普段はおとなしい猫ちゃんが、夜中に突然大きな声で鳴き出す。なんだか怒りっぽくて落ち着かない。トイレじゃないところでオシッコをする……。
そんな困った行動は「発情期」を迎えたサインかもしれません。
これから発情期を迎える猫ちゃんの飼い主さん、猫ちゃんの発情期の問題行動に困っている飼い主さんのために、猫ちゃんの発情期の基礎知識についてまとめてみました。
猫ちゃんの発情期が始まる年齢や季節、発情期特有の症状や行動など、猫ちゃんの発情期について知っておいてほしいことがたくさんあります。
飼い主としてどんなことに注意してあげればいいのかも解説します。
猫の発情期とは
猫ちゃんの「発情期」とは、子孫を残したいという本能から、交尾を求める繁殖行動をする時期のことです。
突然、聞いたことのないような大きな声で鳴いたり、あちこちでオシッコをひっかけたりすると「病気かも!?」と思ってしまいそうですが、成熟した猫ちゃんの正常な行動なので心配はありません。
猫ちゃんの発情期はメスの発情がきっかけとなって始まります。条件が整うとメスの猫ちゃんが発情し、発情期特有のフェロモンや鳴き声でオス猫の発情が誘発されるというメカニズムです。
猫の発情期はいつ?
哺乳類の多くは1年のうちで繁殖する季節が決まっていて、その時期に発情期が訪れます。猫ちゃんも例外ではありません。
猫ちゃんが初めて発情期を迎える年齢と発情する時期について知っておきましょう。
猫の発情期が始まる年齢
メスの猫ちゃんが最初の発情期を迎えるのは、生後6~8か月頃といわれています。個体差が非常に大きく、生後4か月で発情期が始まる子もいれば、2歳になるまで発情期を迎えないという子もいます。
オスの猫ちゃんの最初の発情期は生後9~12か月頃といわれていますが、生後3か月ころからマウンティングや腰を振るような動作など、交尾に似た行動をすることがあります。
避妊去勢手術をしなければ、発情期は生涯続きます。
猫が発情する時期
猫ちゃんは「季節繁殖動物」といって、発情期を迎える季節が決まっています。暖かくて安全に子育てができる季節に出産するという本能的な戦略があるようです。
メスの猫ちゃんの発情期は日照時間が影響していると考えられていて、1日の日照時間が14時間を超える春(2~4月)と夏(6~8月)に発情期を迎えます。発情期はおおよそ年2回ですが、温暖な地域では年に3回の発情期を迎えることも。
猫の発情の期間
メスの猫ちゃんの発情期間は14~21日間ほど。この期間中に交尾をしなければ、2~3週間で次の発情期が始まります。
メス猫のヒート(生理)と発情期の行動
猫ちゃんの発情期特有の「ナオ~ン」「オアア~ン」「ギャアアア~ン」という遠吠えのような鳴き声。
これはメスの猫ちゃんがオスの猫ちゃんに居場所を知らせる声なんだそうです。そして、そのラブコールに応えるようにオス猫ちゃんもうるさく鳴く……。
「明け方猫の鳴き声で起こされた」という経験がある方も多いのではないでしょうか? 実はこのうるさい鳴き声のほかにも「発情のサイン」があるんです。
猫にもヒート(生理)がある?
発情のサインというとヒート(生理)が考えられますが、メスの猫ちゃんにヒート(生理)はありません。
人間やわんちゃんのように周期的に排卵が起こるのではなく、交尾の刺激によって排卵する「交尾排卵動物」だからです。生理のような出血がないので、発情期を迎えたことに気づきにくいかもしれませんね。
メス猫の発情のサイン
メスの猫ちゃんはオスの猫ちゃんに発情をアピールし、交尾を受け入れる準備が整っていることをアピールします。
・食欲がなくなる
発情前期は活動的になりますが、食欲が落ちてくることがあります。
・しつこく甘えてくる
自分のニオイやフェロモンをつけるために飼い主さんに体を擦りつけます。
・いろんなものに顔や体をこすりつける
自分の存在をアピールするために、あちこちに自分のニオイをつけようとします。
・大きな声で鳴く
遠吠えのようなうるさい鳴き声でオス猫に自分の居場所を知らせます。
・お尻を高く持ち上げる(ロードシス)
オス猫を受け入れる準備です。お尻を持ち上げて腰を振ったり、足踏みをすることも。
・尿スプレーをする
オス猫を誘うためにトイレ以外の場所でオシッコをします。
オス猫の発情のサイン
オスの猫ちゃんはライバルに勝つために、自分の存在をアピールする行動をしたり、攻撃的になったりします。
・攻撃的になる
発情期は興奮しやすく、飼い主さんを噛んでしまうことも。猫同士のケンカも増えます。
・大きな声で鳴く
メス猫の鳴き声に応えるようにオス猫も遠吠えのようなうるさい声で鳴きます。
・尿スプレーをする
自分の縄張りをアピールするために、トイレ以外の場所にマーキングをします。
・外に出たがる
完全室内飼育でもメス猫の声やニオイに反応して衝動的に脱走しようとします。
猫の発情期対策
発情期間中の猫ちゃんはとっても情緒不安定になっています。問題行動も起こしやすい時期ですし、鳴き声やニオイは近所迷惑になることもあります。
繁殖の予定がなければ、初めての発情期を迎える前に避妊去勢手術を受けることをオススメします。
避妊去勢手術で発情期の問題行動がなくなるとはいえませんが、ホルモンに関わる病気の予防にも繋がるのでメリットは大きいです。
完全室内飼いでも発情期対策は必要
完全室内飼いの猫ちゃんでも、外に発情中の猫ちゃんがいると、鳴き声やニオイに反応してうるさく鳴いたり、スプレー行為をしてしまうことがあります。
すぐにできる発情期対策は、「外を見えなくする」「遊びでストレス発散する」「爪とぎの数を増やす」などです。
発情期間中は興奮しやすく、もやもやしたストレスを感じているので、生活環境を整えてうまく発散させてやるようにしましょう。
まとめ
猫ちゃんの発情期は、春(2~4月)と夏(6~8月)の年2回。まずは、メスの猫ちゃんが発情期を迎えます。
メスの猫ちゃんが遠吠えのようなうるさい鳴き声をあげたり、尿スプレーやマーキングなどでフェロモンを撒き散らすことでオスの猫ちゃんの発情が促されます。
発情期は繁殖本能によるものなので、とても自然なことです。ですが、攻撃性が強くなる、脱走の危険があるなどの問題行動が目立つ場合は、避妊去勢手術を検討しましょう。
猫ちゃんと飼い主さんがストレスなく過ごせるように、猫ちゃんの発情期について正しく知り、適切な対策をしてあげてくださいね。
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