「新しい猫ちゃんを迎えることになった!早くみんなと一緒に遊ばせたい」きっと猫を迎えたら、そんな気持ちが溢れてくるでしょう。でも待って!その気持ち、少しだけ抑えてください。元野良猫や保護猫は、過酷な環境にいたため、見た目にはわからない感染症や寄生虫を持っている可能性があります。
今回は、獣医師が大切な先住猫の命を守るための「隔離期間」の重要性と、喧嘩をさせないための慎重な対面方法について解説します。
いきなり合わせるのはNG!保護猫に「隔離期間」が必要な医学的理由

潜伏期間中のウイルス・寄生虫リスク
様々な病原体や内部寄生虫は、体内にはいるけれど症状を表さない「潜伏期間」があります。潜伏期間は感染が成立しているため、他の動物に感染する可能性があります。多くの感染症の潜伏期間は約2週間程度です。
また、ノミ・マダニやお腹の虫(回虫や条虫などの内部寄生虫)は、一度の駆虫薬では落ちきらないこともあり、通常複数回の追加投与が必要になります。
環境変化によるストレスと発症
保護されたばかりの猫は極度の緊張状態にあります。ストレスで免疫力が下がり、隠れていた猫風邪などが一気に発症することも。多くの猫が、新しい環境に慣れるのに2週間程度必要になりますが、神経質な猫の場合は1か月以上かかることもあります。まずは隔離部屋でゆっくりと「家」という環境に慣れさせ、体調を安定させることが最優先です。
隔離期間の過ごし方と、飼い主が気をつけるべき「感染対策」

完全別室が理想。無理ならケージ+布で目隠し
理想は「先住猫が入ってこられない個室」「大きな家電の音や生活音が届きにくい静かな部屋」を用意することです。それが難しい場合は、高さが2段、3段ある大きめのケージを用意し、全体を布で覆って視界を遮断します。猫の感染症の多くが、分泌物や排泄物からの感染や、直接接触することによって感染します。先住猫と鼻と鼻が触れ合う距離には絶対に近づけないでください。
お世話の順番と手洗い・消毒の徹底
猫の感染症は猫から猫への感染もありますが、人間の服などに病原体が付着して、病原体を運んでしまいます。それを防ぐため、お世話は必ず「先住猫 → 保護猫」の順に行います。もし先住猫が猫風邪や猫エイズ、猫白血病などにかかっている場合は保護猫からお世話する方がよい場合もあります。それが難しい場合は、手洗いや消毒、服を着替えてから次のお世話をしましょう。
また、保護猫を触った後は、必ず手洗い・消毒をし、場合によっては服を着替えてから先住猫と接するようにしましょう。
食器やトイレの共有は厳禁です。
「シャーッ」は挨拶?失敗しないための段階的な「対面」ステップ

ステップ1:姿を見せずに「匂い」の交換
隔離期間が終わったら、ようやくお互いを接触させることができます。しかし、いきなり対面させると今後の関係にひびが入ってしまうことも。まずはお互いの匂いを交換することからスタートしましょう。
お互いの匂いがついたタオルや毛布を交換し、「知らない匂いだけど、敵じゃない」と認識させます。先住猫の匂いをかがせ、保護猫の体をぬぐいます。そのタオルを先住猫にかがせることで、お互いを知ってもらいましょう。
隔離部屋のドア越しに、お互いの気配を感じさせるのも有効です。その場合は、猫を直接見せないようにしましょう。
ステップ2:ケージ越しのご対面(数分から)
新入り猫をケージに入れた状態で、先住猫を部屋に入れます。
「シャーッ」と威嚇しても、手を出さなければOK。おやつを与えて「あの子がいると美味しいものがもらえる」と良い印象を植え付けます。おやつはそれぞれの猫に与えましょう。先住猫の性格が神経質であれば、お互いをキャリーケースに入れて対面させても良いでしょう。対面時間は、始めは一瞬合わせて終わりくらいの短い時間から始め、少しずつ延ばしていきましょう。
ステップ3:短時間のフリー対面へ
ケージ越しで威嚇しなくなったら、ケージの扉を開けてみます。最初は5分程度の短い時間に留め、慣れてきたら時間を長くしていきます。飼い主さんが必ず立ち会い、喧嘩になりそうならすぐにタオルなどで遮って中断します。対面中は絶対に目を離さないようにしましょう。
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まとめ

保護猫を迎える際の隔離期間は、かわいそうなことではなく、愛猫たちの命を守るための大切な期間です。病原体の潜伏期間を考慮し、最低2週間は接触させないでください。その2週間が終了したらゆっくりと対面させましょう。
対面は焦らずゆっくりと。先住猫を優先する姿勢を見せれば、時間はかかっても必ず家族になれる日が来ます。
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