成猫やシニア猫の里親になるときに注意すべきことを獣医師が詳しく解説

成猫やシニア猫の里親になるときに注意すべきことを獣医師が詳しく解説

猫をお迎えする時、子猫ではなく成猫やシニア猫とご縁があることもあります。成猫やシニア猫のほとんどが、保護施設や譲渡施設などから家族になりますが、成猫やシニア猫を受け入れるにはそれなりに覚悟がいるものです。

今回は、成猫やシニア猫の里親になる時に注意すべきことについて解説します。

成猫やシニア猫に出会うには

成猫やシニア猫に出会うには

成猫やシニア猫は、ペットショップなどに流通することはまずありません。現在、成猫やシニア猫は愛護センターやシェルターなどの保護施設、譲渡施設で家族を待っています。そのような施設にいる猫たちは、一般家庭で飼えなくなった、多頭飼育崩壊で保護された、繁殖施設から保護されたなど、様々な過去を持っています。

そのような猫たちが、施設で治療を受けたり、人馴れトレーニングを受けたりして、譲渡会に臨みます。筆者自身も愛護センターの譲渡会に参加したことがありますが、子猫ではなく成猫やシニア猫のみが譲渡対象となっていました。成猫やシニア猫には、子猫特有のかわいさがないため、やはりなかなか譲渡成立には至らないのが現状です。

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成猫やシニア猫を飼うときの注意点

成猫やシニア猫を飼うときの注意点

保護猫ブームで、猫を迎え入れる選択肢に成猫やシニア猫が入っていることはとても喜ばしいことです。しかし、成猫やシニア猫を飼うには覚悟と金銭的余裕が必要です。成猫やシニア猫を飼うときの注意点について説明します。

人馴れしにくい

いくら保護施設などで人馴れトレーニングをしているとはいえ、どの猫も人懐っこくなるわけではありません。保護猫たちは野生の過酷な環境で生活をしていたり、人から虐待されていた可能性もあります。そのため、人を敵と思っている猫もおり、人に対して強い警戒心を持っている可能性が十分にあります。大人の猫はおだやかで、のんびりとした生活を送っているイメージがあるかと思います。しかし、膝の上でゴロゴロする猫を想像してお迎えすると、毎日痛い猫パンチを食らってしまうかもしれません。

年齢が分かりにくい

ペットショップなどで購入した子猫であれば、生年月日が分かっているため年齢が分かりますが、保護された猫の場合、はっきりとした年齢は分かりません。子猫の状態で保護された猫であれば、乳歯や永久歯の状態からおおよその月齢が推測できます。しかし、成猫以上では、永久歯の色や摩耗具合、外観、被毛の状態などから推測しますが、ざっくりとした年齢でしか分かりません。幼く見えても、すでにシニア期ということも中にはあります。

ファミリー層には向かない

成猫でも2、3歳のまだ若い成猫であればよいのですが、5、6歳などシニアに近い成猫や7歳以上のシニア猫は、小さいお子様がいるご家庭には向きません。小さいお子様の場合、猫をおもちゃにしてしまうことがあります。どの年齢の猫にも言えることですが、猫にとってはストレスとなってしまいます。特にシニア猫にとっては、かなり強いストレスとなってしまい、体調を崩すこともあります。お子様から猫を離すなどの対策が必要です。

1頭だけで飼うのが望ましい

猫も成猫になると、新しい環境になじむのに時間がかかります。先住猫がいた場合、関係がうまく築けないことがあります。そうなると、お互いにストレスとなります。できれば、1頭だけで飼うのが良いでしょう。

治療が必要なケガや病気の可能性がある

保護された成猫やシニア猫は、過酷な生活環境で生きていた可能性があります。そのため、猫風邪をひいていたり、猫エイズや猫白血病にかかっていることもよくあります。また、事故などで治療が必要なケガをしていたり、後遺症が残っている可能性もあります。特にシニア猫の場合、すでに慢性腎臓病を患っていることもあり、飼い始めてすぐから動物病院に通院しなくてはならないこともあります。成猫以上の猫の疾患は慢性疾患であることが多く、継続的に通院が必要です。成猫やシニア猫の里親になる方の多くが、ペット保険に加入していません。飼い始めて間もないうちから高額の医療費がかかる可能性があります。

介護や看取りを考える必要がある

成猫やシニア猫の場合、近い将来に介護や看取りが来ます。最近の猫の平均寿命は延びていて、約15歳と言われています。シニア猫の場合、里親になった年齢によっても異なりますが、早ければ2、3年で介護が必要な状態になることもあります。長く一緒にいてほしいと願うかもしれませんが、元気でいられる時間は長くはありません。

覚悟と経済的余裕が必要

成猫やシニア猫の場合、先にも述べたように性格面や健康面で分からないことが多くあります。保護施設の猫の里親になりたい方の中には、「保護猫を飼っている自分ってすごい」「いいことをしている」など、人より優位に立ちたい気持ちを持っていることは少なくありません。そのような方たちは、猫の飼育方法を調べなかったり、どれくらいお金がかかるかなどを考えていないことがほとんどです。診察室でよくある会話ですが、里親になった猫に病気が発覚した場合、「そんなにお金がかかるのか」と治療を受けさせないことはよくあります。また、猫が慣れてくれないからと、保護施設に返そうとすることもあるようです。

成猫やシニア猫の里親には、猫と向き合う覚悟と経済的余裕は、絶対に必要です。

まとめ

まとめ

成猫やシニア猫の里親になるときの注意点を解説しました。成猫やシニア猫は、それまでたくさんつらい思いをしてきた猫たちが多いと思います。もし、成猫やシニア猫を迎えたいと考えている方は、「この子だけを最期まで面倒見るんだ」という強い意志を持って、おうちに迎えてあげてくださいね。


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