「うちの子、なかなか水を飲んでくれなくて……」そう悩む猫の飼い主さんは少なくありません。
喉が乾いたら飲むだろうと思われがちですが、実は猫ちゃんは脱水症状に鈍感。喉が渇いたという感覚がなく、水をゴクゴク飲む習慣もないのです。
水分補給が足りないと脱水症状を起こすだけでなく、病気にもかかりやすくなってしまいます。そんな「脱水弱者」の猫ちゃんの脱水症状の見分け方と対処法について解説します。
猫の脱水症状の原因
猫猫ちゃんの先祖は水の少ない砂漠に住んでいたため、あまり水にありつけませんでした。水をゴクゴク飲むという習慣がなく、獲物から水分補給をしていたのです。
そんな環境に適応したことで、猫ちゃんの身体は体内の水分を効率良く使える仕組みをしています。猫ちゃんがくて臭いオシッコをするのは、身体の水分を外に出さないようにする性質を引き継いでいるからなのです。
日本で暮らす完全室内飼いの猫ちゃんにも、あまり水を飲む習慣はありません。喉が渇いたという感覚がなく、脱水症状にとても鈍感です。
猫ちゃんは「脱水弱者」です。猫ちゃんが脱水症状を起こさないように、飼い主さんが気をつけてあげなければならないのです。
病気が原因で脱水症状になることも
猫ちゃんは「水を飲む習慣がない」ことと「喉の渇きに鈍感」なことから、脱水症状を起こしやすいといえます。
また、熱中症、発熱、下痢、嘔吐、感染症、腎臓病、糖尿病、誤飲・誤食などが原因で脱水症状を起こすことがあります。猫ちゃんの飲水量が減っていないか、普段から気にかけるようにしましょう。
特に子猫ちゃんは抵抗力が弱く、ウイルス性の風邪にかかりやすいです。下痢や嘔吐が原因で脱水症状を起こすことがあるので、体調の変化にはくれぐれも気をつけるようにしてください。
シニア猫ちゃんも慢性腎臓病(慢性腎不全)を患っていることが多く、脱水症状のリスクが高いので注意が必要です。
猫が水を飲まないときに心配な病気
飲水量が少ない状態が続くと、腎臓や泌尿器系の病気にかかりやすくなります。
特に「慢性腎不全」は、猫ちゃんがいちばんかかりやすい病気です。凝縮された濃いオシッコをするため、腎臓に負担をかけやすいのです。同じように「尿路結石」や「膀胱炎」のリスクも高いです。
水を積極的に飲ませることと、定期的な健康診断は必須です。
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猫の脱水症状の見分け方
猫ちゃんの脱水症状は、夏の暑い時期だけでなく、寒い時期にも起こります。また、病気によって脱水症状を起こしていることもあります。
普段と違った様子がないか、猫ちゃんの健康チェックは欠かさないようにしましょう。
猫が脱水を起こしているときの症状
猫ちゃんがぐったりしていて、オシッコが少ないなどの異変があったら、脱水症状かもしれません。
最悪の場合は死に至ることもあるため、放っておくのは危険です。以下のような症状が現れたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
【猫の脱水症状】
- ぐったりしている
- 食欲の低下
- 呼吸が荒い
- 目が落ちくぼむ
- 毛に艶がない
- 肉球や鼻の色がいつもと違う
- 歯ぐきが乾燥している
- オシッコの回数が減る
猫の脱水症状のサイン
猫の脱水症状を見分けるには、皮膚の弾力を調べる「テントテスト」という方法が簡単です。
猫ちゃんの首の後ろから背中のあたりの皮膚をつまみ、上に持ちあげてみます。手を離して、すぐに元に戻れば問題ありません。脱水症状を起こしているときは、皮膚の弾力が極端に低下するため、なかなか元に戻りません。
猫ちゃんのオシッコの回数や量、色からも健康状態を知ることができます。体調が心配な猫ちゃんには、オシッコの回数や量を自動で計測できる「システムトイレ」が便利そうですね。
猫が脱水症状になったときの対処法
猫ちゃんの脱水症状が疑われる場合、応急処置として水分補給をしてみましょう。
ただし、嫌がって暴れたり、飲み込む力が弱っているときは、無理に飲ませてはいけません。すぐに動物病院へ連れて行き、点滴などの処置を受けましょう。
電解質入りの水・ポカリを与える
猫ちゃんが脱水症状を起こしたときは、応急処置として「電解質入りの水」を与えます。スポイトやシリンジなどで少しずつ口に含ませるようにして飲ませましょう。
できれば猫ちゃん用の電解水が良いのですが、緊急時は人間用のポカリなどのスポーツドリンクや経口補水液でもかまいません。猫ちゃんにとっては糖分が多いので、2倍以上に薄めてください。
人間用のポカリや経口補水液を与えるのは、あくまで緊急性の高い場合のみです。猫ちゃん用の電解水でも日常的に与えていいかどうか、必ず獣医師に相談するようにしてください。
猫の脱水症対策
猫ちゃんが水を飲まないとき、ちょっとした工夫で飲水量を増やすことができます。
脱水症対策をすることは、熱中症を予防することにも繋がるため、ポイントを抑えておきましょう。
猫が1日に必要な水分量
環境省の資料によると、猫ちゃんが1日に必要な水分量は体重3kgで190ml、体重5kgで280mlとなっています。フードから摂れる水分も含んでいるので、すべてを飲み水から摂る必要はありません。
「器」を変えて脱水症予防
器の材質が気に入らなくて水を飲まないこともあります。プラスチック、アルミ、ガラス、陶器など猫ちゃんの好みを見つけてみましょう。器にヒゲが触れるのを嫌がる子もいるので、なるべく縁の広いものを選ぶのがコツです。
また、猫ちゃんの通り道やお気に入りの場所など、水飲み場の場所を増やすのも効果的です。多頭飼いの場合は、猫ちゃんの頭数分+1個の器を用意しましょう。
水飲み場は食事場所やトイレから離れたところにしてくださいね。
「食事」で水分補給をする
食事と一緒に水分補給をする方法があります。ドライフードにウェットフードをトッピングしたり、ドライフードをお湯でふやかしてから与えるのもおすすめです。液状タイプのおやつでも水分補給ができます。
「水」に興味を持ってもらう
猫ちゃんはカルキ臭が苦手なので、水道水を飲まないことがあります。湯冷ましの水や浄水器を通した水なら飲んでくれるかもしれません。鶏肉や野菜のゆで汁を試してみるのもアリです。
流水が好きな猫ちゃんもいるので、噴水タイプの給水器も試してみてくださいね。
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まとめ
猫ちゃんはもともと水を飲む習慣のない生き物です。あまり水を飲まなくても大丈夫な身体とはいえ「脱水症状」が心配になります。
猫ちゃん自身は喉の渇きに鈍感なため、脱水症状を起こすまで水を飲まないこともあります。飲水量が少ない状態が続くと、腎臓や泌尿器系の病気にもかかりやすくなるため、飼い主さんが気をつけてあげなければなりません。
猫ちゃんの様子がおかしいと思ったら、猫ちゃんの皮膚の弾力を調べる「テントテスト」をしてしましょう。
皮膚の戻りが遅いようなら、脱水症状が疑われます。緊急時は人間用のポカリや経口補水液を薄めたものを少しずつ与え、なるべく早く動物病院を受診するようにしましょう。
猫ちゃんに水を飲んでもらうのは一苦労ですが、猫ちゃんにぴったりの方法があるはずです。好みを探りながら、愛猫ちゃんにぴったりの予防法を見つけてくださいね。
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