「ジャンプの衝撃で臓器が壊れる」 獣医師から聞いた猫の希少疾患“アミロイドーシス”の怖さ

「ジャンプの衝撃で臓器が壊れる」 獣医師から聞いた猫の希少疾患“アミロイドーシス”の怖さ

突然ですが、みなさんは「アミロイドーシス」という猫の病気を知っていますか。猫風邪や腎臓病などとは違ってメジャーな病気ではないから、なかなか病名を聞く機会もありませんよね。

でも、知識を頭に入れておけば、いざという時に愛猫の命と穏やかな暮らしを守ることができるかもしれません。

我が家の愛猫ジジは腸に腫瘍のようなものが見られて腹部出血があり、獣医師から「アミロイドーシスの可能性がある」と告げられました。その時、初めてアミロイドーシスを”自分事”に感じ、この病気の怖さと発症した愛猫に快適な暮らしをさせてあげることの難しさを痛感しました。

「ジャンプが命取り」になるアミロイドーシスの怖さ

アミロイドーシスは、たんぱく質の一種が細胞や組織の隙間に沈着することで起きる病気です。猫の場合は腎臓や肝臓にアミロイドが沈着することが多いと言われていますが、かかりつけ医からは「他の部位にも症状が現れる可能性はある」と教わりました。

アミロイドーシスは遺伝によって発症するとも言われていますが、詳しい原因はまだ解明されていないのが現状で、分からないことが多いようです。

「ジャンプが命取り」になるアミロイドーシスの怖さ

かかりつけ医から受けた説明がすごく分かりやすかったのですが、アミロイドが沈着した臓器って例えるならばクッキーのように硬くなり、少しの衝撃で壊れてしまうのだそう。

だから、「ジャンプ」の衝撃で臓器が損傷し、命取りになってしまうこともあるのだと聞きました。

アミロイドーシスは発症率が低い病気だと言われていますが、そもそも確定診断に至るまでが難しいので、死後に死因を調べるために検査をして「アミロイドーシスだった…」と分かることが多いそうです。

アミロイドーシスは発症率が低い病気だと言われていますが、そもそも確定診断に至るまでが難しいので、死後に死因を調べるために検査をして「アミロイドーシスだった…」と分かることが多いそうです。

生きている間に確定診断が難しい理由は、主に2つあります。

  1. 大学病院などの施設が整った「二次病院」で、臓器の一部を取って検査をする必要がある
  2. アミロイドが沈着している臓器の一部を取ることが、そもそもハイリスク

愛猫がアミロイドーシスの可能性があると告げられた時、私が感じたのは生活環境をどう変えたらいいのか…という不安でした。

思いっきり猫らしい生活を楽しんでほしいと思って設置したキャットステップやキャットウォークが今後、命取りになる可能性がある…。自宅をどう改造すればいいのだろうと本気で悩みました。

愛猫が「アミロイドーシス」だった時にできる生活環境の整え方は?

「アミロイドーシスの疑いもあるから、試験開腹(※疾患が不明な時に開腹をすること)まではジャンプをさせないようにしてほしい」

獣医師からそう言われたので手術までの数日間、ジジには主にペットサークルの中で過ごしてもらい、私の目が行き届く時だけ少し部屋の中を歩いてもらっていました。

そうした暮らしの中で痛感したのは、「健康であること」を前提に家づくりをしてしまったという後悔。

猫砂が飛び散りにくいよう、掘りごたつのように一段下げた猫用トイレスペースは人間的には便利だけれど、愛猫にアミロイドーシスの可能性があると思うと段差が怖く思えました。

愛猫が「アミロイドーシス」だった時にできる生活環境の整え方は?

少しでも危険を取り除きたくて、空いている隙間にペットステップを設置しましたが、愛猫たちは警戒して使ってくれず。結局、ジジがトイレに行くたび、後追いし、抱き上げ、トイレに出入りさせる日々を送りました。

ジジは、すごくストレスを感じる日々だったと思う。本当にごめん。

トイレだけでなく、リビングを囲むように設置したキャットステップも悩みの種に変わりました。

トイレだけでなく、リビングを囲むように設置したキャットステップも悩みの種に変わりました。

(※病気が発症する前の写真です)

我が家はジジがおニブさんなので、一般的な基準よりもキャットステップ間の距離を近くしてはいましたが、ジャンプがリスクに繋がるのなら、取り外し可能なキャットステップや高さを変えられるキャットステップにしたほうがよかったと後悔…。

ただ、自宅にケージだけではなく、ペットサークルも用意していたので助かる部分はありました。猫用のケージだと段差があるので愛猫の動きが制限できないことがあり、猫用トイレを置くとスペースが狭くなってしまいますが、ペットサークルなら猫用トイレを入れても、ある程度の広さが確保でき、動きも制限できたからです。

ただ、自宅にケージだけではなく、ペットサークルも用意していたので助かる部分はありました。猫用のケージだと段差があるので愛猫の動きが制限できないことがあり、猫用トイレを置くとスペースが狭くなってしまいますが、ペットサークルなら猫用トイレを入れても、ある程度の広さが確保でき、動きも制限できたからです。

もし、この先も動きに制限が必要ならば、ひとまずペットサークルを2つ用意して猫用おもちゃのトンネルで繋ぎ、目を離す時、少しでも快適に暮らせるようにしようか…。

試験開腹を前に、そう思い悩む日々は地獄のように苦しかったです。

疾患に応じて暮らし方を変えられる「猫共生住宅」を

そういう自身の体験を踏まえて痛感したのは、疾患に応じて暮らし方を変えられる家づくりをすることの大切さでした。

「猫=高い場所が必要」という考えからの工夫は、たしかに必要です。ただ、愛猫の体に何かが起きた時にも快適に暮らせるか、という視点も持って家づくりをすると、より後悔しない猫共生住宅ができると思います。

疾患に応じて暮らし方を変えられる「猫共生住宅」を

幸い、ずっと健康でいてくれても、そういう家なら愛猫が年老いた時でも安心して過ごせる。これから家づくりをされる方はぜひ、意識してみてほしいです。

あと、猫と暮らす家に注目が集まっている今だからこそ、ハウスメーカーやペットメーカーにも「何かあっても猫が楽しくニャン生を謳歌できる家づくりの工夫」を考えてもらえたら嬉しいな。家づくりって自力で解決するのは難しい部分もあるから。

現在、ジジの病理検査の結果はまだ出ていませんが、試験開腹後、獣医師から「腸以外の臓器に異変はなく、多臓器不全でもなかったのでアミロイドーシスの可能性は低いだろう」と告げられ、今は少し安心。

ただ、今回の件は自分にとって大きな学びとなりました。アミロイドーシスという病気の知識が広まり、病気を抱えていても快適に暮らせる猫さんが増えてほしい。

最後にひとつ。もし、アミロイドーシスの猫さんと暮らしてらっしゃる方がいたらお話を聞かせてください。自分が悩んだ時に情報が得られにくかったので、当事者目線の発覚経緯や暮らしの工夫を伝えたいと思っています。連絡をもらえたら嬉しいです。


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