「里親になったけれど、ケージの隅で固まったまま…」「近づくと威嚇される」そんな経験はありませんか?おそらくその思いをされた方は多いと思います。家族に迎え入れたからには仲良くしたいと思うのは当然ですが、保護猫、特に元野良猫にとって「人との生活」は大きな試練です。
今回は、なかなか懐かない猫の心理と、焦らずゆっくりと仲良くなるための人馴れトレーニングのステップについて解説します。
なぜ懐かないの?保護猫が人を怖がる心理と「個体差」

過去のトラウマと「社会化期」の不足
猫は生後2~9週齢の間に「社会化期」と呼ばれる、環境や刺激に慣れる期間があり、母猫から生きる上で必要なことを教わったり、環境に慣れて生活する力を身に着けます。多くの保護猫が社会化期を過ぎた猫であり、外での経験から「人間は怖い物」とインプットされています。そのため、人間を「敵」と認識し、慣れにくい傾向があります。これは猫の本能的な防衛反応であり、飼い主様の接し方が悪いわけではありません。
その子の「性格」を受け入れる
人間と同じように、猫にも「社交的な子」と「慎重でビビリな子」がいます。猫の性格は母猫に由来すると言われ、母猫が「甘え上手」な猫であれば、その子供も同じように甘える傾向にあります。そのような猫は「数日で懐く子」になる可能性がありますが、人も性格があるように猫にも性格があるため、他の猫と比べず、その子のペース(個性)を認めてあげることがスタートラインです。基本的には、低年齢の方が人に懐きやすい傾向にあります。
焦りは禁物!ビビリな猫との「距離」を縮める3つのステップ

ステップ1:安心できる「要塞(ケージ)」を作る
保護猫を迎え入れてからすぐは、猫にとって初めての環境に身を置くことになり、強いストレスがかかります。最初から広い部屋に放つとパニックになり、隙間に入り込んだり脱走の危険も出てきます。迎え入れてしばらくは高さのあるケージに入れ、ケージを布で覆い、目隠しをしましょう。「ここなら絶対に襲われない」という聖域を作ります。トイレとご飯のお世話以外は、あえて構わない(視線を合わせない)ことが安心感につながります。この時期に必要以上に構ってしまうと、恐怖心を植え付けてしまいます。
ステップ2:「人の手=良いこと」と関連付ける
保護してしばらくは、人間の手が近づくと猫パンチが飛んでくると思います。そのため、「人の手=良いこと」と関連付ける必要があります。手に対して恐怖心を持たせないように、ご飯やおやつをあげる時に、優しく声をかけます。慣れるまでは怪我防止のため、軍手などをしてお世話をする方がよいでしょう。慣れてきたら、スプーンや長い棒におやつ(ちゅ〜る等)を乗せて、ケージ越しに与えてみましょう。「手が出てきても怖くない」と学習させます。
ステップ3:指先の挨拶とスリスリ
猫の方から近づいてきたら、猫の鼻先に人差し指をゆっくり差し出します。匂いを嗅いでくれたり、指に顔を擦り付けてスリスリしてきたら、信頼関係が芽生えた証拠です。猫は頬のところにフェイシャルフェロモンと呼ばれる分泌物を出す部分があり、自分の縄張りなどに自分を安心させるフェロモンを擦りつけます。頬をすりつけた場所は「好きな場所」や「自分のもの」というアピールになります。猫が差し出された指先にスリスリしてきたのであれば、「大好き」の証しと思って良いでしょう。
良かれと思ってもNG!猫が心を閉ざしてしまう飼い主の行動

目を見つめる・大きな声を出す
猫にとって直視(アイコンタクト)は「喧嘩の合図」です。猫同士であれば、無駄なケンカを避けるために、目を直視しないようにすぐ視線を外すようにします。我々人間は、「見つめること=愛情表現」と捉えています。人間と同じように、猫を愛情を込めて見つめるのは逆効果です。
また、猫は低い声より高い声を好むと言われていますが、緊張している猫にとって、高い声や大きな音は恐怖の対象です。いくら可愛くても「かわいいね〜!」という高い声は控えましょう。
無理やり触る・隠れ場所から引きずり出す
飼い始めると触りたくなってしまうかもしれませんが、慣れるまでは病院へ行くなどの緊急時以外は、隠れている場所から無理に出してはいけません。猫にとって人は怖い物。慣れるまでは、人が嫌なことをしないということを覚えてもらわないと行けません。懐いてもらいたいのであれば、その実績を積み上げることが最短ルートです。
これがサイン!猫が心を許し始めた「信頼の証」

ゆっくりまばたきをする(猫のキス)
猫は敵意がない相手に対し、ゆっくりと瞬きをして敵意がないことを伝えます。そうすることによって、目が合ってもケンカに繋がらないようにしています。「敵意がない」ということは「仲良くしたいよ」という意味であるため、飼い主様のことを信頼してくれていることになります。目が合った時に、ゆっくりとまばたきをしてくれたら、飼い主様もまばたきで返してあげましょう。
飼い主がいる部屋でご飯を食べる・寝る
警戒している猫は、人が見ている前では食事や排泄をしません。動物病院に入院中の猫のほとんどが、数日の間、食事や排泄を我慢します。入院室の隅でじっと座っています。
もしあなたのそばでリラックスして寝たり食事を摂ったり、グルーミングを始めたら、「ここは安全だ」と認めてくれた証拠です。
まとめ

保護猫が懐かないのは、自分の身を守るための本能です。人馴れには猫の年齢や性格にもよりますが数ヶ月、時には年単位の時間が必要です。「今日できなくても大丈夫」という気持ちで向き合いましょう。決して焦らず、猫の性格を理解し、お互いの信頼関係を築くことで、必ず心を開いてくれる日が来ます。その瞬間は、何にも代えがたい喜びになるはずです。






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