猫ちゃんといっしょに暮らしていると、本当によく吐くことに気づきます。
おいしそうにキャットフードを食べていたかと思うと、苦しそうにして吐き戻してしまったり。外出から帰って来るとソファーに吐いてあるなんてこともありますよね。
「猫はよく吐くもの」と聞きますが、どうしてキャットフードを吐き戻してしまうのでしょうか? 猫がフードを吐き戻してしまう理由と吐き戻し対策について考えてみたいと思います。
猫の「吐き戻し」とは?
猫ちゃんは確かによく吐きます。だけど、ゲコッゲコッと苦しそうにしている姿を見ると心配になりますよね。
特に多いのは、ごはんの最中やごはんを食べてすぐの「吐き戻し」。ほとんど消化されていない状態のドライフードを吐いてしまうことがあるんです。
この場合はフードが食道にたまった状態になっていて、胃まで到達していないので未消化のまま吐き戻されます。猫ちゃんの吐き戻しは必ずしも病的なものではなく、猫ちゃんにとっては生理現象のようなもののようです。
猫が吐き戻してしまう原因
猫ちゃんがフードを吐き戻してしまうのには理由があります。猫ちゃんの習性と体の構造が関係しているので、詳しく解説します。
獲物は丸のみ
猫ちゃんはもともと狩りをして暮らしていた肉食動物。ネズミや小鳥などの小動物を捕まえると、ほとんど丸のみしてしまいます。歯の構造も肉食動物らしく、肉を引きちぎって飲み込むことに特化しているんです。
他の動物に獲物を奪われないように「丸のみ」する、他の動物に襲われないうちに「早食い」する。猫ちゃんにはそんな習性があるんです。
こんな食べ方をしていると、確かに吐き戻してしまいそうですね。
食道に食べ物がたまりやすい
猫ちゃんの食道にフードがたまりやすいのは、猫ちゃんの食道が口から胃までまっすぐになっていて、胃まで到達するのに時間がかかるから。
人間は二足歩行なので、口から入った食べ物は食道を通ってすぐに胃に運ばれます。だけど、猫ちゃんは四足歩行なので、食道は地面と平行になっています。そのため、食べ物がなかなか胃までたどり着けずに、食道にたまってしまうのです。
それに猫ちゃんの胃はあまり大きくありません。俊敏に動けるように小さくなっているんだそうです。だから、たくさん飲み込んだり、一気に飲み込んだときに吐き戻してしまうんですね。
猫の吐き戻し対策
猫ちゃんの「丸のみ」で「早食い」する食べ方、食べ物がたまりやすい「食道の構造」が吐き戻しの原因です。
猫ちゃんの食べ方と食道の構造に着目して、猫の吐き戻し対策を考えてみましょう。
食事の回数を増やす
食事と食事の時間が空きすぎてしまうと、空腹感から「早食い」になってしまいます。
勢いよく食べると吐き戻してしまうので、いちどにあげる量を減らして食事の回数を増やす、オヤツをあげるなどして空腹感を紛らわせてみましょう。留守中は自動給餌器を使うのもオススメです。
同居猫と食事場所を離す
多頭飼いの場合、同居猫との競争心から「早食い」になってしまうこともあるようです。食事場所を離す、別室にするなどで対策しましょう。
キャットフードを変える
猫ちゃんにはよく噛んで食べる習性はありませんが、粒が大き目のフードなら「丸のみ」しにくいので吐き戻し防止になります。逆にフードの粒が大きすぎて吐き戻すこともあるので、様子を見て小さめの粒のものに変えてみましょう。
また、フードが胃のなかですばやく崩れる「吐き戻し軽減フード」も市販されています。
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背の高い食器を使う
愛猫ちゃんの吐き戻しに悩む飼い主さんにお話しをうかがったところ、「背の高い食器を使う」「食器台を使う」ことがいちばん効果的だったそうです。
前述の通り、猫ちゃんの食道には食べ物がたまりやすいです。なので、下を向いた姿勢で食べると、食道が胃よりも低い位置になり、吐き戻しやすくなってしまうんです。特にがっついて食べる子だと、フードが逆流してしまうんですね。
だけど、足つきの背の高い食器を使えば、頭を下げる必要がないので吐き戻しの防止になります。同じように、食器台を使うのも効果的です。
猫が吐いたときに注意したいこと
猫は健康な時でも吐きます。例えば、毛づくろいによって抜け毛も飲み込んでしまうので、お腹にたまった毛玉を吐くことはよく知られていると思います。
また、空腹状態が長く続いたときは黄色い胆汁や胃液を吐くことも。フードを急に変えたときにも吐いてしまうことがありますが、元気そうな様子であれば問題ありません。
ただし、苦しそうだからといって背中をさすってはいけません。誤嚥の危険があるので近くで見守るようにしましょう。それから、胃や腸のトラブルが原因で吐いている場合もあるので、吐いた直後に水やフードを与えるのも控えてください。
こんなときは動物病院へ!
病気が原因で吐いてしまうこともあります。吐いたものと猫ちゃんの様子を観察することはとっても大切です。以下のような場合は、すぐに獣医師の診察を受けましょう。
●透明な液体や白い泡を吐く
お腹が空きすぎていると胃液を吐くことがあります。普段通りに食事ができれば問題ないですが、何度も吐く場合、毎日吐いている場合は誤飲や消化器系の病気のサインかもしれません。
●血が混じっている
食道が荒れていたり、口腔内に出血があるかもしれません。また、猫回虫症や異物を誤飲したときにも血が混ざることがあるので、内容物を確認するようにしましょう。
●茶色っぽいものを吐く
潰瘍や腫瘍が原因で出血していることも考えられます。すぐに動物病院を受診しましょう。
●下痢や発熱、けいれんなどもある
食べ物や植物、薬品などの中毒症状の可能性があります。
●なかなか吐き出せない、食事の量が減った
食道に異物が詰まると吐きたくてもなかなか吐き出すことができません。また、よだれだけが出ている場合は毛球症の可能性もあります。
まとめ
猫ちゃんがキャットフードを吐き戻してしまう理由は、「丸のみ」で「早食い」という習性と、食べ物がたまりやすい「食道の構造」だから。吐き戻しは生理現象のようなものなので問題ないとはいえ、苦しそうにしている猫ちゃんを放ってはおけませんよね。
「1食あたりの食事の量を減らして回数を増やす」「同居猫と食事場所を離す」「丸のみしくいフード・胃で崩れやすいフードに変える」ことで、早食いや丸のみによる吐き戻し対策をすることができます。
すぐにできる吐き戻し対策としてオススメなのは「背の高い食器を使う」こと。下を向かずに食事ができるので、食道に食べ物がたまってしまうことを防げます。多くの飼い主さんが効果を実感しているようなので、ぜひ試してみてくださいね。
著者プロフィール

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わかりやすい解説で有難うございました。
吐き戻しの原因、大変勉強になりました。
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猫リテラシーがレベルアップしました⤴️
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