仏壇の花や供え物、線香などに猫が手を出して困ったことはありませんか?
実は、猫が仏壇にいたずらする行動には明確な理由があります。叱るだけでは解決せず、環境づくりや猫の心理理解が大切です。この記事では、猫が仏壇にいたずらする原因と、やめさせるための安全な対策を獣医師が詳しく解説します。
猫が仏壇にいたずらする理由

好奇心や匂いへの反応
猫はおもちゃとそうでないものの区別はできません。特に猫は好奇心が旺盛で、興味を持ったものには手を出してしまいます。仏壇には普段見慣れないものや花、お供え物など、猫の好奇心がくすぐられるものが並んでいます。それにより、仏壇でいたずらをしてしまうと考えられます。
飼い主が触るものへの興味
猫は飼い主さんが触っているものは安全だと認識します。そして、それをもらえたり、遊んでもらえるかもと期待します。飼い主さんが大事そうにお手入れしている仏壇は、猫にとっておもちゃ箱のような存在なのです。
高い場所に上がりたいという本能
仏壇は少し高くなっており、猫が入り込めるスペースもあります。猫は上下運動をする動物で、普段の遊びや警戒、危険回避のために高いところに上ります。猫にとって仏壇は、他の家具と変わらないものです。「他の家具の上に乗ってもいいけど仏壇はだめ」は、猫にはまったく理解できません。
お供え物(花・果物・お菓子など)の匂いに引き寄せられる
仏壇には花、果物、お菓子などのお供え物が置いてあります。お供え物の匂いはフードと異なるため、自分が食べていい物なのか確認しようとして、仏壇に上ってしまいます。食べられそうであれば、そのまま食べてしまうこともあります。
猫が仏壇にいたずらすると危険な理由
線香やロウソクの火による火傷・火災の危険

仏壇には線香やロウソクなど、火がついているものがお供えされていると思います。猫が仏壇に上ったときに、誤ってそれらに触れてしまったり倒してしまったりすると、火傷や火災の原因にもなり得ます。
花瓶を倒して水をこぼす、感電リスクなどの事故
仏壇には電球がついているものもあったり、ロウソクも電球タイプのものもあります。仏壇に花がお供えされている場合、猫が倒してしまうかもしれません。コンセントが濡れてしまうと、感電のリスクや火災の原因にもなります。
お供え物を食べてしまうことによる中毒・誤飲
お供え物は人の食べ物を供えるのが一般的だと思います。まんじゅうや落雁、故人が好きだったものがお供えされると思います。猫がお供え物を食べてしまうこともあり、中には中毒を起こしてしまうものもあります。
例えば、ブドウは急性腎障害を引き起こして、最悪の場合死に至ります。また、おせんべいなどは塩分濃度が高く、心臓や腎臓に負担をかけます。お供えの花も注意が必要です。特にユリは猫にとって毒性が強く、すべてに毒があります。花だけでなく花粉を舐めてしまったり、茎を噛んだりしても中毒を引き起こします。また、ユリを花瓶に挿していた場合、猫にとって有毒な物質が水の中に溶けているため、万が一舐めてしまうと中毒を起こしてしまいます。
お供え物は通常、包装がされていると思いますが、その包装ごと食べてしまうこともあり、思わぬ誤食事故に繋がることもあります。
猫が仏壇にいたずらしないようにする方法

仏壇を猫の入れない部屋に設置する
仏壇のある部屋は猫が入れないようにするのがよいでしょう。もしリビングなどに設置してあり、猫が入れるのであれば、普段から仏壇の扉を閉めておいたり、お供え物をすぐ下げたりするようにしましょう。
線香やロウソクは使用時のみ点けて消す習慣を
線香やロウソクの火をつけっぱなしにすると、猫がいなくても何かの拍子に火災に繋がる恐れがあります。普段からお参りが済んだら、火を消す習慣をつけるようにしましょう。
お供え物は香りの強い花や食べ物を避ける
強いにおいの花や食べ物に猫が興味を持ってしまうかもしれません。好奇心から仏壇に近づいて、お供え物にいたずらしてしまうかもしれません。お供えものは、なるべく早く下げたり、においがあまり出ないものを選ぶようにしましょう。
いたずら防止に柑橘系スプレーや猫避けマットを活用
いたずら防止グッズとして、猫が苦手な柑橘系スプレーや、突起のついた猫避けマットなどがあります。しかし、これらはすぐに猫が慣れてしまったり、猫にとってあまりよくない成分がふくまれていることがあるため、極力使用しない方がよいでしょう。仏壇は、物理的にいたずらできないような対策が一番です。
猫と仏壇が共存できる環境づくり

猫が安心できる代わりの居場所(高い棚やタワー)を作る
猫に、仏壇よりも楽しい物があることを教えてあげましょう。キャットタワーや棚を組み合わせて階段状にすると、猫は喜んでくれます。外が見えるようにしてあげると、仏壇よりも興味を持ってくれるでしょう。
仏壇のある部屋で遊びやスキンシップを控える
仏壇のある部屋で遊んだりスキンシップをすると、「この部屋は楽しい場所」と認識してしまい、仏壇もおもちゃの一部になりかねません。仏壇のない部屋でスキンシップを取るようにしましょう。
猫が落ち着ける香りやリラックス空間を用意
猫が仏間や仏壇のあるエリアに入らなくてもいいように、普段猫が過ごしているスペースを快適にしましょう。キャットタワーなどを設置するだけでなく、猫が休んだり隠れたりできるスペースも必要です。自分の匂いや飼い主さんの匂いのついた物を置いておくと、猫も安心できます。
まとめ|猫の安全と心を守る仏壇対策

仏壇は猫にとって、知らない物がたくさんあるので好奇心をくすぐる場所になってしまいます。猫はいたずらしたあとに怒っても理解できず、いたずらを繰り返してしまいます。いたずらさせないために、仏壇に近づけさせないような工夫が必要です。仏壇で遊ばなくても猫が満足できる空間を作ってあげましょう。
|
【関連記事】 |






この記事のご感想をお寄せください!(コメントを書く)