愛猫ジジを2025年5月に亡くしたことで、私は「死」について、より深く考えるようになりました。動物の死はもちろん、自分の死についても。
そうした中で強くなっていったのが、今できる対策を精一杯して、自分に何かあった時でも、愛猫が孤独や飢えを感じないようにしたいという想いでした。
今回は、“未来の愛猫“を守るため、私が実践している「愛猫のための終活」や大切だと思う対策法をお話します。
35歳の飼い主が実践している「愛猫のための終活」
ジジを亡くした時、悲しくて辛かったけれど、「終生飼育はできた」と安堵する自分がいました。
私は持病があり、幼少期から入院することが多く、「明日、健康な体で1日を終えられるかは分からない」という考えが頭の片隅にこびりついているからです。

でも、ホっとしたのと同時に、生きている2匹の愛猫たちのこともちゃんと終生飼育するには今、自分がしている備えで十分なのだろうかと不安になりました。
ここからは、実際に私がしている備えや愛猫のための終活を紹介します。
①エンディングノートに要望を書き残す
私は30歳になった頃、エンディングノートを書き始めました。理由は、そろそろ死を考えて動かなければならないなと思ったからです。
私は、生まれつき心臓の部屋が2つに分かれていない「単心室症」。現代の医学では完治はムリ。根治術法が広まったのは、ちょうど私が生まれる前くらいです。

患者数が少なく、寿命の統計も取れていないから、ぶっちゃけどれくらい生きられるのかは不明。でも、心臓の状態はゆっくりと悪化していっています。
元主治医からは以前、「同じ病気の人での最高齢は50歳くらい」と聞きました。その統計は、私が受けたものより古い型の手術を受けた方々の寿命からはじき出されたものだったと思う。
でも、その言葉を聞いてから、私は漠然と「50歳まであと〇年」と考えながら生きるようになりました。
そして、30歳の頃に「生きられそうな期間より、生きてこられた期間のほうが上回ったな」と感じ、エンディングノートを購入しました。

私が購入したエンディングノートは、デジタルデータ資産の処分法についても詳しく書けるが良き。ノートには、お世話になっているフォロワーさんたちへ向けて死後に投稿してほしい「愛猫たちの今後のこと」も書き記しています。
誰にも頼れない場合は「老猫ホーム」も検討
私に何かあった時には、愛猫たちを絶対に守る。私たち夫婦は日頃から、そんな会話をして互いの認識にズレがないようにしています。
こういう話し合いって、すごく大切なこと。「猫たちは俺が責任を持って育てたいけど、もし俺に何かあった時はどうすればいい?」など、起きるかもしれない“もしも”も想定し、頼ってほしい施設や相手を具体的に伝えています。

当の本人ニャンは、そんな私たちを上から見下ろしてご満悦です。
遺された家族も、健康で暮らせる保証はない。そんな視点も持って愛猫の未来を考えていれば、想定外の事態が起きた時、何をすべきか判断しやすいと思うんです。
我が家の場合は、何らかの事情で夫や身内が愛猫たちのお世話をすることが難しくなった場合は老猫ホームに頼ろうかと話しています。

こういう時こそ、コツコツ貯めて(今も貯めてるけど…)猫貯金の出番だ。
老猫ホームはまだ全国的に数が少ないけれど、猫の腎臓病薬AIMの実用化で長寿猫さんが増えれば、様々な事情で飼い主さんが飼育困難になった猫さんを受け入れる施設の需要が高まり、全国的に数が増えてくると思う。
だから今は、複数の施設の設備や金額を比較しつつ、「もっと猫貯金を頑張るぞ!」の日々です。
③愛猫の好みや個性を「うちの子手帳」に残しておく
猫だって人間と同じで、ひとりひとり個性がある。好きなことも違うし、「それは嫌じゃないんだ…!」って驚かされることもある。
そういう愛猫の好みや個性を、お世話を託す人に細かく伝えることって大切。新しい環境や新しい飼い主と暮らす時は、猫だって不安でいっぱいだから。

できる限り好みや個性を考慮し、尊重してもらえる暮らしができれば、「ここも悪くないじゃん」って安心してくれると思うんです。
私はオキエイコさんが考案・製作された「ねこヘルプ手帳」を使用していますが、他にも「うちの子」の情報を細かく書き残せる手帳は色々あるので、自分に合うものを探してみてください。

プロフィールを書く中では、改めて愛猫と深く向き合うことができて、「うちの子めっちゃ面白いやん」と笑うこともあります。(実話)
あ、ちなみに災害時や事故時に役立つ、「うちには猫がいます」ステッカーもおすすめです。
愛猫たちを守るために“今後したい対策”
①公的な遺言書の作成
エンディングノートを書く中で募ったのは、愛猫の未来に関することは、やっぱり公的な遺言書を作成したいなという想い。
自分に関する要望はエンディングノートの質問に答えるだけで十分でしたが、エンディングノートには法的な効力がないので、愛猫を守るにはちょっと力不足かなと。

今後は弁護士に相談をしながら、愛猫に財産を譲れるよう、公的な遺言書を作成したいなと思っています。
ペットには財産を遺せませんが、お世話をしてくれる人に財産を譲り渡すという方法なら、間接的ではありますが、コツコツ貯めてきた貯金を愛猫に渡せます。
ただし、遺言者よりも先に愛猫や遺言を託された人が亡くなるなど、思わぬトラブルが起きる可能性もあるので、あらゆるケースを想定しつつ、弁護士などの専門家に相談して書類の作成を進めていけたらと思います。
「弁護士に相談」って聞くと身構えちゃいますが、地域の無料弁護士相談会なら気軽に足を運びやすいので、おすすめです。
②闘病も乗り切れ、老猫ホームに入所もできるように貯金!
お金がどれほどあっても命が救えない時はありますが、猫貯金はやっぱりあると心強い。私は悩んだ末にペット保険には入らず、猫貯金をして愛猫の“もしも”に備えてきましたが、ジジの闘病でペット医療費の高さを改めて痛感しました。
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ただ、闘病を経験したことで、検査や手術にかかる大まかな治療費を知れたことはよかった。

もちろん、闘病中にかかる金額は病気や治療法によっても変わりますが、自分の中で「これだけあれば闘病に備えられるだろう」という貯蓄額が明確になりました。
だから、「その金額プラス、備えとして老猫ホームの入所費を貯めよう」と、目標の貯蓄額を考えやすくなり、猫貯金はますますはかどっています。

もし、老猫ホームに託すのなら、ケージレスで過ごせ、寝たきりになっても細やかなケアをしてくれる施設がいい。いずれ、見学などにも行き、実際に自分の目で見て、安心して託せる老猫ホームを「備え」として知っておきたいと思っています。
愛猫を孤独にしないために「実現化されてほしいサービス」
これは私個人が勝手に願ってるサービスなんですが、飼い主が生きているうちに愛猫の新しい飼い主を探せるマッチングサービスがあればいいな、と思っています。
もちろん、虐待防止の観点から考えると難しいし、「譲ってもらえる確証がない猫を待てる人はいるのか?」という疑問もありますが、自分がいなくなっても安心して愛猫を“次の飼い主”に託せるサービスがあれば、結果的に猫も人も安心できると思う。

例えば、愛猫が心配で入院できない飼い主さんの苦悩も解消されやすいだろうし、高齢者が愛猫を看取れない問題も少しは解決に向かうはず。
猫の長寿化を喜びつつ、「長生きしてくれる愛猫を看取れるか問題」への対策も行っていけたら、せっかく広がってきた“保護猫を迎える”という風潮も尻すぼみになっていかないと思う。
幸せな猫を増やすには、飼い主である自分の最期とも向き合うことが大切。私もまだまだ今できることがたくさんあると思うので、情報収集しつつ、愛猫たちが生涯、苦しい思いをしないように頑張っていきたいです。
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