厳しい暑さの日が続いています。冷房がなくては生活できないためか、この暑さで気を付けたいのは熱中症ですが、夏バテも注意が必要です。今回は猫の夏バテについて詳しく解説します。
猫も夏バテする?その原因とは

猫が夏バテしやすい体の特徴(被毛・発汗機能の違い)
猫の祖先はリビアヤマネコといい、砂漠で生活をしていました。そのため、比較的暑さに強い動物です。そして、猫の体は砂漠での生活に適応するために進化しました。毛は密集して生え、太陽の光から皮膚を守るようになりました。そして、飲み水が少ないため、体内の少しの水も無駄にしないため、汗は肉球からしかかけないようになりました。そして、今その仕組みは変化なく受け継がれています。
日本は暑さに加えて湿度が高い国です。そのような状況では、猫の体内に熱がこもりやすくなってしまい、熱中症や夏バテになってしまいます。
室温・湿度・飲水量など生活環境の影響
猫にとって快適な生活環境は温度26~28℃、湿度40~60%です。室温が30℃を超えてくると熱中症や夏バテのリスクが上がります。冷房で室温や湿度を調整していても、室温が30℃を超えてしまうことも少なくありません。
また、猫はあまり水を飲まない生き物です。猫の祖先は砂漠で生活していたため、少ない水分でも生きられるように体を進化させました。そのため、脱水になりやすい生き物でもあります。
食欲不振やぐったりしている原因が「夏バテ」とは限らないことも
夏バテは、食欲不振や嘔吐、下痢、元気がなんとなくないなどの症状が現れますが、夏に現れたらすべて夏バテというわけではありません。腎臓病やがん、糖尿病など様々な病気でこのような症状が現れます。そのため、自己判断は非常に危険です。
猫の夏バテ時に見られる主な症状

食べない、水を飲まない、寝てばかりいる
暑さにより、じわじわと消化器機能が低下します。我々人でもそうですが、夏バテで食欲がなくなるのではないでしょうか。猫も同じように食欲がなくなります。そして、消化器機能の低下により水分も摂りたくなくなります。食事が摂れないことにより活動に必要なカロリーが確保できず、寝て体力を温存しようとします。
嘔吐や下痢、元気消失も注意サイン
消化器機能の低下は食欲が低下するだけではありません。うまく消化ができないことにより嘔吐や下痢が起こります。嘔吐や下痢が続き、食欲もなく、水分も摂れなくなると、次第に元気もなくなってきます。「何となく最近吐く回数が増えたかも」「便が柔らかいかも」は注意が必要です。
飼い主が気づくべき「小さな変化」とは
熱中症は、ぐったりする、呼吸が荒いなど、体温が高いなどの症状が急激に現れ、短時間で命が危険にさらされるのに対し、夏バテはじわじわと長い期間、「なんとなく調子が悪い」状態が持続します。その「なんとなく調子が悪い」が夏バテのサインだったりします。食欲が落ちた、飲水量が減った、寝ている時間が長い、吐く回数が増えている、便が今までよりも柔らかいなどが要注意のサインです。放って置くと、脱水や内臓へのダメージなどが深刻になってしまいます。
猫の夏バテを防ぐために|室温・水分・食事の工夫

猫にとってエアコンは何度が適切?温度と湿度の目安
猫は砂漠で生活していたからといって、暑さに耐えられるわけではありません。湿気を伴う暑さは苦手としています。猫にとって快適な環境は、温度が26~28℃、湿度が40~60%です。エアコンが直接当たるのを嫌う猫もいるため、風が当たりにくい場所を用意する必要があります。どうしてもエアコンのない部屋に入ってしまう猫も少なくありません。その場合は、サーキュレーターなどで空気を循環させたり、冷却マットなどを用意するとよいでしょう。
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猫の水の飲み方の工夫(流れる水・複数の水飲み場)
猫は一度に大量に水を飲むことができません。そのため、夏場は十分に水分を摂れなくなることもあります。夏場はいつも以上に飲み水に気を使いましょう。
猫は自分で水を探すことをあまりしないため、猫の生活スペースには何か所かに分けて水飲み場を設置しましょう。
今までの水飲み容器であまり水を飲んでいないようであれば、器を変えてみるのもよいでしょう。器は陶器やガラス製のものが好まれる傾向にあります。また、ウォーターファウンテンなど、水が流れる仕様の物も好まれます。夏場は水が傷みやすいため、定期的な水やフィルターの交換が必要になります。
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ウェットフードやスープで水分補給をサポート
水をあまり飲まない猫には、ウェットフードやスープを上手に使って水分を確保しましょう。普段のフードをウェットフードに変更したり、スープをかけることでフードの水分量が増えます。また、飲み水の風味付けとしてスープを少し混ぜるのもよいでしょう。ただし、夏場はすぐ悪くなるので、こまめに交換する必要があります。
猫の夏バテの対処法と「動物病院に行くべきタイミング」

自宅でできる応急ケア(保冷剤、経口補水)
症状が緩やかに出る夏バテでも、適切にケアしなければ悪化します。暑い環境下で過ごしているのであれば、保冷剤で体を冷やし体温を下げましょう。意識があり自力で水が飲める状態であれば、動物用の経口補水液を飲ませ、すぐに動物病院にかかりましょう。
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動物病院受診の目安
症状が緩やかな夏バテと言えど、様子を見ていては行けません。脱水などから他の病気を引き起こしてしまうかもしれません。食事が摂れない状況が1日以上続いたら、必ず動物病院を受診しましょう。猫は絶食に弱い動物です。
嘔吐が続いていても受診が必要です。嘔吐は夏バテだけでなく、他の病気の可能性もあります。
猫の熱中症や内臓疾患との違いにも注意
夏バテの症状は、他の様々な疾患の症状でも現れます。特にこの時期は熱中症のリスクも高まります。熱中症は急激に重篤な症状が現れますが、初期症状は体が熱い、息が荒い、食欲がない、嘔吐するなどが現れます。しかし、そのまま様子をみてしまうと、どんどん悪化してしまいます。また、腎臓病や糖尿病などの内臓疾患でも同じ症状が現れます。適切な治療を行わないと、やはり悪化してしまいます。
夏バテと自己判断せず、獣医師に相談することが必要です。
まとめ|夏の暑さに負けない猫のための生活管理

猫にとっての「快適な夏」のつくり方
最近の夏はとっても暑く、エアコンなしで過ごすのは難しいと思います。猫にとっても同じです。電気代はかかりますが、エアコンをうまく使いましょう。エアコンの風が苦手な猫であれば、サーキュレーターなどで風を循環させるなど工夫しましょう。
飼い主ができる日常の工夫と観察力が鍵
エアコンで快適な環境を提供しても、夏バテになることがあります。水分を摂りやすくするために、ウェットフードや飲み水の工夫が必要です。そして、少しでも様子がおかしければ動物病院への受診が必要です。食事量や飲水量、活動のしかた、排泄の状態などの様子を確認するようにしましょう。
「なんとなく元気がない」を放置しないで
夏バテはなんとなく元気がない状態が続きます。しかし、他の病気でも同じようなことが起こります。また、この状態がずっと続くと、より深刻な状況になってしまうこともあります。少しの変化でも見逃さず、必ず動物病院を受診するようにしましょう。
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