猫ちゃんとの暮らしで気になることのひとつに「発情期」があります。
いつ頃から発情期が始まるのか、発情期にはどんな行動をするのか、わからなくて不安を感じる飼い主さんも多いと思います。
今回は猫ちゃんの発情期に注意すべきことや問題行動の対処方法について考えてみましょう。あわせて不妊去勢手術の基礎知識についてもわかりやすく解説します。
猫の発情期が始まるのはいつごろから?
猫ちゃんの発情期とは、異性の猫ちゃんを求めて繁殖行動をする時期のことをいいます。子孫を残したいという本能からくる行動ですね。
猫ちゃんは季節繁殖動物といって、1年のうちで繁殖する季節が決まっています。 わんちゃんのように、生理(ヒート)はありません。決まった周期で排卵するのではなく、交尾の刺激によって排卵するメカニズムなのです。
繁殖の季節がやってくると、メスの猫ちゃんが発情期を迎えます。発情期特有のうなるような鳴き声やフェロモンに刺激され、オスの猫ちゃんが発情します。
では、発情期はいつから始まるのでしょうか? 猫ちゃんが初めて発情期を迎える年齢と、発情する季節について知っておきましょう。
初めての発情期は何歳くらいから?
メスの猫ちゃんは生後6~8か月頃、オスの猫ちゃんは生後7~12か月頃に最初の発情期を迎えます。まだまだ子猫と思っていても、猫ちゃんの身体はしっかり成熟しているんですね。
ただし、生まれた季節や環境によっては、もっと早く発情期が始まることもあります。逆にもっと遅い子もいるなど、個体差がとっても大きいです。
猫の発情期はいつ?
猫ちゃんの発情期は1年に2回、春(2~4月)と夏(6~8月)が恋の季節です。
猫ちゃんの妊娠期間は約2か月間なので、暖かくて子育てがしやすい季節がちょうど出産シーズンになります。冬でも温かい地域では、1年に3回の発情期があることも。
猫の発情期の期間は?
メスの猫ちゃんの本格的な発情期は1~2週間ほど続きます。発情期に交尾をしなかった場合、交尾をしたけど妊娠しなかった場合は、1~3週間で再び発情します。
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発情期になるとどんな行動をする?
発情期になると、発情期特有の行動が始まります。
メスの猫ちゃん、オスの猫ちゃんそれぞれで発情期の行動は違います。発情期にはどんな行動をするのか知っておきましょう。
メスの猫ちゃんの発情期の特徴
メスの猫ちゃんは「発情前期」→「発情期」→「発情後期」→「発情休止期」の発情周期が繰り返されます。
・発情前期
発情前期はだんだん行動が活発になってきます。おしっこの回数が増えたり、飼い主さんに過剰に甘えるようになります。この期間はおよそ1週間くらいです。
・発情期
本格的に発情が始まり、交尾を受け入れる準備ができる時期です。そのサインとして、オスの猫ちゃんを呼ぶ行動が始まります。
- 「ナオ~ン」「ギャオ~ン」などうるさく鳴く
- あちこちに尿スプレーをしてオスの猫ちゃんにアピールする
- お尻を高く持ち上げてロードシスという姿勢になる
- 床に転がって腰をくねくねさせる
- 外へ脱走しようとする
など、発情期特有の行動が4日~2週間ほど続きます。
・発情後期
発情期の問題行動が少しずつ減っていきます。
・発情休止期
問題行動も収まり、オスの猫ちゃんに興味を示さなくなります。
発情前期から発情後期の間に交尾をしなかったり、交尾をしても妊娠していない場合は、1~3週間ほどでまた発情期が始まります。
オスの猫ちゃんの発情期の特徴
オスの猫ちゃんには、決まった発情周期はありません。メスの猫ちゃんの鳴き声やフェロモンに反応して発情します。
- 落ち着きがなくなる
- 吠えるように鳴いて、自分の居場所を知らせる
- 尿スプレーで縄張りをアピールする
- 攻撃的になる
- 外へ脱走しようとする
など、問題行動が見られるようになります。
発情期の問題行動の対処法は?
一晩中鳴き続けたり、攻撃的になったり、脱走しようとしたり……。猫ちゃんの本能からくる行動とはいえ、飼い主さんにとっては何とかやめさせたい問題行動ですね。
だけど、叱ったり、大きな音で驚かせたりしても効果はありません。余計にストレスを感じさせてしまうだけなのでやめましょう。
また、発情期を早く終わらせようと、メスの猫ちゃんの陰部を綿棒で刺激する方法もおすすめしません。不衛生な上に危険です。
発情期は自然と落ち着くのを待つしかありません。しかし、少しでも猫ちゃんと飼い主さんのストレスを減らす方法はあります。
たくさん遊ぶ
発情期はイライラしたり、落ち着かない気持ちになっています。ストレスを発散するためにも、日中にたくさん遊ぶようにしましょう。
爪とぎを増やす、新しいおもちゃを増やすなど、猫ちゃんの気持ちにとことん寄り添ってあげることが大事です。
ただし、マタタビ入りのおもちゃはNGです。興奮しすぎて攻撃的になってしまうので、発情期中には与えないようにしましょう。
外を見せないようにする
完全室内飼育の猫ちゃんにも発情期はやってきます。外の猫の鳴き声やフェロモンに反応してしまうので、窓は開けないようにします。
厚手のカーテンや段ボールで窓を塞いでおけば、さらに効果的です。
尿スプレー対策をする
あちこちに尿スプレーをされるのも困りものなので、マーキングしそうな場所にペットシートを貼っておくと掃除がしやすくなります。
キツイ尿臭がつくのも防げますし、同居の猫ちゃんを刺激してしまうことも防げます。
脱走対策はしっかりと
発情期中は衝動的に外に出てしまうこともあります。戸締まりを徹底することはもちろん、普段以上に脱走対策をするようにしましょう。
万が一の場合に備えて、猫首輪と迷子札を着けておきます。マイクロチップも入れておくと安心ですね。
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不妊去勢手術をしたほうがよい?
猫ちゃんにとって発情はストレスを感じるものです。情緒不安定で落ち着かない気持ちで過ごすのは辛いですね……。
また、猫ちゃんはとても繁殖力が強いです。生後半年で成熟し、1年で2回も妊娠可能なことから、子猫が増えすぎて飼いきれないという「多頭飼育崩壊」の心配もあります。
繁殖を計画していないのなら、不妊去勢猫手術を受けるメリットは大きいです。
不妊去勢手術を受けるメリット
不妊去勢手術を受けることで、発情期の問題行動を減らすことができます。さらに、以下のようなホルモンに関わる病気を予防できることもメリットです。
- 乳がん
- 卵巣がん
- 精巣がん
- 子宮蓄膿症
- 前立腺肥大
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不妊去勢手術を受けるデメリット
手術は全身麻酔を使用して行うため、猫ちゃんの身体に負担がかかってしまいます。そのため、猫ちゃんの健康状態や年齢によっては、不妊去勢手術が受けられないこともあります。
また、手術そのものは数十分で終わりますが、やはり猫ちゃんの身体には負担がかかってしまいます。
ほかにも、ホルモンバランスが変化することで食欲が増し、肥満になりやすくなってしまうというリスクもあります。
不妊去勢手術の費用
不妊去勢手術にはペット保険が適用されません。
手術費用は動物病院によっても異なりますが、オスの猫ちゃんなら1~2万円、メスの猫ちゃんなら3~4万円ほどかかります。
このほかにもエリザベスカラーや術後服が必要になる場合もあります。
まとめ
どんなに大人しい猫ちゃんでも、発情期には普段とは違う声で鳴いたり、攻撃的になってしまいます。
発情期は不妊去勢手術をしない限り、生涯続くものです。繁殖の計画がないのであれば、最初の発情期を迎える前に不妊去勢手術を受けることをおすすめします。
かかりつけの獣医師によく相談してみましょう。
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