「毛がつきにくい素材かどうか確かめるようになった」とか「黒い服を買わなくなった」など、猫と暮らし始めると飼い主のファッションセンスが変わることがあります。
20代中頃、私は猫への愛が募りすぎてファッションセンスをこじらせていました。今だから話せる黒歴史を、笑ってやってください。
「日用雑貨のすべてを猫で埋め尽くしたい欲」に駆られて
幼い頃から実家で猫と暮らしていた私ですが、本格的に“猫沼”にハマったのは20代前半の頃です。きっかけは、実家にやってきた黒猫マロンとの出会いでした。

子どもの頃、私はどちらかというと猫が苦手でした。普通に歩いているだけでじゃれてくる実家猫が怖かったからです。(多分なめられてた)今ではそこも「かわいいポイント」だと思っていますが、当時は猫という生き物の行動の読めなさに翻弄され、「どうすればいいんだよおおおおお!ぼくがなにしたっていうんだよおおおお!」(藤原竜也さん風)と心の中で叫んでいました。

でも、マロンと出会ってからは猫という生き物の見え方が180度変わりました。マロンは子猫の頃、実家にやってきた子です。当時、20代前半だった私はようやく勤めることができた職場がパワハラの宝庫だったため、半年ほどで退職。
うつっぽくなり、「私は何をやってもダメな人間なんだな」と自己卑下する日々。無職になった焦りも募っていました。生まれつき心臓病がある自分が企業に採用してもらえるなんて、稀なこと。それなのに、自分の手で職を失ってしまったことへの後悔が消えませんでした。

そんな心に寄り添ってくれたのが、マロン。「やっぱりダメだったか」とか「仕事なんてみんな辛いんだから心の持ちよう」と言ってくる人間の家族よりも、無言で喉を鳴らしてそばにいてくれるマロンのほうが家族でした。
マロンは猫への接し方や、猫はじゃれてきても怖くないことを教えてくれました。そういう日々を過ごす中で私の心に芽生えたのは、「日常で目にするすべての雑貨を猫モチーフのものにしたい!」という願望でした。
「ファッションに猫が足りない」と気づいて迷走
日常の中で、目に映るものすべてに猫がいてほしい。そう思うようになった私はマグカップやタオル、食器、キッチンマットなど、日用品をすべて猫モチーフのものにしました。
なんとか受かったゲームセンターでのアルバイト後には、店内のガチャガチャをチェック。猫モチーフのものがあれば、必ず回しました。バイト仲間に「今日も回してるの!?」とよく笑われたのは、いい思い出です。

そんな日々を送る中で気になったのが、ファッション。自分の日常に、こんなにも猫が溶け込みつつあるのに、なぜ私は無難なファッションをしてるんだ…!猫モチーフの洋服を選ぶべきだろ!と自分を叱りたくなったのです。
ファッションに猫が足りない…。そう気づいてからは、まずイヤリングや指輪など取り入れやすいところから猫を投入。ゆるい猫Tシャツを買い揃えて「部屋着を猫にする計画」も進めていきました。

自宅で“ねこざんまい”なファッションになれる準備が整った後は、外出時に着られる猫モチーフの服を手に入れるべく、ネットサーフィン。ただ、これが予想以上に大変で…。当時は、猫ブーム到来前。大人でもサラっと着こなせる猫モチーフの服はほぼありませんでした。
それでも諦めきれない私は、一大決心。低身長を武器にして、猫モチーフの子ども服を購入。無理やり、猫ファッションを楽しむことにしたのです。
外出先で自分の不審者っぷりに気づいて…
女児用猫トップスを手に入れた後は、パンツ(ズボン)選びに大苦戦。さすがにパンツだと女児用は入らず、大人用では猫のデザインがあしらわれているものがほぼなかったからです。
悩んだ末、私は「ヒョウ柄も猫と認める」というマイルールを設定。こうして、女児用猫トップス×ヒョウ柄パンツがデフォな20代女児が爆誕しました。

このファッションがヤバいことに気づいたのは、ある日の外出時。「なんかヤバそう服装の人がこっちに向かってくる…」と思っていたら、それは鏡に映った自分でした。
鏡に映っていたのは、かわいい猫デザインの洋服を着た“顔だけおばさん“。え…。これが私…?客観的に見てヤバくないか…?ようやくそう気づいた私はその日、お気に入りの猫ファッションをそっと封印しました。
それから数年間は、「猫が描かれていない服は着たくない!」という謎のこだわりが消えず、新しい服を買うことができませんでした。でも、20代後半になると、そうした心のざわつきが少しずつ収まり、「心に猫愛があればそれでいいじゃない」と思えるように。これが大人の余裕ってやつなのかもしれません。

ただ、靴下や部屋着などに猫を取り入れる癖は治っていません。ネットサーフィン中にかわいい猫モチーフの洋服を見ると、「やっぱり服にも猫がいたほうがテンション上がるよな!」過激な猫愛が再燃することもあります。
今は30代らしく、大人なよそ行きファッションを意識しているけれど、この先、年齢を重ねて「もう何を着たって私の自由だな!」と開き直れる年齢になったら、またあのイタくて愛おしい“全力猫ファション”を楽しむのかもしれません。
もし、その時、私がまだ記事を書いていたら、「あいつ、何歳になっても変わんねえなあ」と笑ってやってください。






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