かかりつけの動物病院から、健康診断のDMが届いたことはありますか?
筆者自身が診察を行っている時、猫に健康診断が必要なのか質問を受けることはよくあります。
私たち人間は、学校や職場など様々なタイミングで健康診断を受けます。健康診断で異常が出た場合は、病院を受診すると思います。
健康診断は、病気の早期発見が主な目的です。体の不調を隠しやすい猫は、定期的に健康診断を受けて、なるべく早い段階で治療を受けることがベストだと思います。
今回は、猫の健康診断を受ける年齢、内容、費用について解説します。
猫が健康診断を受ける年齢
健康診断を受け始める年齢は特に決められていません。生後1歳を過ぎたら、健康診断をするように勧めている病院が多いと思います。
猫のライフステージは大きく3段階に分かれています。
生後1年までの猫を幼猫期、1歳~7歳までの猫を成猫期、7歳以上の猫を老猫期と分けています。
幼猫期はワクチン接種や避妊・去勢手術などのイベント以外にも、体調を崩しやすいために動物病院に受診する機会が多くあります。しかし、1歳を過ぎると、大きく体調を崩さなければ動物病院にかかることが少なくなり、病気の早期発見が難しくなってしまいます。そのため、1歳以降は年に1回の健康診断が望ましいと考えています。
また、7歳以上の猫の3頭に1頭が、健康診断にて異常が指摘されてるとの分析結果も出ています。老猫期になると腫瘍などの発生も多くなるだけでなく、ホルモン性疾患も増えてきます。さらに、老猫期の猫のほとんどが、慢性腎臓病になります。なるべく早い段階で異常を発見し、治療を開始できることが健康診断の目的です。そのため、7歳以上の猫は年に2回の健康診断が望ましいと考えています。
猫のライフステージ | 健康診断の目安 |
生後1年までの幼苗期 | 避妊・去勢手術やワクチン接種などの通院にて |
1歳〜6歳までの成猫期 | 年に1回 |
7歳以上の老猫期 | 年に2回 |
猫の健康診断の内容
健康診断の内容は、動物病院によって違います。
健康診断のコースを用意している病院もあり、年齢によって検査項目が変わってきます。よく行われる健康診断の内容をご紹介します。
身体検査
体重測定、体温測定、視診、触診、聴診を行います。視診は、視て行う検査になり、体格の評価や眼や口など体の表面部分の異常を見つけます。
触診は触る検査であり、お腹などの腫瘍やリンパ節の腫れ、関節の異常などを見つけます。聴診は聴診器を用いて耳で聴く検査です。心雑音や肺の異常、腹部の異常などを見つけます。
血液検査
赤血球などの血球計算や、肝機能、腎機能といった生化学検査を行います。検査項目は、病院で使用している検査機器によっても変わってくる場合があります。
糞便検査
糞便中の寄生虫や細菌バランス、消化の具合などを検査をします。
尿検査
尿の比重やタンパク質、尿糖、赤血球などを検査します。尿結石がある場合も、尿検査で調べることができます。慢性腎臓病の場合、尿比重が低下してくるのが特徴です。
レントゲン検査
胸部や腹部、四肢関節のレントゲンを撮影します。レントゲン検査は、体全体を評価することができます。最近の研究では、高齢猫の多くが変形性関節症になっているという報告が出ており、四肢関節のレントゲン撮影で早期に発見することが重要です。
超音波検査
腹部や心臓の超音波検査を行います。超音波検査は臓器をリアルタイムで観察でき、臓器の断面を評価することができます。心臓の超音波は、猫に多い肥大型心筋症の診断に役立ちます。メイン・クーンなど、心疾患の好発猫種は、若齢から検査を行うことが望ましいです。
血圧測定
慢性腎臓病になると、血圧が高くなりやすくなります。血圧測定は、猫が興奮していると正確に出ないため、院内で落ち着くのを待ってから測定します。
心電図測定
心疾患では、心電図に異常が出たり不整脈が出現することがあります。
ホルモン検査
主に甲状腺ホルモンになります。猫は高齢期になると、甲状腺機能亢進症が増えてきます。高齢期の健康診断の項目に入っていることもあります。
血液検査のみの診断もあれば、これらすべての項目を検査する健康診断もあります。検査には時間が必要であるため、多くの病院が休診時間中に行います。午前中にお預かりをし、夕方ごろにお返しの病院が多いと思います。
健康診断は基本的に予約制のことが多く、絶食の指示があったりもします。事前に動物病院に確認しましょう。
猫の中には、性格面から検査が難しい子もいます。その際は、鎮静剤を使用することもあります。鎮静剤の作用で、検査結果に影響するものもあります。
検査結果はその日のうちにお話できることもありますが、血液検査など外部の検査機関に委託している場合は、1週間ほどかかることもあります。
猫の健康診断の費用
費用についても、動物病院によって異なります。
血液検査だけであれば約5,000円ほどですが、全身的な検査になってくると2万円~3万円程になります。ウイルス検査やホルモン検査などは、外部の検査機関に検査依頼をするため、さらに費用はかかります。
けっこう高額な印象があるかと思いますが、健康診断はまとめて複数の検査を行うため、それぞれの検査の単価の合計額よりは、費用が抑えられています。しかし、健康診断はペット保険の適応外であるため、全額負担となります。
猫の場合、鎮静が必要な場合が少なくありません。健康診断とは別に鎮静処置の料金がかかります。
まとめ
健康診断は、病気の早期発見が目的となります。
猫の場合、症状もないのに病院を受診するのが難しい、と思われている飼い主さんも少なくありません。動物病院では、猫にストレスや負担をなるべくかけないように検査を行います。
愛猫が何かの病気にかかる前に、ぜひ健康診断を受けましょう。
勉強になりました
参考にして見ます🙇
この記事のご感想をお寄せください!(コメントを書く)