保護猫を迎えたけどトイレをしないときの対処法を獣医師が解説

保護猫を迎えたけどトイレをしないときの対処法を獣医師が解説

保護猫を迎えた後、トイレをしなくなることはよくあります。

保護猫がトイレをしない場合、どこまで様子を見ていいのでしょうか?保護猫がトイレをしないときの原因と対処法について詳しく解説します。

保護猫がトイレをしない原因

保護猫がトイレをしない原因

保護猫が自宅に来てすぐは、トイレをしなくなることがよくあります。トイレをしない原因として3つの可能性が考えられます。その原因について解説します。

緊張が強い

保護猫が自宅に来てすぐは、緊張が強くなります。

元々猫には、排泄行為中は無防備な状態になるため、なるべく早く済ませてその場を去ろうとする習性があります。緊張状態が強い猫は無防備な姿を見せないようにするため、トイレを我慢する傾向があります。

トイレが気に入らない

猫の祖先は砂漠で生活していたため、本能的にトイレ砂があるところでトイレをします。トイレ砂は大きさや材質が様々ありますが、猫によって好みが分かれます。

また、トイレの大きさも十分な広さが必要です。猫の好みに合わないと、トイレを我慢することがあります。

膀胱炎、便秘を起こしている

猫はストレスが強いと、ストレスが原因の一つとされる特発性膀胱炎を起こします。膀胱炎により排尿時に痛みが出現するため、トイレを我慢してしまいます。また、膀胱炎で血尿が起こると、血液で尿道が詰まってしまい、排尿ができなくなってしまいます。

緊張状態が強いと、食事だけでなく水分も十分に摂れなくなります。そうすると、便中の水分量が減ってしまい、便秘になるため排便困難になります。

トイレをしないときの対処法

トイレをしないときの対処法

トイレをしないときの対処法は、原因によって変わってきますが、まず保護猫の生活環境を整えてあげる必要があります。では、それぞれの対処法を説明します。

緊張が強い時

保護猫は、自宅にお迎えしてからしばらくの間、緊張が強い状態になります。自宅にお迎えしてから2週間は、ケージで過ごさせて徐々に慣らしてきましょう。ケージを置く場所はなるべく静かな場所を選ぶと良いでしょう。また、音などの刺激に過敏になっているため、タオルを使って目隠しすると落ち着きます。

ケージから出られるようになってからも、トイレはなるべく人が近づかない場所に設置しましょう。

獣医学的にみたトイレの理想の個数は、飼育頭数+1個以上が望ましいとされています。普段生活する場所に1つ置き、廊下や人があまり入らない部屋にもトイレを設置すると良いでしょう。フード付きトイレを利用するのもいいと思います。

トイレが気に入らない時

野良猫が公園の砂場でトイレをしてしまう問題をご存知でしょうか?

猫の祖先は砂漠で生活していたため、本能的に砂場をトイレにしたくなるのです。猫の好むトイレ砂は、公園の砂場の砂を想像していただけるとわかりやすいかと思います。砂場の砂のように、なるべく粒の小さいものが好まれる傾向にあります。

また、猫はトイレ後に砂をかけて排泄物の匂いを隠します。そのため、脱臭効果の強い砂が好まれることもわかっています。

猫のトイレ砂の種類は、鉱物タイプ、紙タイプ、木タイプ、おから、シリカゲルがあります。それぞれ粒の大きさや固まりやすさ、脱臭効果が違います。保護猫がトイレをしないようであれば、砂の種類をいくつか試して見ることをお勧めします。トイレ毎に砂の種類を変えて、どのトイレに入りやすいかを観察しましょう。ただし、おからのトイレ砂は食べてしまうことが多いため、獣医師としてはあまりお勧めしません。

トイレ砂の深さですが、底から5センチ以上ある状態が望ましいです。5センチ以下では、排泄物を隠し切れず、猫が使用を避ける傾向にあります。

トイレの大きさも、トイレを気に入る要素の一つになります。猫にとって理想的なトイレの大きさは、体の長さの1.5倍以上と言われています。猫がトイレの中に入って、体の向きを変えてもトイレからはみ出さない大きさになります。

猫のトイレシーンで、上半身がトイレから出ていたり、足をトイレのふちにかけていたりする動画を見たことがありますか?おもしろ映像として扱われていますが、実はトイレの大きさが合っていないという猫のアピールなのです。十分な大きさのトイレを準備することが必要です。

フード付きトイレですが、先程緊張の強い猫に使用すると良いと述べました。実は、フード付きトイレは匂いが籠るため、敬遠される傾向にもあります。全てをフード付きトイレにするのではなく、用意したトイレのうちの一つをフード付きにするなどの対応も必要です。

また、汚いトイレでは猫は排泄をしたがりません。毎日トイレ掃除をすることも大事です。

膀胱炎、便秘を起こしている時

膀胱炎や便秘を起こしている時は、トイレで排泄姿勢を取っていてもまったく出ません。何度もトイレに行く、排泄姿勢を取りながら叫ぶ、トイレ以外でも同じ行動が起こるといったことも、判断基準の一つになります。

このような行動が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。命に関わることもあります。自己判断は禁物です。

膀胱炎や便秘は、トイレ環境の整備だけでなく、食事を療法食に変更したり、飲み水を常に新鮮なものを提供する必要もあります。内服薬が必要になることもあるため、かならず獣医師の指示に従いましょう。

どこまで様子をみてもいいの?動物病院を受診する目安は?

どこまで様子をみてもいいの?動物病院を受診する目安は?

保護猫がトイレをしない場合、どこまで様子を見ていいのか判断が難しいと思います。判断の目安として症状の有無を確認するのがよいかと思います。

膀胱炎や便秘の症状がある場合は、すぐに動物病院に行きましょう。

症状はないけれど、トイレ環境の整備を行った後も1日以上トイレをしなければ、動物病院の受診が必要です。

判断に迷うときは動物病院に相談しましょう。

まとめ

まとめ

保護猫がトイレをしない場合、まずはトイレ環境の見直しが必要です。トイレ環境の整備を行うと改善する場合がほとんどです。

しかし、病気によってトイレができないこともあるので、様子を見ずに早めに動物病院に相談しましょう。


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