猫を飼っている人の中には、猫が脱走してしまったという経験を持っている人も少なくないと思います。猫は自分の顔が通る幅であれば、すり抜けることができてしまいます。
今回は猫の脱走防止について解説します。
猫が脱走する理由とそのリスク

猫はちょっとした隙間や不注意から脱走してしまいます。猫が脱走する理由とリスクについて説明します。
脱走の原因となる行動と心理
猫の祖先はリビアヤマネコと考えられ、砂漠で生活をしていました。猫が人間と生活するようになったのは、約5000年前の古代エジプト文明のころと考えられています(近年では、約9500年前とも言われています)。犬は約3万年前と考えられ、人間との生活はまだまだ浅いものです。そのため、野生時代の名残が残っており、外への興味が強く残っています。
また、狩りをする動物なので、窓から見える鳥の姿に本能が刺激されます。家の中にいると本能が満たされないため、外に出たい欲求が強くなると考えられています。特に、外での生活を経験した猫は、外に出たがる傾向があります。
去勢・避妊手術をしていない猫の場合、出会いを求めて外に行きたがります。
猫の脱走の原因の多くが、外への興味や本能が満たされない欲求不満によるものが多いとされています。
外出による危険性とリスク
外に出てしまうと、交通事故や他の猫とのけんかによる感染症のリスク、ノミやダニの寄生などのリスクがあります。また、猫はテリトリー意識が強いため、うっかり他の猫のテリトリーに入ってしまうと追いかけまわされ、迷子になってしまいます。イエネコは外を知らないため、一度外に出てしまうと帰るすべを知りません。
去勢・避妊手術をしていない猫では、望まない妊娠をしてしまったり、発情期でけんかをしてしまい、大きなけがや猫エイズ、猫白血病にかかってしまうこともあります。
脱走を防ぐための基本的な考え方
脱走を防ぐには、脱走する経路を塞ぐことが基本的な考え方です。猫が脱走する場所は、玄関、勝手口、窓です。まず、これらを絶対閉めるように心がける必要があります。窓を網戸にしている人もいますが、猫の爪で簡単に破れたり、引っ掛けて網戸を開けてしまいます。窓ガラスを閉めるようにし、鍵をかけましょう。高いところにある窓でも猫は登れてしまうので、開けっ放しにするのは危険です。玄関のところに脱走防止柵を付けるのもよいでしょう。そして、扉を開け閉めするときは、猫がいないかを確認してから行いましょう。猫はちょっとした隙をついて出てしまいますよ。
脱走を防ぐための家庭内対策

ドアや窓の安全対策方法
ドアや窓からの脱走を防ぐアイテムは様々販売されています。窓や玄関のドアなどに設置する柵が主流です。選ぶポイントは、床から天井までカバーされていることです。腰くらいまでの高さのベビーゲートは飛び越えられますし、天井部分が少し空いているものだとそこから脱走してしまいます。
柵を付けているから安全ではなく、窓には鍵をかけるようにしましょう。開かないようにストッパーをつけるとさらに効果的です。ドアを開け閉めするときは猫がいないことを確認したり、猫が出ないようにガードしながら行うとよいでしょう。
玄関までついてくる猫もいると思いますが、玄関が開いた瞬間に脱走することがあります。玄関まで来れないように柵を設置したり、猫が生活するスペースで過ごしてもらうようにしましょう。
ベランダや庭の安全確保
ベランダや庭は完全に外になるため、絶対に出さないことが重要です。外の刺激を覚えてしまうと、猫は外に行きたい衝動が強くなります。さらに、ベランダや庭にはノミやダニなどもいます。野生動物が出る地域では、他の寄生虫症や様々な感染症のリスクがあります。
ベランダは高さがあります。そのため、落下の危険性もあります。また、庭は道路につながっているため、交通事故の危険があります。絶対に出さないように、玄関の手前に脱走防止策を設けたり、ベランダにネットを張るなどの対策が必要です。
脱走防止グッズの選び方と活用法

脱走防止グッズは様々あります。ホームセンターでも販売されていたり、ネットでも販売されています。100均で材料を購入することもでき、DIYが得意な人は挑戦してもよいかもしれません。
効果的な脱走防止グッズの種類
ドアや窓は後付けの柵が主流です。床から天井までカバーができるものを選ぶとよいでしょう。購入する前に高さを測り、それに合うものを購入するようにしましょう。できればホームセンターなどで実際に目で見てから購入すると、失敗が少ないと思います。ドア付近に設置するものの場合、飼い主さんが出れなくなることもあるため、出入口がついているものが便利かもしれません。
窓を開けてしまう猫の場合、防犯用グッズでも代用できます。窓ガラスや網戸のストッパーを設置すると、猫が脱走しない幅でしか開かなくなります。鍵をかけ忘れた場合でも、ストッパーをしてあれば脱走を防げます。
ドアノブを回せる猫もいます。その場合は、ドアノブ自体を交換したり、ドアノブストッパーを設置するとよいでしょう。
ベランダに出てしまう猫の場合は、落下防止ネットをベランダ全体に張り巡らしましょう。なるべく網目が細かく、猫の頭が通らないものがよいでしょう。
安全性と使いやすさのポイント
これらの脱走防止グッズは、絶対脱走を防げるものではないことを頭に入れておくことが大切です。設置の仕方が間違っていると、倒れてしまったりしてケガの原因にもなりますし、その隙に脱走してしまうかもしれません。正しく設置することが大切です。また、ある程度飼い主さんの生活が不便になることも考えておかないといけません。なので、購入する際にストレスが少ないものを選ぶとよいでしょう。
猫が満足する室内環境の作り方

脱走を防ぐためには、猫のストレスを発散してあげることが大切です。
キャットタワーやおもちゃで遊びを提供
猫は上下運動をする動物です。キャットタワーや家具を登れるようにすると、上下運動することができます。また、15分の遊びを1日2、3回行うと猫の運動不足解消につながります。おもちゃで遊ぶときは、飼い主さんも一緒に遊んであげてください。
窓際の快適なスペース作り
外に出られなくても、窓から外を見ることでストレス発散できることがあります。窓の近くにキャットタワーを置いたりするとよいでしょう。出窓があるのであれば、猫ベッドを置いてもいいかもしれません。
ただし、絶対に窓を開けられないように対策する必要があります。
ストレスを軽減するための工夫
猫は運動不足だったり、本能が満たされないとストレスが溜まります。本能を満たすような遊びを取り入れるとよいでしょう。狩猟本能を満たすために、フードを投げて取りに行かせたり、知育玩具の中におやつを入れて頭を使わせたり、おやつを隠して探させるなどをすると、狩猟本能が満たされるようです。
脱走してしまった時の対策と対処法

もし脱走してしまった場合、焦らず落ち着いて対応することが大切です。
脱走後にすべき初期対応
もし脱走してしまった場合、慌てて追いかけると逃げてしまう可能性があります。そのまま、交通事故に遭ってしまうこともあり得ます。まず、好きなおやつ、タオル、ケージを持って家の周りを探します。落ち着いて名前を呼びかけましょう。猫は狭いところに入り込みます。車庫や車の下など、入り込める場所を重点的に探しましょう。
捜索方法と周囲への呼びかけ
迷子情報のチラシを作ることも大切です。猫の写真(全身)、名前、性別、特徴や身に着けているもの、いなくなった場所、飼い主さんの連絡先などを掲載して、近所にお知らせしましょう。
関係機関に連絡することも必要です。警察と管轄保健所(愛護センター)に連絡しましょう。近くの動物病院に運ばれることもあるため、動物病院にチラシの掲載を依頼するのもよいでしょう。
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マイクロチップや迷子札の重要性
マイクロチップは、その猫の登録番号が入っているチップです。マイクロチップが入っていれば、猫が保護された場合、飼い主さんに連絡が行きます。マイクロチップにはGPSがついていません。専用の読み取り機で番号を読み取り、マイクロチップの番号を管理している機関に問い合わせて、そちらから連絡が行く仕組みになっています。そのため、飼い主さんは連絡を待たなければなりません。マイクロチップは迷子札と違って脱落する心配がなく、個人情報が漏れる可能性も低いです。
迷子札は首輪に連絡先をつけておくことができます。見つけた人が直接連絡をくれる可能性があるため、早ければすぐに連絡があるかもしれません。ただし、猫の首輪は事故防止のため外れやすくなっています。首輪だけが見つかることも少なくありません。
マイクロチップと迷子札の両方があるとよいでしょう。
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まとめ

猫は本能やストレスから、脱走してしまうことがあります。脱走防止の対策をしっかり行った上で、猫のストレス解消に努めましょう。去勢・避妊手術が済んでいないのであれば、発情期が来る前に手術することも脱走防止につながります。
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