【連載#3】震災時、猫の命を守るために。脱走・迷子時に取るべき行動。

【連載#3】震災時、猫の命を守るために。脱走・迷子時に取るべき行動。

こんにちは、ぽぽねこの栗山です。

つい先日、2月13日の夜のことです。『猫びより 3月号』の猫と防災特集を眺めていたまさにそのとき。スマホの緊急地震速報が鳴り響き、激しい揺れが襲いました。

恐怖を感じながらも、考えたのは猫ちゃんのこと。

危機察知能力の高い猫ちゃんは、地震に驚いて外に飛び出してしまうことがあるんです。今回の地震でも、「猫が逃げた」と投稿するTwitterユーザーを多く見かけました。

猫ちゃんが脱走したら、どうやって捜せばいいのでしょうか? 大規模な震災時でもに猫ちゃんに再会できるのでしょうか? 

連載第3回目は「脱走・迷子時に取るべき行動」について考えてみます。

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同行避難できないこともある

同行避難できないこともある

災害時にはペットといっしょの「同行避難」が原則です。ペットを置き去りにしないことが、ひとまずの迷子防止策になります。

だけど、地震などの予測できない災害時には同行避難が難しいときもあります。

例えば、飼い主さんが外出しているときに被災したとき。東日本大震災は平日の日中に発生したため、仕事などで外出している飼い主さんも多かったでしょう。

私も職場から帰宅困難になってしまい、家に帰れたのは翌日の夕方でした。

それから、緊急避難が必要なときもあります。津波が発生しペットを連れ出す時間がなかった。原発事故でペットを置き去りにせざるを得なかった。とても辛いですが、東日本大震災で実際に起こった事例です。

猫が逃げこめる場所を作っておく

猫ちゃんがどこかに隠れてしまって同行避難できなかった、という事例もありました。いざというときは「ここを捜せば猫がいる」という場所を作っておくと安心です。

猫ちゃんは全身がとても敏感なので、全身を隠せる狭くて暗い場所が大好きです。ハードタイプのキャリーケースに毛布をつめて、猫ちゃんのセーフティーゾーンを用意しておきましょう。

「猫が逃げこめる場所」があれば、地震に驚いて外に飛び出すケースも少なくなるはずです。

東日本大震災ではたくさんのペットが迷子に

東日本大震災ではたくさんのペットが迷子に

東日本大震災ではたくさんの猫ちゃんが迷子になりました。保健所や動物愛護センターには、震災直後からたくさんの迷子届が出されたそうです。

災害時は猫ちゃんがパニックになりがちです。思いもよらぬところから外に飛び出してしまうかもしれません。壊れたドアやゆがんだ窓から外に出てしまうことも考えられます。

迷子になった猫は帰ってくる?

東日本大震災では、保健所や動物愛護センターなどに保護されたものの、飼い主さんの元へ帰れたのはわんちゃんで41.0%、猫ちゃんは5.4%ということでした。


■放浪動物・負傷動物の救護活動

保護数

2,838

2,931

返還数

11,63

159

返還率

41.0%

5.4%


※平成23年3月~平成24年9月の状況

※青森県・岩手県・宮城県・仙台市・福島県・郡山市・いわき市・茨城県・栃木県・千葉県の総数

※環境省『東日本大震災における被災動物対応記録集』より作成

 

 

猫ちゃんに関しては、飼い猫なのかもともと外で暮らしていた猫ちゃんなのか区別は難しいようです。

また、猫ちゃんが自力で飼い主さんの元に戻ったケース、飼い主さんが自力で猫ちゃんを見つけたケースもあるので、実際の返還率はもうちょっと高いかもしれません。

だけど、この返還率の低さには衝撃を覚えました。

猫首輪とマイクロチップは必須

猫首輪とマイクロチップは必須

震災時に猫ちゃんとはぐれてしまっても、猫ちゃんが無事に戻ってこられるように対策をしておくべきです。

迷子の猫ちゃんの身元を証明してくれるのは「猫首輪」「マイクロチップ」です。再会の確率をぐんとあげる、いわばお守りのようなもの。

脱走リスクの高い猫ちゃんだからこそ、猫首輪とマイクロチップで命を守らなければなりません。

猫ちゃんは所有者がわかりにくい

わんちゃんの例になりますが、東日本大震災では迷子札や鑑札を着けていたわんちゃんは飼い主さんが100%判明しています。


■所有者明示等の状況(犬)

装着頭数

飼い主判明

首輪のみ

614

3

迷子札

4

4

鑑札・狂犬病予防接種済票

81

81


※青森県・岩手県・宮城県・仙台市・福島県・郡山市・いわき市・茨城県・栃木県・千葉県の総数

※環境省『東日本大震災における被災動物対応記録集』より作成

 

 

熊本地震ではマイクロチップで身元が判明したわんちゃんもいました。猫ちゃんについては、マイクロチップを着けている子はいませんでした。


■所有者明示等の状況(犬)

装着頭数

飼い主判明

首輪のみ

344

136

迷子札

1

1

鑑札・狂犬病予防接種済票

16

15

マイクロチップ

7

6


※熊本県、熊本市の総数

※環境省『熊本地震における被災動物対応記録集』より作成

 

 

わんちゃんの飼い主には「犬の鑑札」と「狂犬病予防注射済票」を首輪などに着けておくことが法律で義務づけられています。そのため、所有者が判明しやすいという側面があります。

だけど猫ちゃんには登録制度もなければ、狂犬病の予防接種義務もないので、所有者がわかりにくいのです。

愛猫には猫首輪を

震災などの災害時、保護対象になるのは「飼い主のいるペット」です。

猫ちゃんは、ぱっと見で飼い猫なのか、外で暮らしている猫ちゃんなのかわかりません。「飼い主のいない猫」と判断されれば、殺処分の対象になったり、他の人に譲渡されてしまう可能性もあります。

そんな事態を避けるには、飼い猫のしるしである「猫首輪」が役立ちます。

ペット探偵の藤原博史さんによれば、「猫首輪は目印になる。ほかの猫との区別に役立つので、目撃情報も集めやすくなる」とのこと。首輪を着けていたほうが見つけやすくなるというのはメリットですね。

さらに「迷子札」や「お名前シール」をつけることで、再会の可能性が上がります。今からでも遅くはありません。猫ちゃんには猫首輪を着けましょう。

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マイクロチップ装着は飼い主の義務

2019年6月に動物愛護法が改正され、マイクロチップの装着が義務化されました。

ペットショップやブリーダーから迎えた猫ちゃんやわんちゃんには必ずマイクロチップが着けられます。すでに飼っている猫ちゃんについては「努力義務」ですが、過去の震災での事例を考えると着けるべきでしょう。

マイクロチップは個体識別番号を登録した直径約2mm、長さ約8~12mmほどの電子タグで、専用の注射器で皮下に埋め込みます。半永久的に使用でき、脱落することもありません。

猫首輪と併用してマイクロチップを着ける。これが何よりの迷子対策になるのではないでしょうか。

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震災で迷子になった猫の捜し方

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震災時、猫ちゃんが迷子になってしまったら、どうやって捜せばいいのでしょうか。愛猫の脱走・迷子時に取るべき行動についてまとめてみました。

家の近くを捜す

脱走の直後で、自分の身の安全が確保できているのなら、まずは家の近くを捜してみましょう。

完全室内飼いの猫ちゃんならそんなに遠くへは行きません。半径50mほどの範囲内で、物置の下や側溝のなか、エアコンの室外機の下など、身を隠せそうなところを捜します。

さらに、使用済みの猫砂愛用の毛布などの猫ちゃんの臭いがついたものを置きます。自分の臭いがすれば近くまで戻ってくることがあるため、焦らずにいつもの調子で名前を呼んでみましょう。

猫ちゃんを見つけても追いかけるのはダメです。パニックにならないよう、いつものキャリーバッグや穴を開けた段ボールなどを用意して、自発的に戻るように少しずつ誘導します。

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迷子の届け出を提出

見つからないときは半径100m、500mと捜索範囲を広げつつ、保健所または動物愛護センター、近くの交番や警察署が機能していれば迷子の届け出を提出します。

迷子ペット.NETの届け出先一覧ページが役に立つので、お住まいの地域の情報を控えておいてください。猫ちゃんの保護情報も確認できるので、ライフラインが生きていれば検索サイトもチェックしてみましょう。

ケガをして動物病院に保護されている、残念ながら死亡して清掃局に引き取られていることも考えられるので、こちらも問い合わせをしてみましょう。

目撃情報を集める

TwitterやFacebookなどのSNSのほか、迷子猫の登録もできるウェブサイトも使って、広く目撃情報を集めたり、捜索の協力を呼びかけることもできます。

また、近くのユーザーへ迷子のペットの捜索をお願いできる機能を備えたアプリ「ドコノコも人気です。

ペット探偵の藤原さん監修の「迷子捜しマニュアル」もダウンロードできるので、スマホに入れておくことをおすすめします。

「もしも」のために迷子猫対策を

震災で迷子になった猫の捜し方

震災時は行政機関もライフラインも混乱します。すべてが機能していないことも考えられるので、迷子になったときの備えをしておきましょう。

愛猫の情報をまとめておく

迷子の猫ちゃんを捜すときは、愛猫の個体識別情報が必要になります。

個体識別情報とは、愛猫の写真、猫種、毛色、身体的特徴、名前、性別、首輪の色や特徴、好きなおやつやおもちゃ、それからマイクロチップの個体識別番号のことを指しています。

これらの情報は普段から「猫の健康手帳」などにまとめておき、猫ちゃん用の防災グッズといっしょにまとめておくと安心です。さらに、写真を撮ってスマホやgoogleドライブなどのクラウドサービスにも保管しておくと便利です。

愛猫の写真を撮っておく

東日本大震災では停電が続いたため、手書きのポスターで保護動物の情報や行方不明のペットの情報がやり取りされたそうです。

そんな事態に備えて、猫ちゃんの写真を定期的に撮影してプリントアウトしておきましょう。所有者を明らかにするために、飼い主さんもいっしょに写ったものもあるといいですね。

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まとめ

まとめ

全3回の連載では、震災時に猫ちゃんの命を守る方法をお伝えしてきました。

まずは「備える」ことから。猫ちゃん用の防災グッズの備えはもちろん、避難所生活を想定してケージやハーネスに慣らしておくことも大切です。

また、猫連れの「同行避難」に必要なことも知っておくべきです。避難所によって猫ちゃんの扱われ方は異なりますが、飼い主さん同士の協力体制がなければ避難生活は成り立ちません。

それから、震災時の「迷子対策」も必須です。猫首輪とマイクロチップは猫ちゃんの身元証明になるので、必ず装着しましょう。迷子になった猫ちゃんを捜す方法もぜひ覚えておいてほしいと思います。

東日本大震災を機に、ペットの防災意識も高まりました。この10年でペット防災のハード面もソフト面もすごく充実したと思っています。

それでも、震災時に猫ちゃんの命を守れるのは飼い主さんだけです。

何を準備し、どのように行動すべきなのか。猫ちゃんといっしょに困難を乗り越えるために、もしものときのことを考えてみましょう。

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