気温が高くなると猫の熱中症や脱水症状が増えてきます。エアコンを上手に使いつつ、充分に水分補給ができる工夫が必要な季節ですね。
意外と見逃しがちなのは「食中毒」。猫ちゃんも人間と同じように食中毒になるんです。下痢や嘔吐の症状はもちろん、最悪の場合は命を落とすことも……。
梅雨や夏に気をつけたい猫の食中毒、その原因や症状、予防方法について詳しく解説します。
猫の食中毒の原因
食中毒とは細菌やカビなどの雑菌がついた食べ物や有毒な食べ物を食べることによって、嘔吐や下痢、発熱などの症状が出る病気のことをいいます。
「食中毒=腐ったものを食べた」というイメージがあると思いますが、食べ物といっしょに雑菌が体内に入ることで食中毒症状を起こしているのです。特に日本の梅雨や夏は高温多湿。食べ物や飲み水に雑菌が繁殖しやすく、食中毒のリスクが高い環境です。
また、人間にはなんでもない食べ物でも、猫ちゃんが食べると中毒症状を起こすものもあります。
猫ちゃんは人間よりも身体が小さいので、少しの量でも重症化しやすいです。猫ちゃんの健康を守るために、猫ちゃんの食中毒の原因を正しく知っておきましょう。
カビの生えたキャットフードを食べる
ドライフードは傷みにくいですが、湿気の多い環境で適切に保管されていない場合、長時間放置して水分を吸ってしまった場合は「カビ」が生えてしまいます。カビにはマイコトキシンという毒素が含まれていることがあり、胃腸炎の原因になります。
食べかけのフードを放置する
猫ちゃんの唾液にには雑菌がいっぱい。いちど口をつけたフードを放置しておくと、「サルモネラ菌」や「黄色ブドウ球菌」などの細菌が繁殖してしまいます。体内に入ると下痢や嘔吐の原因になります。
特にウェットフードは保存料無添加のものが多く、とても傷みやすいです。置き餌をすると、食中毒のリスクを高めてしまいます。
古くなった水を飲む
猫ちゃんの飲み水にも雑菌が繁殖しやすいです。食器を触ってみてヌルヌルしていたら、雑菌が繁殖しているサインです。
不衛生な食器を使う
猫ちゃんのフードや飲み水を継ぎ足しで与えていると食器が不衛生になりがちです。雑菌が繁殖し、カビが生えることもあります。また、自動給水器や自動給餌器も定期的なメンテナンスが必要です。
加熱が不十分な食べ物を食べる
生肉や生魚を食べると「サルモネラ菌」や「大腸菌」による食中毒の危険性が高いです。また、生の豚肉には「トキソプラズマ」という寄生虫が潜んでいる場合があり、猫ちゃんから飼い主さんに感染することもあります。
食べてはいけないものを食べる
ネギ類、チョコレート、アボガド、レーズン、イカ、貝類など、猫ちゃんが食べると中毒症状を起こす食べ物があります。ほかにも観葉植物や薬品などでも食中毒を起こすことがあります。
猫の食中毒の症状
猫ちゃんの身体に入った細菌やカビは、体内で増殖して毒素を作り出すことで体調に異変を起こします。下痢や嘔吐のほか、発熱や痙攣(けいれん)などの症状が見られることもあります。
猫ちゃんの食中毒が疑われる場合は、必ず動物病院を受診しましょう。飼い主さんが無理に吐かせようとするのは危険です。
受診すべきかどうか迷ったら、まずは電話で指示を仰ぐこともできます。いつどんなものを食べたか、どんな症状があるのか、できるだけ詳しく伝えるようにしましょう。
嘔吐
食べてすぐ吐いたときは「吐き戻し」が考えられますが、時間が経ってから吐いた場合は食中毒かもしれません。何度も繰り返し吐いたり、何日間か続くこともあります。
【関連記事】 |
下痢
いつもよりやわらかいウンチ、水のようなウンチは下痢の症状です。トイレでウンチができず、粗相をしてしまうこともあります。脱水症状の危険もあります。
【関連記事】 |
食欲がない・元気がない
猫ちゃんがあまりフードを食べないときは、腹痛を感じているのかもしれません。熱中症など他の病気も考えられるので、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
発熱
猫ちゃんの体内に細菌が入ることで発熱することがあります。耳や肉球を触って熱いと感じたら発熱している可能性が高いです。
泡を吐く
食べ物や植物、薬品などの誤食による中毒が重症化すると、泡を吐く症状が見られます。痙攣(けいれん)や呼吸困難を起こすこともあるので、ただちに動物病院へ連れていきましょう。
よだれが出ている
食中毒によって神経症状があらわれたとき、よだれを垂らすことがあります。泡を吐く症状と同じく、痙攣(けいれん)や呼吸困難を起こすこともあります。
痙攣(けいれん)している
急性中毒によって、全身や身体の一部をピクピクと震わせるような痙攣(けいれん)が起こります。発作が起こっても、身体を揺すったり、抑えたりするのはNG。落ち着くのを待って動物病院を受診しましょう。
猫の食中毒の予防方法
猫ちゃんの食中毒を防ぐには、まずはフードの管理を徹底することが大切です。すぐにできることばかりなので、いまいちど確認してみましょう。
フードを密閉容器で保管する
ドライタイプのフードは、袋を開封して空気に触れることで「酸化」が始まります。「湿気」の影響も受けやすいので、密閉して保管しましょう。
キャットフード専用のフードストッカーも市販されていますが、タッパーや真空コンテナに入れて保管すればOKです。大袋でなく、小分けにされたものを買うのもオススメです。
ウェットフードも開封したらすぐに食べてもらいましょう。食べきれない分は冷蔵庫で保管し、長くても48時間以内に食べきるようにしてください。
【関連記事】 |
フードを放置しない
高温多湿の環境はフードの劣化が進みます。置き餌は食中毒のリスクが高くなるため、30分をめどに一旦片付けるようにしましょう。
猫ちゃんといえば「ダラダラ食べ」「ムラ食い」ですが、食中毒だけでなく肥満の原因にもなってしまう食べ方です。なるべく食事の時間を決めて、猫ちゃんの健康管理をしやすくしておくことも大切です。
食器も清潔に
プラスチック製の食器は傷がつきやすく、雑菌やカビが繁殖しやすいです。食後は洗剤で洗い、水気をきって乾かしておきましょう。
洗剤はペット用でなくても構いませんが、猫ちゃんが苦手な柑橘系のニオイのするものは避けます。また、人間用の食器洗いスポンジとは別なものを用意してください。
また、定期的にアルコール消毒か熱湯消毒をするようにし、傷がついていたら新しいものと交換してください。陶磁器製の食器は傷や汚れに強いのでオススメです。
換気と掃除はこまめに
お部屋の風通しを良くし、なるべく湿気がこもらないようにしましょう。エアコンを上手に使って除湿をするのも効果的です。
また、サルモネラ菌やトキソプラズマは猫ちゃんのウンチから飼い主さんへも感染します。猫ちゃんのトイレは常に清潔を心がけ、トイレ掃除の後は入念に手洗いや消毒をするようにしましょう。
【関連記事】 |
人間の食べ物を与えない
猫ちゃんが誤って危険な食べ物を食べてしまわないように、食べ物や薬などを出しっ放しにしないようにしましょう。どんなに欲しがっても、人間の食べ物を与えるのはNGです。
【関連記事】 |
まとめ
食中毒は1年中いつでも起こります。だけど高温多湿の梅雨や夏は、食中毒のリスクがぐんと高くなります。
食中毒の原因はフードなどといっしょに細菌やカビを体内に入れてしまうこと。猫ちゃんのフードや飲み水には雑菌が繁殖しやすいのです。
猫ちゃんの食中毒を防ぐには、フードの管理を徹底することが大切です。必ず密閉容器に保存し、湿気や酸化から守るようにしましょう。
また、フードを長時間出しっ放しにしたり、継ぎ足しでフードを与えるのも不衛生です。30分をめどに一旦下げ、食器をきれいに洗うようにしましょう。飲み水もこまめに取り替えることで食中毒を予防できます。
猫ちゃんは身体が小さいので、下痢や嘔吐でも命に関わることがあります。普段から猫ちゃんの様子をよく観察し、少しでも異変に気がついたら動物病院を受診すようにしてくださいね。
【関連記事】 |
著者プロフィール

この記事のご感想をお寄せください!(コメントを書く)