猫のワクチン接種はなぜ必要?種類や時期、費用を獣医師が詳しく解説

猫のワクチン接種はなぜ必要?種類や時期、費用を獣医師が詳しく解説

ペットショップなどから猫をお迎えすると、ワクチンをいつ頃打つように説明があると思います。また、すでに動物病院にかかったことがあれば、獣医師からワクチンの説明を受けたり、接種時期のはがきが届いたりすると思います。

筆者が日頃診察を行っていると、飼い主さんの中には「外に出さないから大丈夫」「他に猫を飼っていないから打たない」など、感染症やワクチンを誤って認識している方が一定数いらっしゃいます。

今回は、猫のワクチン接種について解説します。

猫のワクチンとは

ワクチンとは

病原体による感染症にかかると体の中に抗体ができ、次に同じ病原体が入って来た時は抗体が病原体を攻撃することで、病気にかかるのを防ぎます。生まれたての子猫には抗体はなく、母猫から抗体をもらいます。母猫の体内にある抗体は、初乳(出産後すぐに分泌される乳汁)に多量に含まれ、初乳を子猫が飲むことで抗体を受け取ります(移行抗体)。受け取った抗体は徐々に低下し、生後約8週ごろには感染症を防げないレベルまで低下します。

ワクチンには主に生ワクチンと不活化ワクチンがあります。生ワクチンは感染症の病原体を弱めたもので、生ワクチンを接種すると実際に感染した状態になる(症状は出ないレベル)ため、強い抗体が体内に作られます。不活化ワクチンは病原体の病原性をなくしたり、殺菌した状態のものであり、接種しても感染することはありません。抗体を作らせるために、ワクチンにアジュバントという物質が含まれています。抗体の産生は生ワクチンより弱いため、複数回の接種が必要になります。

ワクチンを打っても100%感染を防ぐことができるわけではなく、万が一感染しても症状を和らげることができます。

猫のワクチンの種類とは

猫のワクチンの種類

猫のワクチンは3種、4種、5種があります。3種ワクチンには猫伝染性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の3つが含まれます。4種ワクチンには、3種ワクチンに猫白血病ウイルス感染症が含まれます。5種ワクチンには、4種ワクチンに猫クラミジア感染症が含まれます。

以前はエイズウイルスのワクチンもありましたが、現在は生産終了となっています。

猫伝染性鼻気管炎

猫伝染性鼻気管炎と次の猫カリシウイルス感染症は、いわゆる猫風邪と言われる感染症です。猫伝染性鼻気管炎はヘルペスウイルスが原因で、鼻水や咳などの風邪症状と結膜炎が起こるのが特徴です。猫の鼻水などにウイルスが含まれ、くしゃみや咳によって感染が拡大します。重症化すると肺炎を起こしたり、食事が摂れなくなり命を落とすことがあります。

猫カリシウイルス感染症

猫伝染性鼻気管炎と同じく風邪症状を示します。カリシウイルスが原因です。風邪症状以外に口内炎が起こるのが特徴です。また、足を引きずることもあります。鼻水などにより感染が拡がります。重症化すると肺炎を起こしたり、口内炎が起こることで食事が摂れなくなります。

猫汎白血球減少症

猫汎白血球減少症は、パルボウイルスが原因の感染症です。パルボウイルスは感染力が非常に強く、自然界で1か月以上生存します。ウイルスは便や吐物に含まれ、次々と感染します。また、アルコールなどの通常の消毒では死滅しません。感染の時期によっても症状が異なりますが、子猫期にパルボウイルスにかかるとひどい下痢や血便、嘔吐を起こし、数日で亡くなります。また、白血球が著しく低下する(白血球減少症)ため、感染症への抵抗力がなくなります。母猫が感染し胎児にウイルスが入ると、脳に異常を起こします。

猫白血病ウイルス感染症

猫白血病ウイルスによって感染します。感染した時期により治ることもある感染症です。生まれてすぐに感染すると、100%が感染したままの状態(持続感染)になります。生後3か月ほどでの感染では約25%、1歳を過ぎるとほとんど感染しないと言われています。感染してすぐは発熱、食欲不振、口内炎などが出ますが、重症では重度の白血球減少や貧血、出血などが起こることもあります。感染が成立すると、約3~4年で亡くなります。

唾液や鼻水にウイルスが含まれ、食器から感染したり毛づくろいでも感染することがあります。屋外で生活している猫では、感染していることが多くあります。

猫クラミジア感染症

猫クラミジア感染症は、クラミジア・フェリスという細菌によって引き起こされます。主に結膜に感染し、目やにがひどく付着するようなひどい結膜炎を起こします。クラミジアは鼻水や目やになどに含まれます。

猫のワクチンの接種時期は?

猫のワクチンの接種時期

ワクチンの接種時期は、生後2か月、3か月、4か月の3回(もしくは2回)接種し、その後1年後に追加接種します。それ以降は3年ごとに追加接種を行うことが原則とされています。生後4か月~1歳未満の場合は来院時に1回、その1か月後と1年後に追加接種を行い、それ以降は3年ごとに接種します。1歳以降で初ワクチンの場合は、来院時に1回、1年後に追加接種し、それ以降は3年ごとに接種します。

飼い始める時期や飼育環境によって接種回数が違うことがあるため、獣医師の指示に従ってください。  

猫のワクチン接種の費用は?

猫のワクチン接種の費用

ワクチン接種の費用は動物病院によっても異なります。また、種類によっても異なります。

ワクチン接種費用の相場としては4,000~6,000円ほどになります。これとは別に診察料などがかかることもあります。

まとめ

まとめ

ワクチンに含まれている感染症は、猫が外で感染してくるだけでなく、飼い主さんの服や荷物に病原体が付着して感染するケースもあります。ワクチンを打っていれば感染しない、もしくは症状が軽く済みます。予防できる感染症で愛猫が苦しまないように、定期的にワクチンを接種しましょう。


この記事のご感想をお寄せください!(コメントを書く)

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleプライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。


RuffRuff App RuffRuff App by Tsun
RuffRuff App RuffRuff App by Tsun
ハゲにくい猫首輪に替えませんか?
獣医師が推奨

ハゲにくい猫首輪に替えませんか?

ぽぽねこ公式オンラインショップ
詳しく見る

あわせて読みたい記事

猫が首輪ハゲになる理由とは?

体に合わない首輪を着けることで、皮膚が炎症を起こしたり、首の毛が猫首輪のラインに沿ってハゲてしまう子は少なくありません。

ぶらぶらしない迷子札

首輪にはなんとか慣れても、迷子札のわずかな揺れや重み、食器にぶつかる音が苦手な子も多いようです。

わずか2グラム、だから気にならない

水に強くて軽い迷子札

脱走や災害で迷子になってしまったとき、飼い主さんの元へ帰還を助ける

伸びる素材

ウルトラストレッチ猫首輪

「ふんわり柔らか」「軽い」「伸びる」の条件にぴったりのウルトラストレッチ素材でした。

軽くて柔らかいエリザベスカラー

猫ちゃんにとってエリザベスカラーは邪魔なもの、嫌なもの。固くて重くて、周りがよく見えないこと。それが問題でした。