日々の診察の中で、「猫の誕生日に与えていい特別なご飯は何ですか?」と聞かれることがあります。愛猫の誕生日をお祝いしたいのは、家族の一因として当然のことでしょう。きっと、普段のフードとは違う、特別なものでお祝いしたいことと思います。
だからと言って、人間用のケーキやご飯は絶対にNGです。一番安全なのは、「いつものフード」に大好きなオヤツを少しトッピングした、いつもより「ちょっとだけ特別なフード」にすることです。
愛猫が体調を崩すことなく、楽しく安全にお祝いするためのポイントを詳しく解説します。
猫の誕生日に「ケーキ」や「特別ごはん」をあげてもいいの?

デリケートな胃腸には「いつものごはん+α」が一番安全
猫の胃腸はとてもデリケートです。誕生日のお祝いだからと、急に慣れない豪華なごはんをたくさん食べると、下痢や嘔吐などの胃腸炎を起こしてしまうリスクが高いです。また、人間が食べるものは糖分や脂肪分は多く、猫の胃腸に負担をかけてしまうだけでなく、膵炎といった緊急疾患にかかってしまうこともあります。
獣医師としては、無理に特別なものを用意するよりも、普段食べ慣れているフードをベースに、少しだけお気に入りのオヤツを添えるスタイルを推奨します。
市販の「猫用誕生日ケーキ」を選ぶときの注意点
最近はペットショップ等で可愛い猫用ケーキが売られていますが、購入する際は「原材料」を必ずチェックしてください。添加物が多い場合、猫にとって負担になってしまうこともあります。また、小麦粉、乳製品、卵などが使われている場合、アレルギーを持つ猫ちゃんは注意が必要です。
そもそも猫用ケーキはカロリーが高いため、与える量は「1日の摂取カロリーの10〜20%以内」にとどめ、主食の量をその分減らしましょう。
【獣医師推奨】安全で喜ぶ!猫の「誕生日ごはん&ケーキ」手作りアイデア

いつものフードを可愛くデコレーション!
新しい食材はアレルギーの可能性や、嘔吐や下痢を起こす可能性があります。なので、新しい食材を使わずに、今まで食べなれているものに一工夫することで、立派なお祝いプレートになります。
作り方の例: お皿の中央にいつものドライフードを盛り、その周りをウェットフードで囲む。ペースト状のおやつでお皿に「Happy Birthday」と文字を書く。
大好きなウェットフードで作る「プチケーキ風」
いつもの総合栄養食のパウチや缶詰を使って、ケーキのような形を作るアイデア。
小さなプリンカップなどにラップを敷き、ウェットフードを詰めてお皿にひっくり返せば、簡単にドーム型の「ごはんケーキ」が完成します。トッピングは少量のフリーズドライささみなどがおすすめです。
要注意!猫の誕生日に絶対NGな食べ物と「お祝いの落とし穴」

人間用のケーキ・生クリームは絶対に与えないで!
人間用のケーキには、大量の砂糖と脂質が含まれています。猫にとっては肥満や糖尿病、膵炎のリスクを高める大変危険な食べ物です。「少しだけなら舐めてもいいよね」という油断が、救急病院への駆け込みに繋がります。糖尿病や膵炎といった重大な病気以外でも、嘔吐や下痢を起こして来院されるケースは少なくありません。
チョコレートやネギ類などの危険食材
お祝いのためにケーキやご飯を手作りされるのであれば、次の食材は絶対に避けてください。猫にとって中毒などの原因となります。
- チョコレート:チョコレートやココアに含まれるテオブロミンにより、興奮、不整脈、心不全を引き起こし、命に関わることもあります。
- ネギ・玉ねぎ・ニラ・ニンニクなど:ネギ類には有機チオ硫酸化合物といった、猫の赤血球を破壊する成分が含まれており、摂取した量によっては貧血、血尿などがおこります。
- 生の豚肉・魚介類の一部:生の豚肉や魚介類には寄生虫や細菌類が含まれ、衛生的にも良くありません。また、魚介類にはチアミナーゼが含まれ、体に必要なビタミンB1を分解し、麻痺などの神経症状が起こります。
ケーキやごはん以外でも喜ぶ!愛猫の誕生日のお祝いアイデア

ストレスフリーな「おめかし」で記念撮影
誕生日には記念写真を撮りたいですよね。でも、被り物や洋服を嫌がる猫ちゃんは多いです。そんな時は、普段から着け慣れている首輪にリボンがついたタイプなど、負担の少ないアイテムでおめかしをするのがおすすめです。普段から何もつけていない猫ちゃんであれば、写真をスタンプなどで加工して、愛猫にストレスがかからないようにしましょう。
新しいおもちゃと「たっぷりの時間」をプレゼント
猫にとって最高のごちそうと同じくらい嬉しいのは、大好きな飼い主さんと一緒に遊ぶ時間です。新しいおもちゃ(猫じゃらしや蹴りぐるみ)をプレゼントして、狩猟本能を満たすまでたっぷり遊んであげましょう。心の満足感は、健康長寿の秘訣でもあります。
ただし、おもちゃで遊ぶときは一緒に遊び、遊び終わったら必ず片づけましょう。
まとめ:愛猫の健康を第一に、心温まる誕生日のお祝いを

愛猫の誕生日に誕生日ケーキや特別ごはんを用意することはとてもよいことです。猫にとって安全な物を用意してお祝いするのも良いですが、普段から食べているものに一工夫するだけでも特別なごはんになります。ケーキやごはんだけでなく、飼い主さんとたくさん遊んで、スキンシップをとれることも猫にとっては特別です。
「ごちそう」にこだわりすぎず、「いつものフード+α」とスキンシップで、愛情いっぱいの素敵なお誕生日をお過ごしください。






この記事のご感想をお寄せください!(コメントを書く)