用は約240万円になります。

猫の一生を支えるのは、それなりに費用がかかります。

では、猫の一生にかかる費用にはどんなものがあるか見てみましょう。

フード代

フードの種類や療法食によっても値段は違います。一番お金がかかる部分と言えます。

トイレ用品

トイレ砂は消耗品です。定期的に購入が必要です。

光熱費

夏は冷房、冬は暖房が必要です。

医療費

けがや病気の治療費以外にも、ワクチンやノミ・ダニ駆除の予防費用が定期的にかかります。

避妊去勢手術をしていなければ、その費用も必要です。

フード代の次に多い部分となります。

ペットホテル

飼い主が長時間家を空けるときに利用します。

防災用品

いつ何時何が起こるかわかりません。避難が必要になった時の備えは必要です。

まとめ

まとめ

猫の里親の条件や、飼育環境や費用について解説しました。

内容としてはかなりシビアかと思います。

しかし里親になるには、これらをすべて理解し条件をクリアする覚悟が必要なのです。条件を一つでも満たさなかったり、不安が払拭されないのであれば、諦めることも必要です。

保護猫は、保護される前につらい思いをしてきた子がほとんどです。

もし中途半端な気持ちで保護猫を飼い始め、どうしても飼えない状況になってしまったら、保護施設に戻されるだけでなく、最悪の場合、殺処分というもっとつらい未来が待っています。

一時的な気持ちに流されず、しっかり保護猫のことを考えてから里親になる決断をしましょう。


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