高齢猫の介護はどうする? 食事や必要なケアについて獣医師が詳しく解説

高齢猫の介護はどうする? 食事や必要なケアについて獣医師が詳しく解説

近年、獣医学の発展に伴って猫の平均寿命が延びています。今の猫の平均寿命は約15年と言われています。20歳を超える猫も少なくありません。

猫の15歳は人間の70代後半、20歳では約100歳に当たります。我々人間も高齢になると体が思うように動かなくなり、介護が必要になります。猫も同じで高齢猫の多くが何らかの介護が必要になります。今回は高齢猫の介護について解説します。

猫の介護が必要になるのはいつ?

猫の介護が必要になるのはいつ?

猫は7歳からシニア期、16歳からハイシニア期と呼ばれます。シニア期以降になると、腎臓病、関節炎、歯周病、ガンなど様々な疾患にかかりやすくなります。このような病気になると、動きが鈍くなったり食欲が落ちてしまったりします。また、毛繕いができなくなることもありますし、粗相が増えてしまい、生活する上で飼い主さんの手が必要になります。それが介護になります。

具体的に何歳から介護が必要になるかという目安はありませんが、シニア期に入ったら介護のことも頭に入れて備えておく必要はあるでしょう。

猫の介護はどんなもの?

猫の介護はどんなもの?

高齢猫の介護は、猫が自分でできなくなったことを補ってあげることにあります。人もそうですが、猫の介護も長期戦になると考えておきましょう。

生活スペースを制限する

猫が動けなくなると、離れたトイレや餌皿まで歩いていくことができなくなります。猫が普段いるところの近くに餌や水をおくようにしましょう。トイレも近くに置いてあげるのも良いでしょう。また、認知症になると徘徊してしまうことがあります。生活スペースをサークルなどで囲うことで、徘徊して怪我をするリスクが低くなります。

キャットタワーなどの高いところには登りにくくなり、逆に転落の危険があります。キャットタワーなどは置かず、段差やスロープを使って登れる程度の高さが良いでしょう。

排泄のお世話

高齢になると慢性腎臓病になる可能性が非常に高く、薄いおしっこを多量にするようになります。トイレとの距離が離れていると、間に合わず粗相してしまうことが増えてきます。トイレは生活スペースの近くに置いてあげましょう。日中、飼い主さんが家を空けるのであれば、オムツを使用するのも良いでしょう。ただし、オムツを使用する場合は、こまめにオムツを替え、1日1回はぬるま湯などできれいにしてあげましょう。

自力で排泄できなくなる場合もあります。その場合、飼い主さんが排泄の手伝いをする必要があります。動物病院で排泄のお世話の方法を教えてもらいましょう。

食事のお世話

高齢猫は関節炎になっている可能性が高く、首を下げると痛みが出てしまいます。餌皿や水入れは、少し高くなるように台の上においてあげましょう。

食事の内容も変える必要があります。高齢猫用として販売されているものは、高たんぱくで消化しやすく、少ない量でもカロリーが摂れる設計になっています。また、病気になっている場合、専用の療法食に切り替える必要があります。

歯周病や内臓疾患などで食べることが難しくなってしまいます。食べやすいようにフードをふやかしたり、ペースト状にしてあげましょう。少し温めて与えると食欲が増します。自分で食べれない場合は、口の中に少しずつ入れてあげます。また、獣医師と相談の上、鼻や食道、胃、腸にカテーテルを挿入し、そこから流動食を入れる場合もあります。

ブラッシング

高齢に毛繕いができなくなると、毛玉ができやすくなったり、皮膚の血行が悪くなりトラブルが起きやすくなります。そのため、1日1回以上ブラッシングをしてあげましょう。

定期的に体の向きを変える

シニア期以降は体の筋肉が衰えてくるため、自力で動けなくなってしまうことがあります。動けなくなると寝返りも難しくなります。同じ姿勢で長時間いると、骨が出っ張っている部分に褥瘡(じょくそう)と呼ばれる、いわゆる床ずれができてしまいます。褥瘡は筋肉が痩せてしまうことで骨と皮膚のクッションがなくなり、その部分の血行不良が起こることで皮膚が壊死して起こります。一度褥瘡ができると、栄養状態の悪い高齢猫の場合、どんどん悪化し、そこから感染が起こり、細菌などが全身に広がる敗血症を起こしてしまいます。そのため、2時間おきに体の向きを変えて、体重が一部にかからないようにしましょう。また、体重を分散させるような介護マットや、骨の出っ張り部分にクッションを当てるなどの方法もあります。優しく皮膚をマッサージすることも、皮膚の血行促進になります。

関節の曲げ伸ばしをする

猫が動けなくなる原因の一つに、関節が固くなり曲げ伸ばしができなくなることがあります。固くなった関節を柔らかくするには、飼い主さんがゆっくり関節の曲げ伸ばしをしてあげる必要があります。無理やり行うと脱臼や骨折を起こすことがあるので、ゆっくり優しく行いましょう。猫が痛がる場合はすぐにやめて動物病院を受診してください。

猫の介護費用の目安は?

猫の介護費用の目安は?

猫の介護費用は、ベッドやおむつなど新たに追加するものもあります。介護用のベッドなどは10,000円ほどかかります。おむつは一月あたり5,000円くらいかかると思います。フードも療法食であれば一月あたり10,000円近くになることもあります。元気な時よりも費用がかかります。

高齢猫の介護が自宅で難しい場合、老猫ホームを利用することもできます。しかし、非常に高額であり、1年で40万~50万円ほどの費用がかかります。日中家を空けやすかったり、必要なケアを行えない場合は、専門的な老猫ホームを利用する方が良いでしょう。

猫が死期が近いとどんな行動をとるの?

猫が死期が近いとどんな行動をとるの?

猫が亡くなる前に、様々な行動をとることが知られています。死ぬ前に見られる行動の変化について説明します。

隠れ場所を探す

「猫は死ぬ前に姿を消す」という言葉を聞いたことがあるかと思います。野生で生活していたころの名残で、弱った姿を見せると他の動物に襲われる可能性があるため、周りから見えない場所に隠れようとします。隠れ場所を探そうと、ウロウロ歩き回ることがよく見られます。

たくさん甘える

猫は自分の死期を悟ると、大好きな人たちに甘えるようになります。今まで甘えなかった子が膝に乗りたがるようになったり、ずっとゴロゴロと喉を鳴らして甘えてくるなど、普段以上に甘える行動が見られます。これは、死期が近づいてきたことに対する漠然とした不安を解消しようとしていると考えられています。

急に元気になる

少し前まで食事も摂れなかったり、動くこともできなかったのに、死ぬ前日にご飯をたくさん食べたり、急に動けるようになることがあります。これは、自分が弱っていることを周りに気づかれたくない気持ちや、飼い主さんを不安にさせたくない思いから元気にふるまっていると考えられています。

寝ている時間が長くなる

シニア期になると多くの猫が、1日のほとんどを寝て過ごします。死期が近くなるとほぼ寝ている状態になり、体温も低下し、心拍数も低下してきます。呼吸の仕方も変化し、大きく深い呼吸や開口呼吸が見られます。手足をばたつかせたり、もがくような行動が出ることもあります。

まとめ

まとめ

猫の飼育費用は、平均寿命の約15年で約240万円になるとされています。特に介護が必要になる高齢期は、通常の費用に介護費用がかかってきます。また、費用面だけでなく介護に必要な時間や人手もかかってきます。猫を飼うときには介護までできるかを考えておきましょう。もし、介護ができない状況であれば、費用はかかりますが老猫ホームなどプロの手を借りることも検討しましょう。

そして、もし猫の死期が近づいてきたら、悲しんだり慌てたりするのではなく、しっかりと感謝と愛情を伝えてあげましょう。


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