猫のおならを聞いた事がありますか?
おそらくないかと思います。普段のおならであれば、「今、おならした?」くらいのにおいですが、腸内で異常が起こると臭くなることがあります。
今回は、猫のおならが臭い原因とは?病院に連れて行くべき症状を解説します。
猫はおならをするの?
猫も人間と同じようにおならをします。おならは、口から飲み込んだ空気や腸内でできたガスが混ざり合い、腸管を通って肛門から出る現象です。
食べた物が腸内細菌によって分解・発酵され、臭いにおいのもとなる物質が作られるため、おならは臭いにおいになります。
猫はあまりおならの音を出しません。音がしても、「プッ」や「プスー」くらいで、ほとんどがいわゆる「すかしっぺ」です。
猫のおならはなぜ臭いのか?
おならは、食べた物や腸内環境によってにおいが変わります。おならが臭くなる原因について解説します。
フード
猫は肉食動物であり、タンパク質を多く摂取します。タンパク質を摂取すると、腸内の悪玉細菌に分解され、臭いにおいが発生します。そのため、猫は人間よりも臭いおならをするといわれています。
フードはメーカーによって、原料や配合の違いがあり、含まれているタンパク質が異なります。そのため、フードを変更するとにおいが変化したり、きつくなったと感じることがあります。
ストレス
ストレスを感じると、消化管の動きが弱まったり、腸内細菌のバランスが変わったりします。いつもと同じフードをあげているのに、軟便や下痢、便秘を起こしたり、おならのにおいが臭くなることがあります。
また、ストレスが溜まると、過剰にグルーミングをすることがあり、グルーミングの時に空気をたくさん飲み込んでしまいます。舐めとった抜け毛は、そのまま飲み込んでしまうため、抜け毛により消化機能が低下します。過剰にグルーミングすると、おならの回数が増えたり、臭くなることがあります。
加齢
加齢に伴い、消化機能も衰え、腸内細菌のバランスも崩れます。腸内細菌のバランスが崩れると、おならのにおいの元となる悪玉細菌が増加し、においが変化します。
消化不良
おなかの調子が悪いと、食べた物の消化吸収能力が低下し、食べ物の残りかすが長く腸内に留まりやすくなります。そのため、発生するガスの量も増えるため、においがきつくなったり、おならの回数が増加します。
消化不良の場合は、食欲が落ちたり、下痢や軟便、便秘などの症状も出現します。
疾患によるもの
消化管に異常があると、おならのにおいが臭くなります。消化管に異常がある場合は、おならのにおいの変化だけでなく、それ以外の症状も出現します。症状については、後ほど解説します。
慢性下痢症
対症療法をしても、下痢が3週間以上続く場合は「慢性下痢症」と呼ばれます。慢性下痢症は何らかの原因で起こります。食餌性や感染、膵炎以外に、炎症性腸疾患やリンパ腫などが原因になります。
下痢がメインの症状となり、おならの回数やにおいがきつくなります。
腸閉塞(イレウス)
腸管の運動が、毛玉や異物、腫瘍など物理的に閉塞する場合と、様々な原因から腸管の運動麻痺によって機能的に閉塞する場合があります。腸閉塞が起こると、腸内の内容物が流れにくくなったり、完全に流れなくなったりし、ガスも溜まるようになります。完全に閉塞していない場合、非常に臭いおならが出てきます。
膵外分泌不全
膵臓はホルモンや消化酵素を分泌する臓器です。猫は膵炎を起こすことがよくあり、膵炎が慢性化した結果、膵外分泌不全になることがあります。
膵外分泌不全では、膵臓から分泌される消化酵素が出なくなるため、炭水化物、タンパク質、脂肪の消化吸収不良が起こります。その結果、特徴的な下痢と著しい体重低下が見られます。
特徴的な下痢とは、白い脂っぽい便(脂肪便)をします。非常に臭いが強いため、おならも臭くなります。
肛門腺
おならだと思っていたものが、実は肛門腺からの分泌物ということもあります。肛門腺は、肛門に2か所開口している分泌腺であり、強烈な生臭さのある分泌液を出します。
猫は興奮すると、肛門腺から分泌液が飛び出ることがあります。猫を抱っこしていたときに、臭いにおいをつけられた経験がある方もいるかもしれません。特に子猫は、興奮によって肛門腺から分泌液が出やすい傾向があります。
猫は排便時に肛門腺から分泌物が押し出されますが、うまく排出されない場合は肛門腺の袋に溜まってしまい、ひどくなると破裂することがあります。おしりが臭いと思っていたら、肛門の横から血膿が出ていて来院するケースはよくあります。
動物病院に連れていくべき症状
おならが臭いだけの場合、食餌の変更やストレスケアをして様子を見ても良いでしょう。しかし、おなら以外に症状が出ているときは要注意です。
次のような症状があるときは、動物病院を受診しましょう。
- お腹が張っている
- お腹を触られるのを嫌がる
- 元気、食欲がない
- 嘔吐、下痢、軟便、血便、便秘
- 脱毛が起こるほどのグルーミング
- お尻を触られるのを嫌がる
おなら以外に症状がある場合、腸管の病気がある可能性があります。特に、先に述べた腸閉塞の場合、命に関わる危険性があります。
腸閉塞は腹痛を伴い非常に苦しくなるので、直ちに病院を受診しましょう。
まとめ
おならは生理現象なので、それ自体は異常ではありません。また、おならが臭いだけなら、フードを変更したり、ストレスケアに務めることで改善する可能性があります。しかし、お腹に異常のある場合、おならだけでなく必ず他の症状がメインに現れます。
おならだけでなく、便の状態やお腹が張っていないかなどをチェックし、いつもと違うようであれば動物病院を受診しましょう。
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