治療法がない闘病生活は、終わりへのスタートみたいに思えて飼い主の心はどうしても不安定になります。そんな中で、愛猫との別れ方を考えるのは、やっぱり苦しい。
だって、願いが叶うのなら、ずっと一緒にいたいんだから。
でも、闘病期に「愛猫の死」という辛くもリアルな未来が間近に迫っていることを少しだけでも受け入れて、「別れへの備え」をしておくと、より後悔のないお別れができることもあります。
今回は「ずっと生きてほしい」と願いながらも、愛猫の闘病中に私がしていた「別れへの準備」をお話します。
気持ちが揺れ動く中で考えた「終生飼育の意味」
愛猫ジジは「血管肉腫」という悪性腫瘍が転移し、胸水が溜まるようになりました。週1で抜いても、溜まり続ける胸水が憎かった。
胸水が溜まると、呼吸をするたびに体がベコベコとへこむ。そのへこみ具合を観察しては「今日、病院に行って胸水を抜いたほうがいいな」と判断するような日々でした。

ジジは日に日に、呼吸をするのが苦しそうになっていき、ゴロゴロ音を鳴らすのも命がけな状態に。大好きな存在がそれほど苦しんでいる姿を見て、私の心はぐちゃぐちゃでした。
これ以上、苦しんでほしくはないけれど、まだ一緒にいたい。楽にしてあげたいけど、置いて行かないで。ひとりにしないで。
相反する感情だらけで、とにかくジジがいない日を考えるのが怖かった。

でも、そんな中でふと思った。この闘病中だけでなく、最期の最期までできる限り大切に見送ってあげることが飼い主にできる最大限の愛情表現であり、本当の意味での終生飼育なんじゃないかなと。
それを機に、私は目をそらしていた「愛猫が亡くなった後」という未来について考えるようになりました。
闘病生活と並行して「ペット葬儀社探し」をスタート
正直、闘病をしながら「愛猫が亡くなった後のこと」を考えるのは精神的に苦しいものでした。
でも、自分が苦しむのはもういいやと思った。私はいくらでも苦しんでもいいし、辛くなったっていい。そんなのは、もうよかった。
その時の私にとって大切だったのは自分の心を守ることではなく、大好きな愛猫が最期まで雑に扱われることがないように、そして、これまでのニャン生を尊重してもらえるような「別れ方」への道筋を作ることだったから。

まず考えたのは、「弔い方」です。動物の葬儀の仕方は、主に2パターン。
①ペット葬儀社に自分で遺体を持ち込んで、葬儀や火葬を行う
②自宅に移動式火葬車を呼び、その場で火葬を行う
また、火葬の仕方は他の動物たちと一緒に火葬する「合同火葬」と、その子だけを火葬する「個別火葬」の2パターンがあります。
他にも、住職がお経を読んでくれたり、お骨拾いができたりするなど、イマドキのペット葬儀社って弔い方が本当に多様。お骨を粉状にできるオプションもあるので、どこでどんな葬儀を行い、どう火葬して見送りたいのかを飼い主は考え、自分の希望が叶う葬儀社を探すことができます。
ただ、多様な弔い方があるからこその難しさも。愛猫が亡くなった直後、飼い主の心身は抜け殻みたいになる。そんな状態で、数あるペット葬儀社から自分の希望を叶えられそうな業者を見つけ出すのは、結構難しいように思う。
私は、動物だからという理由で命を軽視せず、事務的に扱いもしないペット葬儀社に愛猫の最期を任せたいと常々、思っていました。でも、愛猫が亡くなった後の自分を想像したら、希望する火葬を行ってくれる葬儀社を冷静に吟味できる自信が持てませんでした。
もしかしたら、動物の葬儀は亡くなった後に葬儀社を選ぶのでは遅いのかも…。そう思ったので、私は闘病と並行して葬儀社探しも行い始めました。
最期まで大切にしてきたのに、よろしくない葬儀社を選んでしまって遺体を雑に扱われたり、お骨が残らなかったりしたのでは一生、後悔してしまうから。
「生」と「死」の間を行き来するのは結構しんどい。でも、世の中には悪質なペット葬儀社もあると聞いたことがあるので、「そんな業者に愛猫を渡してなるものか。ジジの尊厳を最後まで守るんだ!」の一心で、なんとか頑張れたんだと思います。

ペット葬儀社を選ぶ際、参考にしたのはGoogleの口コミ。口コミの内容だけでなく、寄せられた口コミひとつひとつにテンプレではない返信をしているペット葬儀社には温かみを感じたので、サービスの内容を調べた後、候補先のひとつに。
また、実際に動物との別れを経験したことがある友人に利用したことがある葬儀社を聞きました。
後日、別のエッセイで書かせてもらう予定ですが、こうやって丁寧に選んだからこそ、これ以上ない「別れの時間」を作ってもらえるペット葬儀社と出会え、後悔のない見送りができ、ありがたかったです。

もちろん、愛猫の突然死などで考える間もなく、ペット葬儀社を選ばねばならない状況に置かれる時はあるもの。
ただ、愛猫の見送り方って、一生残る思い出にも傷にもなるからこそ、事前に考えられる状況であれば、愛猫のためにも自分自身のためにも前もって情報を調べてほしい。任せたい葬儀社を見つけたり、希望する火葬や葬儀の形を明確にしておくことは大事だと思います。

ちなみに、依頼したいペット葬儀社は2~3つほど見つけておくのがおすすめ。なぜなら、葬儀社のスケジュールによっては、希望日に火葬できない場合があるからです。
実際、私の場合も最初は平日しか難しいと言われましたが、急遽キャンセルが発生したようで、日曜に行ってもらえることに。だから、夫も火葬に参加できました。
ジジは生前、夫に片思いしているかのように、よくこっそり観察していたので、きっと夫も参列してくれて嬉しかったと思う。
そういう細かなところでも、できる限り後悔が残らないように、生きているうちからペット葬儀社を調べてほしいと思います。
家族には「火葬や葬儀への参列の意思」を確認
ペット葬儀社を選んだ後、私がしたのは家族に「望む見送り方を確認すること」でした。私は自身の両親と敷地内同居をしており、両親もジジのことをかわいがってくれていたので、「ジジが亡くなったら、移動式火葬車を自宅に呼んでお骨拾いもしようと思っているんだけど、参列する?」と聞きに行きました。

こうやって、愛猫に関わってきた家族が希望する「別れの形」を詳しく確認するのも、愛猫が亡くなった後だと、なかなか難しいように思う。驚くほど早く硬直していく遺体を前にすると気が焦り、「とりあえず、早く火葬をしてあげないと…」と思いやすいから。
そういう気持ちになるのは当然のことだからこそ、誰も後悔しないよう、愛猫が生きているうちに、家族の気持ちや要望を確認しておくとよいと思います。
我が家の場合、両親は「見るのが辛いから」という理由で火葬に参加しないことになり、夫と私の2人で火葬を見届け、お骨拾いをしました。
その子を愛しているからこそ、葬儀に参加できない。火葬を見届けるのが苦しい。そんな気持ちを持つ人もいて当然なので、事前に全員の意志を確認できてよかったと改めて思いました。
抜け落ちていた「ロックアイス」の準備
そうやって、できる限りの準備をしているつもりでしたが、完全に抜け落ちていたものもありました。
例えば、遺体を冷やすロックアイス。準備していなかったので、ジジが亡くなった後に急いで薬局に走り、2kgのロックアイスを3袋買いました。
お店が開いている時間帯だったので助かりましたが、看取った直後に運転や買い物をするのは結構、危険。前もって準備をしておいたほうがいいです。

なお、ペット葬儀社によっては遺体の安置もお願いできるところもありますが、「今から引き取りに来て安置してください」は、難しいことも…。実際、私の場合は難しいと言われました。
それに、火葬が翌日にできる場合はおうちで遺体を安置することが大半だと思うので、下記のものも事前に準備しておくと便利です。
・遺体が入る大きめの段ボールや発泡スチロール
→我が家の場合は、まとめ買いしているペットシーツが入っていた段ボール箱が偶然、残っていたので助かりました。
・使わないバスタオル
→ロックアイスと遺体の間に敷きます。時間が経つと、遺体から体液が漏れ出すからです。
ちなみに、遺体の安置法はペット葬儀社のホームページなどにイラスト付きで詳しく解説されていることも多いので、初めて愛猫を見送る時は、そちらを参考にすると分かりやすいです。
動物との別れは何度経験しても”慣れる”ことはないほど、悲しくて苦しいもの。初めての方は特に、何をしていいのか分からず、パニックになることもあると思います。そんな時、私の経験が少しでも心を支えられたら嬉しい。
闘病期はある意味、愛猫との別れ方を考えることができる「与えてもらえた時間」でもある。できる限り後悔がないよう、その先の未来も考えていけたらいいですね。
私も、20年寄り添った、かけがえのない、相棒を失いましたー最後まで、見届けまました。本当に、さみしいです。どこを見渡しても、いるようで、いない現実はとても切ないです〜今まで、ありがとうしか言えません!
3日前愛猫を火葬しました
死後翌々日に火葬をしました
闘病期間は約ひと月
ひと月ほど全く食事をしなかったので亡くなった後の体液漏れなどは無く餓死のような状況のため臭いや腐敗の心配は通常の猫さんと比べありませんでした
なので冷やすなどの処置はしてませんし
自宅で日頃使用していたベッドで寝かせてました
(飼主は人間用の葬儀屋で働いるので遺体の知識は多少あります)
葬儀、火葬についてはめっちゃ調べて人から聞いてgoogleで調べて現地に行きました
近隣の評判の良い葬儀社を下見をして絶対嫌!と思ったこともあり
私の場合、下見は本当に良かったです
電話して連れて行ってから違和感を感じてもその場では断われないと思う。
とはいえ準備が出来ないケースも多いですよね
死生観にもよるし元気な時にぼんやり考えるだけでも違うかもしれませんね。
先日愛猫に病気が見つかりました。
まだ元気であるのですが、心はとても動揺してしまい日々泣いてしまうことが多くあります。
別れの瞬間もその一つで、できるだけ考えたくないのですが、しかし本日コラムを読ませていただき、考えが変わりました。
大切だからこそ考えなければならないし、選ばなければならない。
わたしも、人間が辛いをやればいい、できるかぎり猫には幸せでいてほしいと思っているので、辛くてもやって行こうと、これからいつその時が来るかわかりませんが、後悔がないように私も誰かにこのようなきっかけを与えることができるよう
大切に時間を過ごしたいと思います。
辛い中、きっと涙を流して書かれたことと思います。読み終わり、ふと思い直し読み返すと涙が溢れてしまいます。
ありがとうございます。ありがとうございます。
はじめまして。
いつもXで読ませていただいています。
こんな風に記事にしていただいて、心から感謝いたします。
保存して、いつかの時にまた熟読させていただきます。
ありがとうございます。
この記事のご感想をお寄せください!(コメントを書く)