猫が誤飲・誤食したときの見分け方や応急処置、受診までの流れを獣医師が解説

愛猫が変な物を食べてしまったら、飼い主さんはきっと焦ってしまうでしょう。

猫が食餌や飲み水以外の物を誤って飲み込んでしまうことを誤飲・誤食と言います。猫は自分の意志で誤飲・誤食をするよりも、遊んでいるうちに事故が起きてしまいます。

誤飲・誤食したときの見分け方や応急処置、受診までの流れを解説します。

猫が誤飲・誤食しやすい物とは

猫が誤飲・誤食しやすい物は、紐や糸、ビニール類、ジョイントマット、おもちゃ、植物類、薬物があります。それぞれについて解説します。

紐や糸

猫の誤食で一番多いのが紐や糸になります。タオルや毛布を好む猫は、遊んでいたり舐めているうちに、糸くずを飲み込んでしまいます。また、紐がついたおもちゃで遊んでいるうちに、紐を切って飲み込んでしまうことがあります。

ビニール類

猫の中にはビニール袋などを好む猫がいます。ビニール袋は「カサカサ」と音がするため、中に獲物がいると思ってしまい、おもちゃにしてしまいます。また、食べ物を入れていると、匂いがビニール袋についていることもあり、食べてしまうことがあります。ストレスなどで食べてしまうこともあります。

ジョイントマット

家の中に敷いてあるジョイントマットの角をかじってしまうことがあります。

おもちゃ

猫のおもちゃには様々な種類があります。ねこじゃらしやリボン、ねずみや羽根などがついたものなどが、よく売られているかと思います。遊んでいるうちに少しずつかじってしまい、飲み込んでしまう事故があります。ねずみなどのおもちゃの毛皮に、ウサギなどの獣毛が使用されていることがあり、猫の興奮度が増すため誤食事故が非常に多いです。

植物

庭に生えている植物だけでなく、観葉植物の中にも猫にとって有毒植物が多く存在しています。何気なくかじってしまい、中毒を起こすことがあります。

薬物

猫の薬物中毒で特に有名なものは、エチレングリコール中毒です。昔の車の不凍液として使用されていましたが、現在では毒性から使用されていません。しかし、保冷剤などに含まれていることがあります。独特の甘味があるため、猫が誤って舐めてしまい中毒を起こします。古い車を所有していたり、エチレングリコールを含む保冷剤を使用している場合は注意が必要です。

猫が誤飲・誤食したときの見分け方

もし猫が誤飲・誤食をした可能性がある場合、周囲を見回してみましょう。荒らされていたり、食いちぎられていたり、物が無くなっていた場合は飲み込んでいる可能性があります。

猫が誤飲・誤食した時の症状は、嘔吐、食欲不振、元気消失などが起こります。中毒物質を飲み込んでいた場合は、数時間で症状が出てきます。飲み込んだ物によっても、症状が異なります。また、毒性が強いものであれば、命に関わることもあります。

紐や糸、おもちゃなどの異物を飲み込んだ場合、消化管で閉塞が起こると症状が出現します。頻回な嘔吐や水を飲んでも嘔吐し、食欲も無くなります。飲み込んですぐ起こるわけではなく、数時間から数日経ってから症状が出現することが多いです。

猫が誤飲・誤食したときの応急処置

猫が誤飲・誤食をした場合、自宅での応急処置はなるべく控えましょう。

口の中に入っている状態であれば、口を開いて取り出すこともありますが、噛まれる恐れがあるため注意して行ってください。

糸や紐を誤食した場合、口や肛門から出てきていることがあります。出てきている糸などを引っ張ってしまうと、腸管を傷つけてしまう恐れがあるため、絶対に引っ張らないでください。

ネットには吐かせる方法などが掲載されていることもありますが、無理に吐かせることにより誤嚥を引き起こしたり、状態を悪化させる恐れがありますので、自己判断は絶対にしないでください。必ず動物病院に相談、受診をしましょう。

動物病院受診までの流れ

誤飲・誤食をした場合、必ず「いつ、何を、どれくらい」食べたかを動物病院に伝えてください。誤食してからなるべく時間が経っていない方が、体へのダメージも少なく、催吐処置のみで解決することがあります。誤飲・誤食事故は緊急性が高いため、事前に電話にて相談をしておくと、優先的に診察してもらえる可能性があります。受診の際は、食べた物の切れ端や、薬剤であれば成分がわかるもの、植物であれば名前が分かるものを持参しましょう。

夜間に事故が起こる可能性もあります。朝まで待たず、夜間対応の動物病院にかかるようにしましょう。

動物病院での処置は、誤食したものの種類によって、胃洗浄や催吐処置が行われます。内視鏡がある病院であれば、内視鏡で異物の除去が行われます。しかし、消化管が閉塞していたり消化管が損傷している場合は、開腹手術が適応になります。薬物などの中毒の場合は、入院して点滴治療が行われます。

誤飲・誤食にかかる費用は、1万円～20万円程になります。入院日数や処置、手術の内容によっても異なります。

まとめ

猫の誤飲・誤食事故は、飼い主さんが気づかないうちに起きており、症状が出てから異物に気づくことがほとんどです。誤飲・誤食を防ぐためには、猫がいる部屋に食べそうな物を置かないようにしたり、蓋つきの箱にしまう必要があります。また、おもちゃは遊び終わったら必ず片づけるようにしましょう。

もし誤飲・誤食した可能性がある場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。