猫のいびきの原因と考えられる病気を獣医師が詳しく解説

猫のいびきの原因と考えられる病気を獣医師が詳しく解説

猫が寝ている時に、プープーやブーブーといった音が聞こえていませんか?

それは、猫のいびきの音です。

猫のいびきは、聴いているとかわいいものではありますが、いびきをかくこと自体が正常ではありません。

猫のいびきの原因と考えられる病気について詳しく解説します。

猫のいびきはどんな音?

いびきとは

いびきは、睡眠中に狭くなった気道(空気の通り道)に擦れることによって起こる現象です。

正常な個体でも、睡眠時は気道が狭くなりますが、いびきをかくことはありません。異常に狭くなるといびきが生じます。猫のいびきの場合、人のようにガーガーというよりは、ブーブーやプープーといった音になります。

猫がいびきかくのはなぜ?

猫のいびきの原因

猫のいびきの原因は、疾患によるものと体の構造的なものがあります。

猫のいびきの程度は、気道の狭窄具合でも変わり、寝息が大きく感じられる程度のものから、グーグーという大きな寝息を立てるもの、睡眠時に呼吸ができなくなるものまであります。

猫のいびきの原因について解説します。

肥満

人でもそうですが、猫も肥満体になると首回りにたくさん脂肪がついてきます。脂肪により気道が押されて狭くなり、いびきをかきやすくなります。

鼻炎

アレルギー性鼻炎や猫風邪などにより鼻の中に炎症が起きると、鼻の粘膜が充血し浮腫が起こるため、鼻づまりが起こります。また、鼻の中に細菌感染が起こると黄色がかった粘度の高い鼻水が出てくると、より鼻が詰まりやすくなります。

鼻づまりが起こると、狭くなった鼻腔を空気が通過したり、口呼吸になりやすくなるため、いびきをかくことがあります。睡眠時のみではなく、起きている時も音がすることがあります。

短頭種気道症候群

ペルシャ猫などの鼻のつぶれた猫のことを、短頭種と言います。

短頭種気道症候群は、短頭種にみられる解剖学的な異常の総称です。短頭種気道症候群は、次のような様々な解剖学的異常が出現します。

  • 鼻の入り口が狭い(外鼻孔狭窄)
  • 鼻の中が狭い(鼻腔狭窄)
  • 軟口蓋(人でいうのどちんこ)が長い(軟口蓋過長)
  • 軟口蓋が分厚い(軟口蓋肥厚)
  • 気管が細い(気管低形成)

状態によって、呼吸のしづらさが変化し、常にグーグーと音がしたり、運動すると呼吸困難を起こすほどに狭窄している場合もあります。

鼻腔内腫瘍

中高齢期に入ると、鼻腔内に腫瘍が発生することがあります。

鼻腔内腫瘍の種類としては、悪性リンパ腫、腺癌、扁平上皮癌などが挙げられます。鼻腔内に腫瘍が発生すると、腫瘍により鼻腔内が狭くなり、いびきをかきやすくなるだけでなく、起きているときでも呼吸音が強く聞こえたり、腫瘍が大きくなると呼吸困難を引き起こすことがあります。また、腫瘍からの出血により、血混じりの鼻汁や鼻出血が起こります。顔が著しく変形することもあります。

猫のいびきの治療法

いびきの治療法

いびきの治療法は、それぞれの疾患を治療することになります。それぞれの疾患に対する治療法を説明します。

肥満

肥満が原因の場合は、ダイエットが治療となります。肥満は、摂取したカロリーよりも消費するカロリーが少なく、カロリーオーバーになっている状態です。

猫は狩りをする動物であり、獲物を追いかけて短時間で仕留める狩りを行います。そのため、無酸素運動が主体であり、たくさん運動しても痩せることは難しいです。

猫のダイエットの基本は、フードのカロリーを制限します。極端なカロリー制限は、かえって肝臓に負担をかけてしまうため、必ず獣医師に相談の上、カロリー設計が必要です。

鼻炎

アレルギー性鼻炎の場合は、ステロイドや抗ヒスタミン剤を使用して、アレルギー反応を抑えます。ノミやダニに対してアレルギー反応が起こる場合があり、駆虫薬を使用したり、こまめに掃除することで症状が緩和することがあります。

ウイルス性鼻炎の場合は、症状に対応した対症療法を行います。主に、抗生物質の使用や抗ウイルス剤、インターフェロン療法などが行われます。

短頭種気道症候群

軽度であれば体重コントロールなどで経過をみますが、鼻の穴を拡げたり、軟口蓋の大きさを調整するといった手術が必要になります。

鼻腔内腫瘍

腫瘍の種類により治療法は異なりますが、主に手術、抗がん剤、放射線療法、対症療法が行われます。鼻腔内腫瘍は、完治することは難しく、ある程度小さくなっても最終的に再発し、予後は良くありません。

まとめ

まとめ

猫のいびきは病気の症状の一つです。肥満は病気ではないと思われる方もいるかもしれませんが、獣医学的には肥満も疾患の一つと考えています。

いびきをかいている姿は、リラックスしてかわいいと思いますが、病気の症状ということを頭の片隅に置いておきましょう。

息苦しさがなければ、すぐに動物病院にかかる必要はありませんが、健康診断など定期的に受診する機会を設け、獣医師からアドバイスをもらうようにしましょう。

 


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