猫も人と同じように、高齢になると関節炎が起きます。関節炎には痛み止めが使われますが、痛み止めには副作用や使いにくい側面もあるため、サプリメントが使用されることがあります。
今回は関節炎のサプリについて解説します。
猫の関節炎とは?症状と原因を知ろう
関節炎が猫に与える影響
関節炎は12歳以上の高齢猫の約7割が患っていますが、1歳から関節炎の症状が現れることもあります。関節炎があると、痛みなどから動きたがらず、カロリーオーバーになるために肥満になりやすい傾向があります。肥満になるとさらに関節の負荷がかかり、痛みが強くなります。そして、より動かなくなって肥満になる、悪循環を繰り返します。
関節炎は肥満につながり、肥満は糖尿病やがんなど、様々な病気の要因にもなります。
老化や肥満、ケガが原因になるケース
関節炎のうち、変形性関節症は高齢や肥満の猫に多く見られます。関節に長く負担がかかることで、関節が変形し痛みを伴うようになります。
若齢でも関節炎になることがあり、ケガなどで関節の脱臼や骨折などがあると、関節炎を起こしやすくなります。
早期発見のために気をつけるサイン
関節炎は高齢猫で多いため、加齢で動きが鈍くなったと思われるケースが多くあります。しかし、実は関節炎の痛みで動きたくないということもあります。適切に診断・治療が行われると、以前のように活発に動けるようになることもあります。
関節炎の主な症状として、動きたがらない、ジャンプをしない、昇り降りを躊躇するといった症状があります。爪とぎをしなくなるのも特徴です。これらの症状があれば、動物病院で診察を受けましょう。
猫の関節炎に効果が期待できるサプリメントの成分
サプリメントは医薬品が使いにくい場合や、体質改善など様々な目的で使用されることがあります。ただし、サプリメントは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、通称「薬機法」では医薬品に分類されないため、「〇〇に効く」などの効果効能を表現することはできません。そのため、本記事でもサプリメントの効果については、ややぼやけた表現になっています。
グルコサミンとコンドロイチンの役割
コンドロイチンは軟骨に存在するネバネバした物質で、潤滑剤の役割を果たしています。
グルコサミンは軟骨を構成するアミノ酸で、コンドロイチンはグルコサミンから作られています。
グルコサミンやコンドロイチンが少なくなると、関節のクッションがなくなり、関節が痛くなると考えられています。
オメガ3脂肪酸の作用
オメガ3脂肪酸はDHAやEPAといったもので、魚や植物油、ナッツなどに含まれている脂肪酸です。オメガ3脂肪酸は炎症を抑制する作用があるとされています。オメガ3脂肪酸は、炎症を誘発する物質を抑えたり、起きている炎症を収束に導いて組織を修復する作用があると考えられています。また、神経を保護する作用もあるとされています。
ヒアルロン酸やコラーゲンの関節サポート効果
ヒアルロン酸は前述したグルコサミンから作られ、軟骨を構成している成分です。人の関節炎治療では、ヒアルロン酸を関節内注射が行われています。関節の保護、修復に作用しています。
関節のクッションの役割をしている軟骨は、コラーゲンで細胞同士が結合しています。軟骨は年齢とともに減少するため、関節の痛みが生じます。コラーゲンは軟骨細胞の再生をサポートすると考えられています。
サプリメントの選び方と与え方のポイント
獣医師推奨の製品を選ぶ重要性
サプリメントは様々な企業から出ています。そのため、どれを選んでよいかわかりにくいと思います。サプリメントを開発している企業には、動物用医薬品を手がけていたり、動物用品を取り扱っている企業があります。そこで開発されたサプリメントは、効果についてのデータが取られており、獣医師による効果判定が行われています。動物病院で取り扱われている製品は、企業が獣医師にサプリメントの作用を説明しているため、より安心して購入できると思います。インターネットでも購入できますが、かかりつけ医が推奨するものを選ぶ方がよいでしょう。
関節炎のサプリメントには、魚油や甲殻類などを使用しています。そのため、アレルギー反応が出ることがあるため、獣医師に相談しながら選ぶことをお勧めします。
投与量や与えるタイミングの注意点
サプリメントは薬機法により、飲む時間や1回〇錠といった投与量の指定、飲み方を指定することはできません。そのため、サプリメントは1日の量を守って、どのタイミングで飲んでも大丈夫です。投与量が多い場合は、2回、3回に分けて飲ませましょう。
サプリメントだけじゃない!日常生活でできるケア
適度な運動と体重管理の重要性
関節炎は肥満傾向に多く、体重を関節が支えられなくなって痛みが生じやすくなります。さらに、動かなくなることで体重が増えるという悪循環にも陥ってしまいます。猫は運動による体重コントロールが難しいのですが、適度に運動しないとストレスが溜まり、食欲が亢進してしまいます。関節炎による痛みがなければ、遊びでストレスを発散させてあげましょう。また、食事の量をコントロールし、適正体重になるように調整しましょう。
関節に優しい環境作り
猫は上下運動を行う動物ですが、関節に対して負担がかかりやすくなります。そのため、関節炎のある猫はジャンプを嫌がったり、躊躇しながらジャンプする姿が見られます。段差はなるべく少なくし、スロープや階段を設置して関節への負担を軽減しましょう。また、滑りやすいフローリングは関節に負担をかけるため、マットなどで滑りにくくしてあげましょう。
定期的な健康診断で早期に異常を発見
高齢猫になると動きが鈍くなるため、関節炎に気づきにくいことがあります。7歳以上のシニア猫は、年に2回以上の健康診断が推奨されています。シニア期の健康診断メニューには、関節炎の好発部位である四肢の関節のレントゲン撮影が組み込まれていることがあります。早期発見できると、猫の苦痛が早く軽減でき、QOLの改善に役立ちます。定期的に健康診断を受けることで、様々な病気の早期発見が可能です。
サプリメントを試しても改善しない場合の対応
獣医師に相談するタイミング
サプリメントは副作用が見られないことから、気軽に始めやすいメリットがあります。しかし、サプリメントでは治療できないため、症状が改善しないからといって他のサプリメントに変えるのはよくありません。関節炎だけでなく、他の病気が隠れている可能性もあります。サプリメントで効果を実感できなければ、すぐ動物病院を受診するようにしましょう。
動物病院では、猫の状態や飼い主さんの希望を聞きながら、適切な治療を提案しています。治療が落ち着いたら、サプリメントで維持することも可能な場合があります。
リハビリや物理療法を活用する方法
人の整形外科でリハビリを受けている方もいるのではないでしょうか?動物もリハビリが適応になることがあります。インターネットで検索できますが、素人が知識なく行うとかえって悪化することもあります。また、リハビリは専門的な知識が必要となるため、リハビリが行える動物病院を受診することをお勧めします。
まとめ
サプリメントは手軽に始められますが、広告などに釣られてしまう可能性もあります。決して安い買い物ではないため、よく考えて購入されることをお勧めします。動物病院でも取り扱っているサプリメントもあるため、獣医師に相談して購入されるのがよいでしょう。
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