猫のしゃっくりを聞いたことがありますか?
おそらく、聞いたことがない方がほとんどだと思います。人間のしゃっくりは「ヒックヒック」と音がしますが、猫のしゃっくりは音がせず、お腹がリズミカルにビクッと波打ちます。通常、しゃっくりは何もしなくても数分で治まりますが、長い時間しゃっくりをしていたら不安になると思います。
今回は猫のしゃっくりが止まらない原因と、病院に連れていくべき症状について解説します。
しゃっくりのメカニズム
しゃっくりは、横隔膜という胸とお腹の境界にある筋肉の膜が痙攣することによって起こります。横隔膜は呼吸に深く関わっており、横隔膜が収縮、弛緩をすることで呼吸が行われます。横隔膜は脳から出ている神経によって支配を受けており、脳からの電気信号で収縮や弛緩が起こります。しゃっくりはその電気信号が何らか原因により乱れてしまうと、横隔膜の痙攣=「しゃっくり」が起こります。
しゃっくりの原因
しゃっくりが起こる原因は、次のようなものが挙げられます。
フードの食べすぎ
しゃっくりは、胃が膨らみすぎて横隔膜を刺激すると起こりやすくなります。適度な量のフードであれば、しゃっくり自体起こりにくいものですが、いつも以上に食べた場合はしゃっくりの原因になります。
猫によっては、あまり量を食べてなくてもしゃっくりが起こることがあります。胃の中でフードが膨張したことによって、しゃっくりが誘発されたと考えられます。
食後に頻繁にしゃっくりが起こるのであれば、食餌の量や内容を見直しましょう。また、同居猫がいる場合、他の子のごはんも食べていることがあります。ごはんの時間を決めて、部屋を分けるなどの対応が必要です。
早食い
早食いをすると、飲み込む空気が増えます。飲み込んだ空気によって胃が膨らみ、しゃっくりがおきます。
早食いを防ぐために、早食い防止のフードボールに変えるのもよいでしょう。フードによっては、噛まないと飲み込めない粒の大きさに設計されているものもあり、早食い防止に役立ちます。
多頭飼育の場合、他の猫にフードを取られたくないあまり、早食いになってしまう猫がいます。その場合は、早食いしている猫が落ち着いて食べれるように配慮しましょう。
激しい運動
食後に激しい運動をすると、横隔膜の神経が異常に興奮する可能性があります。
食後は遊びに誘わず、ゆっくりと休ませてあげましょう。同居猫どうしで追いかけっこをしてしまうようであれば、食後はケージに入れて休む時間にすると良いでしょう。
疾患
しゃっくりは横隔膜の神経の興奮によって起こります。その神経の周囲で疾患が起こると、神経の興奮につながり、しゃっくりがなかなか止まらなくなります。
疾患の種類としては、肺炎、胸膜炎、気管支喘息、横隔膜周囲の腫瘍、脳腫瘍などがあります。
疾患以外のしゃっくりはしばらくすると治まりますが、疾患によるしゃっくりはずっと続いたり、治まってもまたしゃっくりが始まったりします。
病院に連れていくべき症状
疾患以外のしゃっくりは、しばらくすると止まり、そのあともすぐにしゃっくりが始まることはありません。止まらないしゃっくりは疾患の可能性があり、かならずしゃっくり以外の症状が出現します。次のような症状がある場合は、すぐに動物病院にかかりましょう。
1日以上止まらないしゃっくり
問題ないしゃっくりであれば、しばらくすると止まり、すぐに始まることはありません。しかし、疾患によるしゃっくりは、1日以上続いていたり、止まったり始まったりを何度も繰り返します。
咳やくしゃみ、呼吸困難
しゃっくりは肺の疾患でも起こることがあります。肺の疾患は咳やくしゃみを伴います。肺の疾患が悪化すると、うまく呼吸することができず呼吸困難を起こします。
食欲不振、嘔吐、吐血
しゃっくりは食道や胃の腫瘍でも起こることがあります。食道や胃の腫瘍は、腫瘍が大きくなるため、食欲がなくなったり、食べても嘔吐してしまいます。また、腫瘍からの出血により吐血することがあります。
元気消失
どの疾患でも、元気がなくなることがあります。しゃっくりが止まらず、元気もなくなってくるようであれば、すぐに病院にかかりましょう。
けいれん、麻痺
脳腫瘍により、横隔膜への神経が異常に興奮することがあります。脳腫瘍は腫瘍が大きくなることで、脳や神経を圧迫するため、けいれんが起こります。また、麻痺が起こることがあり、立ち上がれなくなったり、同じ方向にしか動けなくなります。頭痛も起こるため、元気もなくなり、嘔吐も出現します。
しゃっくりの止め方
人の場合、「息を止める」「下を向いて水を飲む」などがしゃっくりの治し方として、よく耳にするかもしれません。これらは、別の刺激を加えることで興奮した神経を抑える作用があると考えられています。人は自分の意志でできますが、猫にさせることはできません。むしろ、窒息などのリスクが高まりますので、絶対にしないでください。
しゃっくりをしている時は、とりあえず様子を見ましょう。自然と治まることがほとんどです。他に症状があれば、すぐに病院にかかりましょう。
早食いやドカ食いなどがある場合は、させない対策を取りましょう。
まとめ
しゃっくり自体は正常な猫でも起こります。しゃっくりが起きやすいのであれば、食餌やフードボール、生活環境を見直してみましょう。改善することがあります。
しゃっくりの他に症状がないか、食餌が取れているか、元気があるかを観察し、少しでもおかしければ動物病院に相談しましょう。
本日の編集部recommends!
猫ちゃんは被毛や皮膚がとってもデリケート。体に合わない首輪を着けることで、皮膚が炎症を起こしたり、首の毛が猫首輪のラインに沿ってハゲてしまう「猫首輪ハゲ」になってしまう子が少なくありません。
著者プロフィール

この記事のご感想をお寄せください!(コメントを書く)