自宅で突然、愛猫が”低体温”になったら飼い主には何ができるのか。クリスマスを間近に控えた12月21日、動物病院の待合室で愛猫ジジの診察を待つ私は少しでも情報を知りたくてネット検索。
でも、自分にとって欲しい情報が出てこなかったので、「それならこの経験を伝えるしかねえ」と思い、筆を執ってます。記憶が鮮明なうちにこの執筆を許可してくれた、ぽぽねこさんありがとう。生の声を伝える場をくださったことを感謝します。
原因不明の体調不良で動物病院の受診を悩んだ
はじめに、この記事に掲載している写真のほとんどは当日のものではありません。当日は緊急性が高かったため、写真を撮る余裕がありませんでした。具体的な状態を写真では見せられず、すみません。
12月21日、疲れを少しでも取りたいんやと思い、私は午後から整体へ。午前中、愛猫たちはみんな元気だったので、いつも通り…とすら思わないくらい普通の日でした。
整体後は、動物病院でジジの持病薬を貰って帰宅。その後、いつものように猫用おやつ「ちゅ~る」に持病薬を混ぜてあげた後、早めのクリスマスパーティー。愛猫たちには、いろんなウェットフードを混ぜたスペシャルご飯をあげました。

その時、ふとジジの様子がおかしいと思ったんです。あれ?ウェットフードなのに走ってこない。
ジジは大人しい性格ですが、食事の時だけは小走り。特にウェットフードが大好きで、お皿を運ぶ時には後追いをします。
それなのに、「ちゅ~る」を食べたお皿の前でペタリと座り込み、動いてくれませんでした。
もしかしたら、ご飯に気づいてないのかな。おニブさんなジジは、たまにそういう”出遅れること”があるので、体を持ち上げて「ここにあるよ」とご飯の場所へ運びました。しかし、ウェットフードを2ペロくらいして、またその場から動かず。
ジジは過去に、キャットステップから落ちて脱臼したことがあります。
脱臼してから一週間。だいぶ、早く歩けるようになってきた。なによりも、積極的に歩いてなにかをしようとしてくれることが増えて本当に嬉しい。
— ゆあ | ライター🖊 (@yunc24291) December 4, 2021
まだ足は引きずってるけど、ゆっくりじっくり治してこうね。
歩く、食べる、トイレをする、水を飲む。そういう行為が、全て愛しい。 pic.twitter.com/nuT0qUxfNd
だから、「また脱臼したのかもしれない」と思い、確認のために何度か体を持ちあげ、歩かせようとしましたが、やはり1~2歩ほど歩くと、その場で座りこんでしまいました。
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獣医師の誠実な対応で「低体温」が発覚
でも、痛みは感じてなさそうだし、「ちゅ~る」を食べる時は歩いてこられたから脱臼ではなさそう。前日にくしゃみをしていたから、風邪を引いて元気がないのだろうか。
通院のストレスもあるし、1日だけ様子見しようかな。そう思い、寝そべっている自分の胸の上にジジを乗せ、肉球を触ったところ、氷のように冷たいことに気づきました。

え…もしかして寒い…?たしかに体に触れても、いつもより温くない気がする。
不安になったので、胸の上に乗っているジジに毛布をかけて体を温めながら、反発できる元気があるか調べるため、お手手の爪を出してみました。ジジは爪切りが究極に嫌いなので、これをすると、いつもなら「なにすんじゃい」と手をひっこめるのですが、この日はただぐったり…。
あ、これは想像以上にヤバい状態だ。病院に行かなければ、と思いました。
「1日に2度も動物病院に行くのは大変だろう」との気遣いから、病院へは彼が乗せていってくれることに。車内でもジジは、いつものようにゴロゴロ言わず。本当に乗っているのか不安になるほど、静かでした。
動物病院で脱臼の可能性があることを伝えると、獣医師は診察室にジジを放ち、歩けるかを確認。慣れない場所なのでジジは興奮して歩き回り、椅子にジャンプ。
「なんだ、歩けるじゃん」と私はホっとしましたが、獣医師は深刻そうな顔。「歩けなかった原因が何かあるはず」と言い、検温をしたところ、体温は35度でした。

健康な猫の体温は、40度ほど。ジジは、低体温になっていました。「歩けるね、大丈夫」で帰宅させなかった獣医師の判断、今となっては本当にありがたい。この時、帰らせていたら、おそらくジジの命はありませんでした。
低体温で「最期」も覚悟して涙…
その後、血液検査や超音波検査を行い、どうやらお腹にできもののようなものがあるとの診断が。腹水があり、血圧も低下していました。その日、ジジは入院。酸素室で点滴をつけながら夜を越すことになりました。
入院前、獣医師から告げられたのは「今日の夜、持ってくれるか分からない」という予想もしていなかった言葉。午前中はあんなに元気だったのに、なんで…。こんなことになるなら昨日の仕事中、もっとたくさん抱っこしてあげればよかった…と思い、診察室で泣いてしまいました。

入院の手続きが終わった後、獣医師から「面会をしていきますか?」と気遣っていただけて嬉しかったですが、そう聞かれるということは本当に覚悟をしたほうがいいんだろうな…とも感じ、苦しかった。
いい年をした女が酸素室にいる猫の頬を両手で包み込んで「大好き」「またおうちに帰ろうね」と話しかける姿は周りから見れば、めちゃめちゃいたかったはず。でも、その時に言いたい愛を素直に伝えられてよかった。
一緒に病院へ来てくれた彼もジジを触り、「頑張れよ」と泣きながら声かけ。彼は初めて動物病院へ行った日にこんな結末になったので「そういう流れだったのかもしれん。病院に行けて良かったし、もう一度だけでもいいから家に帰ってきてほしい」と言っていました。
ジジの場合は体内の異変からの低体温でしたが、完全室内飼いだと室温管理をしていることも多いので、愛猫が低体温になっていても気づきにくい部分があると思います。でも、その一方で低体温は早期発見・早期治療が大切。

スムーズに治療へ繋げるには、愛猫の「普通」を理解しておくことが大事だと感じました。
そして、「歩けないけど神経には問題がないから大丈夫」で済まさない動物病院と出会うことも重要です。
ジジのように、すぐに歩けなくなる、普段、苦手な事(爪切り時の動作)に反発しない、肉球や耳が冷たい、体を触ってもじんわりとした温かさを感じないなど、なにかおかしいと感じることがあれば納得できるまで(かつ迅速に)、詳しい検査をしてくれる動物病院を探してほしいと思います。
また、低体温時は「とにかく温めなきゃ!」という気持ちが先走るかもしれませんが、急激に温めると、それはそれで危険なので、タオルで包んで動物病院へ早く連れて行くなど、自分だけでなんとかしないようにすることも大事。しかるべきところに、ちゃんと頼ったほうが安心ですし、後々、後悔しません。
根本的な治療はまだ済んでいませんが、いまジジがこうして隣にいてくれるのは奇跡に近いです。

(ここからは撮りたてホヤホヤの未公開写真です)
もう一度、家で会いたい。ギュっと抱きしめたい。あの日、寝ることも忘れて願ったその祈りが叶ったことが本当に嬉しい。
彼女は「猫」という括りではなく、「家族」なんだと改めて痛感した出来事でした。

この経験が誰かにとって役立つ情報になれば、それに越したことはない。誰かにとってかけがえのない猫さんの命が紡がれますように。
いつもと違うことに気がつく、ということがとても大切なのですね。異変に気がつけるように私も毎日丁寧に暮らしていきたいです。
このような体験をシェアしてくれてありがとうございます。
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