猫白血病ウイルス感染症とは?症状・治療法を獣医師が解説

猫白血病ウイルス感染症とは?症状・治療法を獣医師が解説

猫を保護した場合、動物病院で勧められる検査の中に猫白血病ウイルス検査があります。

猫白血病ウイルスは外で生活している猫に多く、保護したときに感染が確認されることがよくあります。

今回は、猫白血病ウイルス感染症について解説します。

猫白血病ウイルス感染症の初期症状と発見方法とは

猫白血病ウイルス感染症とは

猫白血病ウイルスはレトロウイルスという種類のウイルスで、このウイルスの特徴は猫の細胞にウイルス自身の遺伝情報を書き加え、ウイルスを増やしていくことです。猫白血病ウイルスは、猫の骨髄に入り込み、免疫を担当する白血球に感染し、異常な白血球が増殖します。

白血病は、異常な白血球が増殖し、正常な免疫機能が働かない状態を表します。血液が白く見えるのではなく、顕微鏡で血液を見たとき白血球ばかりが確認されるため、白血病という名前がつきました。

感染経路

猫白血病ウイルスは唾液や鼻汁に含まれ、猫どうしの毛づくろいや同じ食器を使用することでウイルスが感染する、接触感染が起こります。それ以外にも、胎盤や交尾でも感染します。感染力自体は強くなく、すれ違ったりするくらいでは感染しません。

屋外で生活する猫に多く、1~6歳くらいによく見られます。

症状

猫白血病に感染した猫の症状は様々ですが、一般的に食欲不振、体重減少、元気がないといった症状が現れます。白血球が正常に働かないため、免疫不全状態になり、口内炎が発生します。また、胸や腎臓、眼にリンパ腫を発生させることも知られています。

骨髄にウイルスが入り込むため、発熱、貧血、出血傾向が起こることもあります。

免疫低下により、様々な病原体に感染しやすくなり、症状も様々です。

診断方法

動物病院では、猫の血液中のウイルスを検出するキットを使用して診断します。猫エイズウイルスも同時に検出するタイプの物が多く、保護猫をお迎えした場合、勧められることがあるかもしれません。保護施設で事前に検査が済んでいることもあり、猫白血病ウイルス陽性の告知を受けて飼育する方もいらっしゃると思います。

検査自体はわずかな血液で行います。検査キットによって検出時間が異なりますが、採血から20分ほどで結果が分かります。しかし、感染から約2か月が経過しないとウイルスを検出できないため、保護したときと保護から2か月後に検査を受けることをお勧めします。

猫白血病ウイルス感染症の治療法とは

猫白血病ウイルス感染症の治療法

残念ながら猫白血病ウイルスに対する治療薬はありません。

症状が様々であるため、症状に合わせた対症療法を行います。例えばひどい貧血があれば輸血、発熱があれば抗生物質、口内炎があれば消炎剤、リンパ腫を発症していたら抗がん剤療法などを行います。また、ウイルスに対する体の免疫を活性化させるために、インターフェロン療法を行うこともあります。

予防方法

猫白血病ウイルスを保有する猫と接触しないことが重要になります。猫白血病ウイルスは食器を共有するだけでも感染するため、もし同居猫が猫白血病であれば食器や生活スペースをすべて分ける必要があります。できれば、白血病の猫に接触した場合、飼い主さんも服を着替えるなどの対応も必要です。

猫白血病ウイルスのワクチンを接種することで、感染や発症を抑えることが可能です。しかし、ワクチンを打っていれば感染猫と一緒に生活できるのではなく、感染猫とは隔離する必要があります。

また、獣医領域では猫白血病ウイルスワクチンを接種した部位に、繊維肉腫という悪性腫瘍がまれに発生することが知られています。したがって、猫白血病ウイルスのワクチンは頻繁に打つべきではないとされています。現在のワクチネーションプログラム(ワクチンの打ち方のガイドライン)では、3年に1回のワクチン接種が推奨されています。

予後

猫白血病ウイルスに感染した場合、症状はないけれどウイルスが体内に存在する持続感染を起こします。

一般的に、新生子に感染した場合はほぼ100%持続感染が成立しますが、生後3か月齢を超えてからの感染では25%、1歳齢以降の感染ではほぼ持続感染しないと言われています。持続感染が起こると、4年以内に亡くなるケースがほとんどです。

生まれてすぐに感染した場合、猫白血病と付き合っていく必要がありますが、大きくなってから陽性と診断された場合、体内の免疫によってウイルスが排除される場合があります。そのため、陽性と診断されてから、4か月後に再検査をお勧めします。そこで陰性であれば、ウイルスを排除できたと考えられます。しかし、陽性であれば、残念ながらウイルスは持続感染になったと考えられます。

持続感染してからすぐに重度の症状が現れるのではなく、かなり時間が経ってから症状が現れます。無症状であれば、定期的に病院で診察を受け、今の状態を維持することが大切です。また、ストレスは免疫機能を低下させます。なるべくストレスのかからないような生活を心がけましょう。

もし同居猫がいるのであれば、他の猫に感染しないように対策を取りましょう。

まとめ

まとめ

猫白血病ウイルス感染症は、持続感染になれば治る見込みはありません。そのため、他の猫からの感染予防が重要です。

また、譲渡会に行くと猫白血病ウイルス陽性の猫もいます。猫白血病を発症すると、必ず何らかの治療が必要になります。情に流されず、その猫にしっかり治療費をかけられるか、他の猫に感染させないように対策できるかを考えてから、お迎えの決断をしましょう。


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