【獣医師が解説】ベンガルがかかりやすい病気、ピルビン酸キナーゼ欠損症やベンガル網膜症、ストレス性疾患など

【獣医師が解説】ベンガルがかかりやすい病気、ピルビン酸キナーゼ欠損症やベンガル網膜症、ストレス性疾患など

ベンガルはヒョウを思わせるような特徴的な模様が人気の猫種です。その歴史はまだ浅いのですが、野生のベンガルヤマネコとの交配で誕生しました。病気になりにくい性質を持っていますが、いくつかなりやすい病気が明らかになっています。

今回はベンガルがかかりやすい病気について解説します。

ベンガルの特徴と健康上の注意点

ベンガルの特徴と健康上の注意点

ベンガルの基本情報

ベンガルは、野生のベンガルヤマネコ(アジアンレパード)と短毛種のイエネコを交配して作られた品種です。1963年にアメリカで交配が始められ、ベンガルが誕生しました。ベンガルヤマネコには猫白血病に対して先天的な免疫が備わっており、猫白血病ワクチンの開発のために、ヤマネコとイエネコとを交配されたのが、ベンガルの始まりとされています国際猫協会に認定されたのは1991年で、とても新しい猫種です。

野生種との交配のため、運動能力が高く好奇心も旺盛ですが、人にもよく甘え、よく鳴きます。野生のベンガルヤマネコは水をあまり怖がることがなく、ベンガルにもその性質が受け継がれているようです。

体型は、頭が小さく細長い体をしていますが、筋肉質な体をしています。毛は短く、ヒョウなどに見られる斑点模様が特徴的です。

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健康上の注意点

野生種との交配のため、猫白血病に対し先天的に免疫が備わっているだけでなく、様々な病気に対しても強いと考えられています。ベンガルは筋肉質で運動量が多い猫です。そのため、運動不足になると肥満になり、様々な病気の原因になる可能性があります。

ベンガルがかかりやすい病気一覧

ベンガルがかかりやすい病気一覧

ベンガルは比較的病気になりにくい猫種ですが、遺伝性疾患もいくつか確認されています。生活習慣やストレスで病気にかかることの方が多いようです。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

近年、ベンガルでも確認されるようになった遺伝性疾患です。ピルビン酸キナーゼ欠損症とは、生まれつきピルビン酸キナーゼという酵素が欠損しているため、赤血球の寿命が短くなり、貧血を起こします。若いうちから慢性的な貧血を繰り返し、輸血が必要になることがあります。

遺伝子疾患のため治療法や予防法はなく、貧血に対して輸血を行う対症療法のみとなります。この病気の遺伝子を持つ猫同士の交配は避けることが重要です。

ベンガル網膜症

ベンガル網膜症は、ベンガルのみに発症する眼の病気です。

生後2か月ころから、眼の奥にある網膜の光受容体に変性が起こり、徐々に視力を失う病気です。1歳ごろまでに完全に視力を失う可能性があります。

視力を失うとよく物にぶつかるようになるため、危険なものやケガの原因になるものは片づけるようにしましょう。ケージの中で生活してもらうなど、行動を制限する必要もあるかもしれません。

この病気は遺伝性に発生するため、有効な治療法や予防法はありません。この病気の猫は繁殖させないようにする必要があります。

胸郭の変形

生まれつき胸の形が変形することにより、呼吸が苦しくなることがあります。

胸の真ん中にある胸骨の一部がめり込む漏斗胸、肋骨の形成異常、側弯症などの変形が起こることがあります。

基本的には経過観察ですが、重度の呼吸障害がある場合は外科手術が必要になることもあります。

ストレスによる疾患

ベンガルは運動量が多いため、運動不足になるとストレスが溜まり、健康障害が起こることがあります。主なものとして、ストレスによる異常行動や特発性膀胱炎を起こすことがあります。

ストレスによる異常行動は、ストレスが溜まり過ぎることで過度なグルーミングや攻撃、やたらと鳴くなどの行動が起こります。まずスキンシップについて見直してもらい、ストレスが解消されると症状は治まりますが、あまりにも症状がひどい場合は向精神薬などを使用することがあります。

特発性膀胱炎は、原因がわからない膀胱炎のことを差し、猫の膀胱炎の約半分は特発性膀胱炎です。はっきりとした原因はわかっていないのですが、ストレスが大きな要因となっていると考えられています。特発性膀胱炎用の療法食を使用したり、精神を落ち着かせるサプリを使用することが治療のメインとなりますが、日常的に遊びを増やしてもらうなどのストレス発散の対策も必要になります。

病気の早期発見と対応方法

病気の早期発見と対応方法

ベンガルは基本的には病気になりにくい猫種です。しかし、遺伝的な疾患やストレスによる疾患は起こり得ます。遺伝性の病気の場合は、残念ながら治療法がないものが多いのですが、それ以外の病気は早期発見により完治や進行を緩やかにすることはできます。病気の早期発見に重要なポイントをまとめました。

定期的な診察や健康診断を行う

猫の動物病院を受診するきっかけとして多いものは、ワクチンなどの予防、体調を崩した場合がほとんどであり、健康診断での受診はあまり多くないのが現状です。しかし、健康診断で偶然病気が見つかることはよくあります。ベンガルの遺伝性疾患は幼いうちから症状が出現することがありますが、飼い主さんが症状に気づいていないことも多くあります。飼育を初めてから定期的に動物病院を受診することにより、早い段階で異常を見つけることができます。また、ちょっとした異常でも動物病院に相談していただくことも重要です。

症状を見逃さないためのチェックリスト

症状は病気によっても異なりますが、病院を受診するタイミングとなる主な症状についてまとめました。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 動きたがらない
  • 遊びをすぐやめる
  • 物によくぶつかる
  • トイレに頻回に行く、行っても出ない、血尿をする
  • 異常に毛づくろいをする、性格がきつくなる

これらの症状が出た時には、病気が進行していることも少なくありません。なので、少しでもおかしいなと感じたら、受診のタイミングです。そして、何よりも定期的な健康診断が重要です。

日常のケアでベンガルの健康を維持する方法

日常のケアでベンガルの健康を維持する方法

ベンガルを飼育する上で、日常ケアはとても大切なものです。日常ケアについて説明します。

運動量を確保する

ベンガルは野生的なので、多くの運動量が求められます。飼い主さんとの遊びやキャットタワーなどを使った運動によって、ストレス発散をする必要があります。しっかり運動することで野生の本能を満たしてあげましょう。

フードを投げて取りに行かせたり、フードを隠して探させるなど、ご飯タイムに一工夫することでも運動量の確保と本能を満たしてあげられますよ。

ブラッシングなどのケアを行う

ベンガルは短毛種なので、こまめにブラッシングを行う必要はありませんが、1日1回はブラッシングをしましょう。皮膚や被毛をきれいに保つだけでなく、スキンシップにつながります。また、皮膚や関節の異常にも気づくことができます。

適正な体重を保つ

ベンガルは細身ではありますが、運動不足により肥満体型になってしまう可能性があります。肥満になると膀胱炎のリスクがあがるだけでなく、様々な疾患の原因になってしまいます。フードの量をあげすぎないように調整し、定期的に動物病院で体重を測ってもらい、適正な体重かを診断してもらいましょう。

まとめ

まとめ

ベンガルは比較的病気になりにくい猫ではありますが、予防法や治療法がない病気も存在しています。なるべく早い段階で病気を見つけ、進行を緩やかにしていくことが重要になります。病気の早期診断には、定期的に病院を受診したり、健康診断を受けることが大切です。

また、ストレスを貯めると病気につながることもあります。一緒に遊んだりすることでストレス発散に努めましょう。

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