猫ちゃんの健康と穏やかな暮らしのためには「去勢手術」は欠かせません。
オスの猫ちゃんの場合、去勢手術をすることで攻撃的な性格が穏やかになり、発情による問題行動や尿スプレーが減ることが知られています。
猫ちゃんにとっても、飼い主さんにとっても去勢手術はメリットが多いです。でも、全身麻酔をして手術をするとなると心配もありますね。
今回はオスの猫ちゃんの去勢手術に注目して、去勢手術後のケア方法や注意点、術後の変化について詳しく解説します。
オス猫の去勢手術について
オスの猫ちゃんの去勢手術について、何歳で受ければいいのか、どんな手術をするのかなど、基礎知識を知っておきましょう。
オス猫の去勢手術はいつするの?
何歳でも去勢手術を受けることができます。ですが、できれば初めての発情期を迎える前、生後6か月頃までに去勢手術を行うのが理想的です。成熟度合いについては個体差が大きいので、去勢手術を受けるタイミングは獣医師によく相談するようにしましょう。
去勢手術の方法
去勢手術は全身麻酔をかけて行います。陰嚢(いんのう)の皮膚を1cmほど切開し、精巣を摘出する手術です。手術時間はおよそ10分。入院の必要はなく、手術当日に自宅に帰れるケースがほとんどです。
去勢手術後は陰嚢が小さくなります。「にゃんたま」とも呼ばれるオスの猫ちゃんのチャームポイントなので、去勢手術前に記念写真を撮っておく飼い主さんもいるようです。
オス猫の去勢手術の流れ
【1.術前検査】
身体検査(問診・視診・触診・聴診)や血液検査などを行い、病気はないか、感染症はないか、全身麻酔に耐えられるかを確認します。
【2.手術前日】
全身麻酔をする手術前は12時間以上の絶食が必要です。
【3.手術当日】
触診・体温チェックをして問題なければ全身麻酔を行います。心電図、血圧などを確認しながら精巣を摘出します。傷跡を縫合するかしないか、溶ける糸を使うかどうかは動物病院や猫ちゃんの状態によって異なります。麻酔から覚醒後、手術後のケア方法について説明を受けて帰宅します。
【4.自宅で術後ケア】
獣医師の指示に従って、服薬などの術後ケアを行います。エリザベスカラーをつける必要があるときは外さないようにしましょう。
去勢手術後のケア方法
おそらく、去勢手術が生まれて初めての手術という子がほとんどだと思います。
見知らぬ場所で、見知らぬ人に囲まれた体験は、恐ろしくて不安も大きかったはず。心も体も疲れ切り、とてもナーバスな状態になっています。
まずは静かな場所で休ませましょう。どこかに隠れて出てこないという場合も、無理に引っ張り出す必要はありません。猫ちゃんが落ち着くまでそっと見守ります。
スキンシップが好きな猫ちゃんなら、抱っこしたり、やさしく撫でたりしてリラックスさせるようにしましょう。
食事はいつからOK?
手術当日の食事は控えるように指示があることもあります。無事に帰ってきたらご褒美をあげたくなってしまいますが、獣医師の指示に従うようにしてください。
食事を与えるときは、少しずつ時間を空けて与えるようにしましょう。水も舐める程度の量から少しずつ与えます。
翌日になっても食欲がなかったり、嘔吐や下痢の症状があったらすぐに獣医師の診察を受けましょう。
エリザベスカラーを嫌がるときの注意点
エリザベスカラーを外そうと暴れたり、固まって動かなくなることがあります。あちこちぶつけているようなら、障害物を片付ける、トイレの蓋を外すなどして、身の回りの環境を整えましょう。
自由にグルーミングができないのもストレスなので、蒸しタオルでやさしく体を拭きつつ、丁寧にブラッシングをしてあげてください。また、傷口の状態もそっと確認してみましょう。
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運動はしてもいいの?
傷口が開いてしまわないように、激しい運動や興奮するような遊びは避けます。帰宅後すぐにキャットタワーに登れるほど元気な子もいるようですが、まずは安静が第一。心配な場合はしばらくケージや段差の少ない部屋で過ごしてもらいましょう。
去勢手術後の変化
去勢手術後は発情のストレスがなくなりますが、ホルモンバランスが変化することで「食欲」や「性格」にも変化が見られるようになります。
去勢手術後は太りやすくなる?
去勢手術をすると、代謝が落ち、筋肉がつきにくくなります。それだけでなく、食欲が増しているので太りやすい状態になってしまいます。
これまでと同じ食事量でも太ってしまうことがあるので、去勢手術後の猫ちゃん専用のキャットフードに切り替えるのもおすすめです。猫ちゃんの肥満は様々な病気のリスクをあげてしまうので、体重チェックをしながら健康管理をするようにしましょう。
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去勢手術で性格が変わるって本当?
発情に関する問題行動がなくなると同時に、闘争心も落ち着いてくることが多いです。猫ちゃんの性格そのものがガラッと変わることはありません。
オスの猫ちゃんはやんちゃで甘えん坊な性格をしていることが多いですが、成熟するにつれて攻撃性が増してきます。ですが、若いうちに去勢手術をすることで「子猫のような甘えん坊な性格」がそのまま残ることが多いようです。
もちろん個体差はありますが、穏やかになった、すごく甘えん坊になったという性格の変化が見られるかもしれませんね。
まとめ
オスの猫ちゃんが去勢手術をしなければ発情期がやってきます。発情期はもやもやと落ち着かない気持ちになりやすく、とても大きなストレスを抱えることになります。
飼い主さんにとっては、大きな声で鳴き続ける、尿スプレーでマーキングをする、攻撃的になる、脱走するなどの問題行動に悩まされる時期でもありますね。
お互いにストレスなく穏やかに暮らすために。また、将来的な病気を予防するために「去勢手術」を考える飼い主さんは多いです。
去勢手術は10分程度で終了する簡単なものです。ですが、猫ちゃんは肉体的にも精神的にも大きなダメージを負っています。
去勢手術は「術後ケア」がとっても大切です。それから、生活や食事の変化にも対応しなければなりません。去勢手術を受けた猫ちゃんがリラックスして過ごせるように、去勢手術後のケア方法を正しく知っておくと安心ですね。
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