7月に入り、かなり暑い日が多くなりました。ニュースでも熱中症で搬送されたという報道を耳にします。
暑い環境下では、人だけでなく猫も熱中症になります。
動物の熱中症は緊急性が高く、残念ながら亡くなる可能性が非常に高い状態です。
今回は、猫の熱中症について解説します。
猫の熱中症とは
熱中症とは、急激な気温の上昇などで体温調整がうまく働かなくなり、高体温や脱水、電解質異常などを引き起こす状態です。
人間は全身から汗をかいて体を冷やしますが、猫は肉球などの体の一部分でしか汗をかくことができません。
猫の祖先は砂漠で生活をしていましたが、日本のような湿度の高い環境はあまり得意ではありません。
高温多湿の環境下では、猫はうまく汗をかけず体温が体にこもりやすくなってしまい、熱中症を発症してしまいます。
猫に限らず熱中症は緊急的であり、亡くなる可能性が非常に高い状態です。また、一命は取り留めたものの、後遺症が残る可能性もあります。
猫が暑い環境下にいて、次のような症状があれば熱中症の可能性があります。
猫の熱中症の主な症状
- 体が熱い(体温が40度以上)
- 元気がない
- 呼吸が速い
- 開口呼吸、よだれ
- 目・口の中・耳の中が赤く充血している
- 下痢や嘔吐
- ふらつき
- 血尿・血便
- 痙攣
- 意識消失
これらの症状のうち、下に行くにつれて重症となります。
夏の暑さで食欲がなくなることがあるかもしれませんが、熱中症の場合は急激に症状が悪化するのも特徴です。
熱中症にかかりやすい猫の特徴
すべての猫が暑い環境下では熱中症になるリスクがありますが、特に次のような猫はさらにリスクが高くなります。
子猫やシニア猫
子猫やシニア猫は、体温調節の機能が未熟だったり、衰えていたりします。
暑い環境であっても、自分で涼しい場所に移動することも難しいため、体温が上昇してしまいます。
長毛種
長毛の猫は、短毛の猫よりも毛の密度が高いため、体温が上昇しやすくなります。長毛種は寒い地域が原産であることが多く、暑さに弱い傾向があります。
短頭種
短頭種というのは、いわゆる鼻ペチャの猫です。ペルシャやヒマラヤン、エキゾチックショートヘア―などが短頭種になります。
短頭種の猫は、鼻や口、気管などが狭く、空気が通りぬけにくい構造をしています。
猫は体温を呼吸で逃がすこともできるのですが、短頭種の猫は体からの熱をうまく逃がすことができません。そのため、熱中症になるリスクが高くなります。
肥満体型
肥満体型の猫は脂肪組織が多く、体内に熱を溜め込みやすくなります。また、気道周囲にも脂肪組織が蓄積し、呼吸による熱の発散ができにくくなります。
持病がある
心疾患や呼吸器疾患などの持病がある場合、熱中症の発症リスクが高くなります。また、持病がある猫は高齢であることが多いため、熱中症を発症しやすく、重症化する可能性が高くなります。
猫の熱中症の応急処置とは
熱中症と思われる症状がある場合、すぐに対応しなければ命に関わります。熱中症の応急処置について説明します。
涼しい環境にする
熱中症は暑い環境下で起こります。そのため、発見したらすぐに冷房をかけたり、屋外であれば風通しの良い日陰に移動する必要があります。
体を冷やす
熱中症は体温が高温になり、自力で体温を下げることができない状態です。そのため、体温を下げてあげることが必要です。
体温を下げるには、太い血管のある首、脇、内股を冷やすことが効果的です。タオルを巻いたアイスノンなどを当てましょう。
濡れたタオルをかけるのも効果的ですが、さらに扇風機などで風を送ると、体温がより下がりやすくなります。
シャワーがあれば、シャワーをかけてあげるのも良いでしょう。
水を飲ませる
熱中症は、うまく水分摂取ができていないことがあります。意識がある場合、口元に水の入ったお皿を持って行きましょう。
意識がなかったり、自力で水を飲めない場合は、決して無理に飲ませないでください。窒息の原因になります。この場合は、直ちに動物病院に行きましょう。
動物病院受診までの流れ
熱中症は、症状が軽度であっても必ず動物病院を受診しましょう。
時間が経ってから、重篤な症状や後遺症が出る可能性があります。
熱中症で動物病院を受診するまでの流れを説明します。
応急処置をする
熱中症の状態を発見したら、すぐに応急処置を行い、できる限り体温を下げる必要があります。
動物病院に電話する
熱中症で動物病院を受診する場合、できる限り電話をしましょう。
熱中症は緊急性が高く、酸素吸入や心肺蘇生など薬剤や機材の準備が必要になります。
連絡を受けた動物病院は、熱中症の猫が到着するまでに必要物品の準備をして待機しています。
動物病院に電話をする場合、猫の基本的な情報だけでなく、次のことも伝えてください。
- 発症時間(外出していた場合、外出していた時間)
- 猫の状態
- 病院までどれくらいの時間で到着するか
- 持病の有無
急に起こることなので、飼い主さんも混乱していることがほとんどです。
動物病院に電話することで、応急処置の指示もしてもらえます。動物病院の指示に従いましょう。
動物病院に搬送する
動物病院に電話をしたら、速やかに搬送の準備をします。体を冷やしながら動物病院まで移動しましょう。
まとめ
これからの時期、人間だけでなく猫も熱中症になる可能性が非常に高くなります。室内飼育の猫がほとんどだと思いますが、外出時は必ず冷房をかけていきましょう。冷房を直接猫に当てるのではなく、冷えた空気が室内を循環するように調整しましょう。冷房の風から逃げる場所も必要です。飲み水も熱中症予防には重要になります。何ヶ所にも飲み水を置いておきましょう。
もし熱中症になってしまったら、焦らずにすぐ応急処置を行い、動物病院に指示を仰ぎましょう。
これからさらに暑くなります。人も猫も快適に過ごしていきたいものですね。
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