猫が日当たりが良い場所で寛いでいる姿を見たことがあるのではないのでしょうか?
人間も適度に日に当たると気持ちがよいと思います。猫も同じで、日光浴には体を温める以外にも様々なメリットがあります。今回は猫の日光浴について解説します。
猫が日光浴をするメリット

日光浴には、体を温める以外に様々なメリットがあります。
セロトニンの分泌
セロトニンは脳内で分泌される神経伝達物質で、精神の安定に関わり、「幸せホルモン」とも呼ばれています。また、睡眠と深く関わり、眠りが深くなるとされています。日光浴でセロトニンの分泌が増えると、猫のストレス緩和に役立つと考えられています。
皮膚の健康を保つ
太陽の光に含まれる紫外線は、微生物の殺菌効果があります。そのため、適度に日光を浴びると、微生物が皮膚につきにくくなります。ノミ・ダニも寄せ付けにくくなります。
また、日光浴で皮膚の血行が良くなり、皮膚の健康を保つことが期待できます。
ビタミンDの吸収
人の場合、日光を浴びるとビタミンDの合成が行われます。ビタミンDは体内のカルシウム濃度を一定に保ち、免疫調整にも関わるビタミンです。猫の場合、日光を浴びてもビタミンDの合成は行われず、食事中に含まれるビタミンDが重要ですが、日光を浴びることによりビタミンDの吸収を促進しているのではないかと考えられています。
日光浴で起こる猫の病気

猫が日光に当たりすぎると、日光が原因で病気になることがあります。日光浴で起こる病気は次のような病気です。
- 皮膚炎(日光過敏症)
- 扁平上皮癌
- 白内障
- 角膜炎
皮膚炎や扁平上皮癌は白猫や色素の薄い猫、高齢猫で起こりやすく、耳や顔にただれなどの病変が作られます。また、瞼を閉じていても光が目に入るため、目の疾患にもかかりやすくなります。
日光浴をよくする猫は、定期的に動物病院で健康チェックをしてもらいましょう。顔や耳などの皮膚炎が治らない、目が白いなど、いつもと違うことがあればすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
猫が日光不足になるとどうなるの?

住環境によっては、あまり日が当たらないこともあるかもしれません。日光に当たらないと何か問題があるのでしょうか?日光不足で起こると考えられているのは、免疫低下、体温調整がうまくできない、情緒不安定などが挙げられます。
免疫低下
猫は日光浴によるビタミンDの合成は行いませんが、ビタミンDの吸収に関係していると考えられています。ビタミンDはカルシウムの調整だけでなく、免疫の調整にも役立っています。日光不足は、免疫低下につながると考えられています。
体温調整
猫は日光浴をすることにより、体の熱を効率的に調整しています。日光浴をしない猫は、体温を効率的に調整することが難しくなり、熱中症や低体温のリスクが上がります。
情緒不安定
日光に当たると、情緒の安定に関わるセロトニンが脳内に分泌されます。情緒が安定してる猫は、破壊や攻撃などの行動異常や、食欲の異常が出にくい傾向にあります。日光不足になるとセロトニンが減少し、行動異常や食欲異常などが出ることがあります。
人では、日照時間が少ない地域や冬期などは、セロトニン不足によるうつ症状が多くなることが知られています(冬期うつ)。
猫におススメな日光浴の仕方

日光浴はずっと日向にいる必要はありません。窓越しでも紫外線は通過しますし、暖かさもしっかり伝わります。日光浴をさせたいからと無理にベランダに出したりすると、飛び降りなどの事故につながります。また、外猫が近所にいる場合、外猫に反応して脱走したり、空気感染する感染症にかかる可能性もあります。日光浴は室内で行うことをおススメします。
日光浴は猫が自然と行っていることが多いですが、あまり日光に当たらない場合は15分~30分程度、日光に当ててあげましょう。日差しが強い10時~15時ころは避けることも大切です。逆に、長時間当たっているのであれば、日陰などを用意してあげましょう。皮膚が弱かったり色素の薄い猫の場合は、日光により悪化することもあるので、カーテンなどで日光を少し遮ってあげましょう。
日光浴中、猫は気持ちよくなり眠ってしまうため、知らないうちに体温が上がってしまうことが考えられます。猫のすぐ近くに飲み水を置き、水分補給ができるようにしてあげましょう。
まとめ

猫は日光浴が好きな動物です。日光浴をすることで、情緒の安定や免疫力を高めたり、体温を調節するなど、猫にとって様々なメリットがあります。日光浴にはメリットもありますが、皮膚炎や皮膚がん、白内障といったデメリットもあります。また、不適切な室温での長時間の日光浴は、かえって害となることがあります。猫の体調が崩れないように、適切な日光浴をさせてあげたいですね。
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