愛猫がシニア期になると、口腔内の健康が気になることも。我が家では2023年の秋、愛猫のコタロウが抜歯をすることになりました。今回は、不安でいっぱいだった当時の心境やリアルな費用などを公開します。
「なんか行動がおかしくない?」と異変に気付いた日
コタロウは、警戒心が強め。昔は歯磨きをさせていただきたく、奮闘したこともありましたが、猫パンチを繰り出され、断念。デンタルケアのおやつをあげながら、様子を観察していました。
「あれ?口の中が痛いのかな?」と思ったのは、2023年10月頃。ご飯を食べた後に手で口元を掻き、何度も口をクチャクチャ。
数年前、気持ち悪くて嘔吐する時にも口をクチャクチャさせることはあったので、「吐きたいのかな」と思ったけれど、嘔吐はせず。もしかしたら、我慢できないくらい歯が痛いのかもしれないと思い、かかりつけ医へ駆け込みました。
普段、ジジには強気な態度を取るのに動物病院では「僕ちん、怖い…」モードになるコタロウ。院内に入った途端、震え、診察台の上ではよりブルブル。獣医師から「震えちゃって、かわいい」と萌えられていました。(私も萌えたわい)
診察の結果、右上の犬歯(一番尖ってる歯)に痛みが出ており、歯茎に腫れが。ひとまず、炎症を抑える注射を打って、腫れが引くか観察することになりました。(※嫌がるので、歯茎の写真は撮れませんでした、ごめんね)
「腫れが引かなかったら、抜歯をしたほうがいいと思います。放置しておくと、歯茎の中に溜まっている菌が全身に回ったり、酷い時には頬に穴が空いたりすることもあるので。でも、抜歯は麻酔のリスクがあり、健康な歯を脱臼させて抜くので痛みはあります」
獣医師から、そう説明を受け、私は「抜歯」という対処法を選ぶのが正解なのかと考えるように。
獣医師はあえて、歯を脱臼させることの重みを詳しく説明してくれた(ありがたい)のですが、私は完全にビビってしまい、何がコタロウにとって一番いい方法なのだろうと悩み始めました。
悩んだ末に抜歯を決意してかかりつけ医へ
2週間様子見した結果、歯茎の腫れも痛がり方にも変化はなく、注射の効果はないという判断に。残る治療法は、抜歯だけ。
猫は歯がなくても、フードを丸のみできる。そういう知識は頭の中にあるのに、愛猫がいざ抜歯をするとなると、たとえ1本歯がなくなるだけでも心配と不安が交互に襲ってきました。
そこで、生の声を聞きたくなり、すでに愛猫の抜歯を経験している猫仲間に相談。背中を押してもらえ、ようやく抜歯をしようと決心しました。
コタロウは骨格が大きい分、体重が少し多めなので麻酔のリスクが高くないかを、事前に血液検査で調べることに。加えて、歯茎の腫れが腫瘍ではないかをレントゲンでチェックしてもらいました。歯周病と決めつけず、色々な角度から病気を疑ってもらえ、本当にありがたかった。
血液検査の結果、麻酔のリスクは高くなく、歯茎の腫れは腫瘍ではないとの判断が下されたため、予定通り、抜歯を決行。手術時には、他の歯の歯石除去も行ってもらえることになりました。
かかりつけ医では入院はせず、午前中に預け、夕方迎えに行く形。費用は、抜歯前の血液検査やレントゲン、歯石除去などを合わせて73,920円でした。
抜歯前日の夜は、絶食。食いしん坊のコタロウは同居猫のジジやレオンがご飯を食べている姿をガン見。「お前らだけずるいぞ」と、後でふたりに喧嘩を売っていました。(レオンには負けた)
抜歯直後はフードが食べられないと思っていたけれど…?
手術後、迎えにいくと、コタロウは相変わらずキャリーケースの中でブルブル。「怖い思いをしたね。よく頑張ったね」と声をかけながら、診察室で注意点などを聞きました。
獣医師からは、抜歯当日はスープ状のフード、2~3日目からはウェットフードをあげるなど、術後1週間はやわらかいフードを、とのアドバイスが。2日目になってもご飯を食べない場合は、すぐに連れてきてほしいとも言われました。
なぜなら、抜歯後に痛みからご飯を食べられないと、自分の脂肪を肝臓に蓄積し、肝臓が悪くなってしまう恐れがあり、(おそらく肝リピドーシスのことだと思われる)強制給餌が必要になる場合もあるからだそう。
コタロウのように体重が少し多めな子は、この状況に陥らないように、より注意したほうがいいとのこと。そんな風に色んな知識を教えてもらいましたが、その日、私の頭を占めていたのは「コタ、今日ご飯食べられるかな」の心配だけでした。
エリザベスカラーを付けた状態で帰宅したコタロウは動物病院での疲れを取るかのように、家で熟睡。夕ご飯の時間にスープ状のフードをあげると、やはり抜歯したところが痛むのか、食べた後に口をクチャクチャし、手を口に持っていきました。
その様子はとても痛々しく、思い出すと今でも胸が苦しくなります。ただ、抜歯当日でも旺盛な食欲は健在。前日にご飯を食べられていなかったからか、「もっとくれ!足りないぞ!」と何度も催促し、がっついてくれたのでホっと一安心。
「なんで俺だけもらえないんだ!」というような顔でジジとレオンが食べるドライフ―ドをうらめしそうに眺めてもいました。(また後で八つ当たりの喧嘩を吹っ掛けてた)
術後1週間は、やわらかいフードをあげなくちゃ。そう意気込む私とは正反対に、コタロウはドライフードをどうにかして食べようと目論むように。そこで、お湯でふやかしたドライフードをあげるも、「こんなん違うやんけ」と食べてくれず…。
そこで、「多分、君は噛めないよ」と言い、少量だけドライフードを与えてみることに。すると、「これだぜ!待ってたんだ!」と言うかのように、ドライフードにがっつきました。いつものようにカリカリといい音を響かせて食べる姿を見て、こっそり泣いたのは内緒です。
溶ける糸を使用してもらったため、抜糸はナシ。1週間後、経過観察のため、かかりつけ医へ行くと、「ドライフード食べれてるんだね、よかった」と言ってもらえ、私も安心できました。
ただ、全身麻酔をかけた時に判明したのですが、コタロウは下の歯も1本、炎症を起こしており、そこは顎の骨を傷つける可能性があるため抜歯はできないそう。経過観察をしながら、自然に抜けるのを待つことになりました。
抜歯をする時に「用意したほうがいいもの」がたくさん!
愛猫の抜歯を経験してみて思ったのは、手術前に用意したほうがいいものが意外にたくさんあるということ。
①スープ状のご飯…まったくフードを食べられない日がないように1週間分は用意しておくと安心(うちは介護用のペーストもあげてた)
②ウェットフード…念のため、1週間分あると安心(具ナシもあるといいよ)
③エリザベスカラー…術後の口周りカキカキを防止。プラスチック製のものが苦手な子は多いので、布製のものを用意しておくといいかも
④シリンジ…強制給餌が必要な時に役立つ
もし、愛猫に抜歯をしなければならない時、コタロウの抜歯経験が少しでも役に立ちますように。
医療費も公開していただいてるのは心構えが出来る方達もいらっしゃるのではないでしょうか。動物には本当に医療費がかかるので…。
術後にコタロウくんが食べられる子で本当に良かったですね。食べられる子の回復力って凄いです!
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