保護猫とは?猫を買わない、保護猫を迎えるという選択肢について獣医師が解説

保護猫とは?猫を買わない、保護猫を迎えるという選択肢について獣医師が解説

「保護猫」を知っていますか?文字通り「保護された猫」のことを言います。

では、保護猫がどのように保護され、保護されたあとどこに収容されるのか知っていますか?

近年、保護猫を飼いたい方が増えていますが、保護猫のことをしっかり理解しないと、後々飼えなくなる、などのトラブルに発展することもあります。

今回は、保護猫について詳しく解説していきたいと思います。

保護猫とは

保護猫とは

文字通り「保護された猫」です。

ノラ猫、捨て猫、様々な理由で飼育できなくなった猫を、愛護センターや保護ボランティアの施設などで保護しています。

保護猫たちの生活環境は外であったり、室内であっても劣悪な環境だったりします。そのため、病気やけがをしていることも少なくありません。また、飼育放棄、虐待にあっていることもあります。保護猫たちは体にも心にも傷を負っていることが多く、人に対し警戒心が強いことがあります。

さらに、保護されても新しい家族が見つからなかった場合、殺処分の対象になることもあります。

令和3年度の環境省の統計によると、年間約35,000頭(幼齢猫は約20,000頭)の猫を引き取り、そのうち年間約12,000頭(幼齢猫は約7,500頭)の猫が殺処分されました。引き取られた猫の1/3が殺処分されています。そして、そのほとんどが幼齢猫であることもわかります。

殺処分を減らすための取り組みが行われていますが、ゼロに至っていないのが現状です。

保護猫の入手方法について

保護猫の入手方法について

保護猫の入手方法のほとんどが、保護施設などからの譲渡です。最近では里親マッチングサイトからの入手も多くなっています。

保護猫の主な入手先とその特徴、費用や注意点について解説します。

動物愛護センター

いわゆる「保健所」です。都道府県の施設であり、現在は動物愛護センターと呼ばれています。動物愛護センターでは、定期的に猫の譲渡会が開催されます。猫の譲渡会に参加するには、施設で行われる飼い方教室への参加、家族構成や住宅の状況の申告、終生飼育・室内飼育の同意書を求められるなど、一定の条件があります。

譲渡会では成猫が優先的に譲渡されます。子猫を望んでいる方には不向きです。また、基本的に雑種ですが、純血種に出会えることも稀にあります。

希望した猫に応募し、抽選で譲渡されるしくみになっています。そのため、希望した猫を引き取れない可能性もあります。

譲渡前に、施設内で人慣れや爪切りなどのトレーニングが行われていることがあります。避妊去勢手術、寄生虫駆除やワクチンが済んでいることがほとんどです。

費用は原則無料です。施設から定期的に連絡が来たり、里親の交流会などが開催されたりします。飼育についての相談にも乗ってくれます。

保護前の状況がわからないことが多く、何らかの病気を持っている可能性もあります。

保護ボランティア

保護ボランティアの施設で保護されています。定期的に譲渡会が開催される他、施設に直接見学に行くことも可能です。

成猫だけでなく、子猫に出会えることもあります。基本的に雑種ですが、純血種に出会えることもあります。

人気のある猫は抽選になるため、希望の猫を引き取れない可能性もあります。

トライアル期間が設けられている場合があり、希望した保護猫と実際に過ごしてみて、飼育できるかを考えることができます。

譲渡の条件は施設によって様々で、かなり厳しい条件を提示する施設もあります。

費用も施設によって異なります。

保護前の状況がわからないことが多く、何らかの病気を持っている可能性があります。また、施設の衛生状態が悪い場合、病気が蔓延していることも少なくありません。

動物病院

動物病院で保護猫の譲渡活動が行われていることがあります。

保護時に健康チェックや寄生虫の駆除、ワクチン接種が行われ、治療が必要な場合は譲渡可能になるまで治療されます。

子猫のことが多いですが、常に保護しているわけではないため、ホームページなどで情報を確認するのをお勧めします。

譲渡の条件は病院によります。保護猫は基本的に雑種です。

費用は無料のこともありますが、ワクチン接種費用などが必要になることもあります。

動物病院なので、飼い方、しつけ相談ができ、かかりつけ医が見つかるメリットがあります。

保護前の状況がわからないことが多く、何らかの病気を持っている可能性があります。また、動物病院で保護される猫は全身状態が悪い場合が多く、病気やケガの継続治療が必要になることが多い傾向にあります。

里親募集の掲示板や里親マッチングサイトなど

近年では、インターネットでの保護猫の里親探しや、里親マッチングサイトも登場しています。

インターネット上に保護猫の情報が掲載され、保護主と直接やり取りし譲渡に至ります。

譲渡会などの予定が合いにくい方にとっては、猫の情報をいつでも見られるため便利です。また、自宅の近くで里親募集が見つかる可能性もあります。

保護主によっては、トライアル期間を許可している場合もあります。

保護主と直接やり取りをするため、金銭的トラブルなどに発展することも少なくありません。気軽に探せる分、慎重になる必要があります。

保護猫の里親になる選択肢を

保護猫の里親になる選択肢を

現在の日本において、殺処分がゼロにならないのが現状です。その理由は、動物愛護センターの収容数に限りがあるからです。動物愛護センターに持ち込まれた猫のうち、人工保育が必要な子猫や治療が必要な猫は、殺処分の対象になります。また、凶暴性が強く人慣れが難しいと判断された場合も、やはり殺処分の対象になります。

動物愛護センターでも、積極的に譲渡会を行い、1頭でも多くの猫が新しい家族に巡り合えるように取り組まれています。

保護ボランティアも、動物愛護センターから保護猫を引き出す活動をしています。

ペットショップに行けば、人気の純血種の子猫に出会え、簡単に飼い始めることができます。しかし、高額な生体購入費がかかります。

保護猫は費用面でも抑えられますし、飼育後のフォローが整っている場合も多くあります。なにより、尊い命が救われます

猫を飼いたいと思っている方は、ペットショップからではなく、保護猫の里親になる選択肢を入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

まとめ

今回は保護猫について解説しました。

保護猫は心も体も傷ついていることがあります。保護されても家族が見つからなければ、さらにつらい未来が待っています。

日本の殺処分の現状から、まだまだゼロに至っていません。

1頭でも多くの保護猫が新しい家族に出会えるよう、「猫を買わずに里親になる」選択肢を入れてほしいと思います。

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