だいぶ暑くなり、日本の各地で梅雨明けになりました。暑くなってくると、蚊に悩まされるのではないでしょうか?今年は例年と比較しても暖冬だったため、蚊の発生が前倒しになっています。この季節は蚊取り線香を常につけている方も多いと思います。
今回は蚊取り線香について解説します。
蚊取り線香の基本情報と猫への影響

蚊取り線香の成分とその働き
渦巻型の蚊取り線香にはピレスロイド系という殺虫成分が含まれています。
ピレスロイド系は蚊の口や皮膚から入り、神経に作用し麻痺させて退治します。ピレスロイド系は速効性があるため、すぐに効果が現れます。また、薬剤が漂っている空間には、蚊が近づかない効果もあります。
ピレスロイド系は哺乳類には安全性が高く、体内に入っても速やかに分解され、体の外に排出されます。そのため、猫がいる家庭でも安心して使えます。
猫にとっての有害性について
蚊取り線香などの家庭で使われる殺虫剤のほとんどが、安全性の高いピレスロイド系の薬剤のため、猫のいる家庭でも安心して使えます。スプレー式の殺虫剤などもありますが、大量に吸い込むとよだれや涙、嘔吐などが起こることがあるため、猫の体に直接かけないようにしましょう。
園芸用などの殺虫剤には、有機リン系やカーバメート系と呼ばれる強力な成分が含まれており、吸い込むと猫だけでなく人も中毒を起こすので、絶対に使用しないようにしましょう。
また、アロマなどを使用した虫よけ剤などもありますが、猫はアロマオイルで中毒を起こすため、使用しないようにしましょう。
猫に安全な蚊取り線香の選び方

猫に優しい成分の蚊取り線香とは
通常市販されている蚊取り線香であれば、安全性の高いピレスロイド系を使用しているため、猫のいる空間でも安心して使うことができます。心配であれば、製品の有効成分の表示欄を確認し、ピレスロイド系と記載されているものを選びましょう。メーカーのサイトを確認するのも有効です。必ず、「よくある質問」のページに「ペットへの使用」について回答されています。
天然素材の蚊取り線香の利点と欠点
蚊取り線香に含まれているピレスロイド系という薬物は、天然成分であるピレトリンを元に合成されました。ピレトリンは除虫菊(シロバナムシヨケギク)の花に含まれる天然殺虫成分です。ピレトリンを使用した蚊取り線香が販売されています。
ピレスロイド系は人工的に作られた化合物であるため、アレルギーや喘息持ちの人では発作が誘発される場合があります。そのため、天然素材の蚊取り線香の方が、安心して使えると考えられます。しかしながら、天然成分であるピレトリンですが、アレルギー反応が強く出たとの報告もあります。
天然素材の蚊取り製品にはアロマオイルを使用したものもあります。アロマオイルはオイルに植物のにおい成分が溶けています。猫は肝臓での解毒機構であるグルクロン酸抱合能力が弱く、アロマオイルを解毒することができません。そのため、中毒を起こすことがわかっており、死亡した例も報告されています。
天然素材の蚊取り線香を使用する場合、必ず猫に使えるかどうかを確認し、アロマオイルを使用した製品は使わないようにしましょう。
蚊取り線香の安全な使用方法

使用場所の選び方
渦巻型の蚊取り線香は火をつけて使用するため、室内で使用して万が一猫が倒してしまうと、火傷や火事になる可能性があります。屋外で使用するのに適していると言えます。屋外で蚊取り線香を炊いておき、窓を少し開けて室内に蚊を寄せ付けない方法もあるようです。
燃焼時間と換気の重要性
蚊取り線香の燃焼時間は製品によっても異なります。渦巻型の線香は燃えている間ですが、長時間燃焼するものもあります。火を使用するため、飼い主さんが外出したり、夜寝ている間などは火を完全に消して、思わぬ事故が起きないようにしましょう。
蚊取り線香は閉め切った部屋でも使用できますが、メーカーの使用上の注意には「時々換気をすること」と記載されています。においがあるので、気分が悪くなるようであれば、すぐ喚起をするようにしましょう。
猫と蚊取り線香の距離の取り方
猫が火のついた線香についてしまうと、火傷や火事の原因になることもあります。蚊取り線香はなるべく室内で使用はしない方がよいでしょう。室内で使用するのであれば、リキッド式やスプレー式の物がよいでしょう。
その他の蚊取り製品は安全?

蚊取り線香以外に、リキッド式やマット式、スプレー式があります。これらの有効成分はピレスロイド系なので、猫のいる家庭でも安全に使用できます。長時間効果があるのが特徴です。
リキッド式やマット式は電気で温めて有効成分を拡散させるため、火傷や火事、感電のおそれがあります。これらの製品を使用する場合は、猫にいたずらされない場所に置いたり、コードをかじられないように対策する必要があります。
スプレー式の蚊取り製品は、薬剤をスプレーして使用しますが、空間に薬剤が漂うことで効果が出るだけでなく、壁や天井などに付着して作用するため、効果が長時間持続します。安全な薬剤を使用していますが、直接吸い込むとよだれ、涙、嘔吐などの症状が現れます。
スプレーを使用するときは、猫がいないときにスプレーし、少ししてから部屋に入れましょう。
まとめ

昔からある蚊取り線香ですが、自然由来の成分を使った製品もあるようです。火を使うため、なるべくなら屋外で使用するのがよいでしょう。室内では、リキッド式やマット式、スプレー式などの火を直接使用しないものがお勧めです。
猫に使用できるか使用上の注意をよく確認し、快適な夏を過ごしましょう。
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