愛猫ジジが亡くなった直後、私は後を追いたい気持ちに駆られました。ただ、後を追ってもジジは喜ばないと思ったし、むしろ怒られるような気がした。
だから、愛猫が悲しむ選択をしてしまわないよう、「オーダーメイドの遺骨リングを作る」という目的を作って、後を追いたい気持ちにブレーキをかけることにしました。
今回は、製作時の流れやリングにこめたこだわり、リアルな金額などを公開します。
本格派ジュエリーショップで「愛猫の遺骨リング」をオーダー
遺骨リングを作りたい。そう思ってネットで調べると、思っていた以上に動物家族の遺骨リングを作れるお店が少ないことや値段がピンキリであることを知りました。
私は本来、ケチです。買い物をする時は、電卓で計算までして少しでも安いものを選ぶタイプ。最初は遺骨リングも、ネットでオーダーできる安価なものにしようと思っていました。
でも、オーダー画面を開いた時、「この指輪で私は本当に満足できるだろうか」と自問自答してみたら、「無理だ」と感じた。愛猫は世界にたったひとりの存在で、最期まで誇り高かった。

だから、亡き後も世界でたったひとつの形で誇り高く、そばにいてもらいたいと思い、覚悟を決めました。よし!人生で一番高い買い物をしよう!信頼できると思えた本格派ジュエリーショップで、オーダーメイドの遺骨リングを作ろう、と。

調べる中で気になったのは、遠方に店舗があり、オンライン打ち合わせができるA店と近隣に系列店があるB店。正直、デザインはA店のほうが好みでしたが、指輪って画面越しに見るのと実際に見るのとでは見え方がかなり違うだろうなと思ったので、直接行けるB店にオーダーしました。
3時間も相談して「遺骨リング」のデザインが決定!
私は元夫との結婚前、ショッピングモール内のジュエリーショップへ行ったことはありましたが、独立した店舗の本格派ジュエリーショップへ行くのは初めての経験。しかもひとりでなんて…と、当日は緊張しながら、お店に向かいました。
ひとまず、できるデザインを聞いてみよう。そんな軽い気持ちのまま、スタッフさんとの打ち合わせを進めていくと、できるデザインの豊富さに圧倒されました。表面はもちろん、内側の刻印も自由度がすごく高かった。
B店には、その場で何枚でもデザイン画を無料で描いてくれる専門のスタッフさんもいます。担当者とデザイナーさんは、私が指輪に反映したいジジの個性を丁寧にヒアリング。

ジジの写真も見ながら個性をリングに反映できるよう、こだわってくれました。
その気持ちがすごく嬉かったし、打ち合わせで「なぜかヒゲが曲がりすぎてて…」とか「尻尾がたぬきみたいで」と話すたび、ああ、私はジジが亡くなってからこんな風にかわいいところを笑いながら話せた日がなかったな、と気づかされもしました。
また、B店には職人さんがいるため、一番綺麗な仕上がりになる手法を確認してもらいながら、デザインを決めていけました。

お店に伺う前、私は「サビ柄らしい毛並みを表現したい」という漠然とした要望しかありませんでしたが、スタッフさんたちと話す中で”作りたい形”が定まっていき、「プロって、すごい…」と感動しました。
デザインが決定したのは、打ち合わせを始めてから3時間後。たっぷり時間をとってもらえたことが嬉しかったし、イメージが違う時には快く、デザインを修正してくれたデザイナーさんの温かさもありがたかったです。
相談から1ヶ月後に指輪の「原型チェック」
細部までこだわったリングにしたい。そんな強い想いがあると、決まったデザインの一部を変えたいと思うこともあるもの。私は帰宅後、内側の刻印を変更したくなり、その日のうちにB店へ具体的な修正依頼をメールで送りました。
すると翌日、B店からは早速、私の希望を取り入れた修正案が2つ送られてきて、ビックリ。スピードの早さと、修正してもらったデザインの良さに驚きました。
愛猫の遺骨リング、内側の刻印までこだわってもらえて嬉しい。
— ゆあ | ライター🖊 (@yunc24291) May 27, 2025
おヒゲが特徴的だった話や生前にいちごが好きだったこと、亡くなる前にいちごパーティーを家族でしたことを聞いて、こんなデザインを考えてくださる想像力とデザイン力に感動する。 pic.twitter.com/TC8FfB3i9B
その時のメールも業務的ではなく、私がジジを想う気持ちを配慮してくれ、嬉しかった。B店に頼んでよかった…と心の底から思いました。
デザインの打ち合わせから1ヶ月後に、指輪の原型チェック。色味が違うので、正直、完成形はあまりイメージできませんでしたが、指にはめた時、「もうすぐ、ジジとずっと一緒にいられるんだ」と嬉しくなりました。

この日は、ダイヤ選びも。ダイヤって同じ色でも、よく見るとひとつひとつ光り方や色味が微妙に違うことに驚いた。
ただ、直感タイプの私はパッと見て「ジジっぽい」と思えるものを選ぼうと思っていたので、秒で決定。決めるのが早すぎて、担当者さんにすごく驚かれました(笑)
オーダーから約2ヶ月で「愛猫の遺骨リング」が完成!
オーダーから約2ヶ月後、ついに愛猫の遺骨リングが完成。ここからは実際に遺骨リングを紹介しつつ、こめた想いやこだわりなどもお伝えします。
完成した遺骨リングは、こんな感じ。完成日、Xに投稿したら大バズし、60名以上から「製作先を教えてほしい」とのDMをもらいました。

遺骨リングという形で亡くなった動物家族と共にいたい人って、こんなにも多いんだなと驚いたし、同じ気持ちの人がいると知れて嬉しかった。この先、愛猫が亡くなった時のために知っておきたいという方もいて、その猫愛に目尻が下がりもしました。
リングを作る時、まず決めなければならないのが「つける指」。私は初め、中指と薬指で迷っていました。でも、ふと思った。私が生涯、愛を誓いたい相手って誰なんだろうって。
そう自問自答した時、「猫だな」と思ったので、薬指に決めました。

人間との縁は、切れることもある(※私はバツイチで毒親育ち)。でも、猫との縁は永遠。私はこの先、一生ジジと他の猫たちを愛しながら生きていきたい。そう思ったので、薬指に遺骨リングをつけ、猫と永遠の愛を誓いました。
色々なことが多様な時代だからこそ、生涯の愛を誓う相手だって人間でなくてもいいと思ったから。
リングは個人的な好みからカーブのある形にしようとは思っていたのですが、実際にお店で相談すると、カーブの種類が多すぎて混乱。
ただ、実際、指にはめてみると、ひとつだけ懐かしい感覚がする形が。ジジの生前、私は曲がりすぎて円状になったヒゲに指を入れて遊ぶことがあったのですが、その時の感覚を思い出せる形状がひとつだけあった。

そんな思い出を担当者の方に伝えつつ、「これにします」と言った時、自然と涙がこぼれました。担当者の方も一緒にウルウルしてくれて、温かかった。
リングの表面はツヤ×マットで溝を作って、たぬきみたいだった”しましま尻尾”を表現。右側にクルンと上がっている部分は、カールしていたおヒゲを表しています。

このデザインは、Xで初めてジジがバズった時の自由奔放すぎるおヒゲ写真を見て、考案してもらいました。(※スタッフさんたちは「想像以上のカールでした」と笑ってくれた)
おヒゲが暴れてらっしゃる。 pic.twitter.com/YScCfprPtP
— ゆあ | ライター🖊 (@yunc24291) July 4, 2018
おヒゲを表現したデザインの中に埋め込んだのは、ブラウン系のダイヤ。「ブラウン→ライトブラウン→ライトブラウン」の並びにし、サビ猫らしいグラデーションある毛色を表現したつもり。
そして、このダイヤの並びにはもうひとつ意味があり、「ジジ→私→夫」を表現してもいます。私たちが揃うのを待って旅立ってくれたのだから、リングになっても、きっと一緒にいたいと思ったから。

私たちはジジをずっと支え、そっと傍にいるよ。そんな想いも込め、ジジを表すブラウンダイヤよりもあえて薄い存在感になるライトブラウンを「自分たちのカラー」として選びました。
なお、内側の刻印は、ジジらしくヒゲがカールしている猫の絵にしてもらい、生前、大好きだった苺も描いてもらいました。亡くなる数日前に夫と3人で苺パーティーした思い出も残したかったから。

B店はリングにお骨を入れる際の「封入写真」もしっかりと送ってくれ、安心できた。永遠の愛を”ゆびきりげんまん”できるよう、入れてもらったのは指の骨。
お骨が埋め込まれているのは苺の隣。大好きな苺のそばで幸せを感じてくれてるといいなあ。
本当は18金にしたかったけれど、高すぎたので素材は14金。値段は、260,260円です。ケチな自分にとっては、史上最高額の購入品になったけど大満足だ。
遺骨リングの完成後に起きた”心境の変化”
お金を使うと、私はなぜかいつも罪悪感に襲われる。でも、この遺骨リングが完成した時は「使っちゃったなあ…」という罪悪感が全くなく、ジジとこれから色々なところに出かけられることが嬉しかった。
ジジが亡くなった後、もう思い出が増えていかないことが悲しかった。写真や動画で幸せを振り返ることしかできないのが苦しかった。

でも、お骨という形になったからこそ、一緒に出かけられる場所、見せてあげられるものがたくさんあると気づいた時、見える未来が少しだけ明るくなった。
遺骨リングを受け取った直後、薬指を晴天にかざし、「ジジ、これが夏の空だよ。今日は暑いね」と話しかけた時、もしジジが今ここにいたら、どんな反応をするのかなと想像し、少し笑えた。きっと、まん丸な目で驚きながら、風のにおいをスンスンと嗅いだだろうな。

指って目に入りやすいから、外出先で「もし、ここにジジがいたら…」と想像して笑顔になることが増えた。気分が落ち込む日は、目に入りやすい部位だからこそ、遺骨リングを見て泣けることもあるけれど、「ずっと一緒に生きている」とは感じやすくなりました。

”愛猫の死”という辛すぎる現実と向き合うのは、苦しい。すべてがどうでもよくなり、暗闇の中でさまよっている感覚にもなる。だからこそ、私の体験が似た思いをしている方にとって、「自分なりの心の癒し方」や「愛猫の死との向き合い方」を見つける、ひとつのきっかけになったら嬉しいです。
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