獣医師が解説:猫が虫を食べる理由と注意すべきポイント

獣医師が解説:猫が虫を食べる理由と注意すべきポイント

お外に行く猫ちゃんの場合、セミなどの虫をお土産に持って帰ってきた経験はありませんか?

持ち帰ってきた虫を、むしゃむしゃと食べてしまうなんてこともあるかもしれません。室内飼育の猫でも、部屋に入ってきた小さな虫に興味津々になり、ぱくっとくわえてしまったということも少なくないと思います。

今回は猫が虫を食べる理由について解説します。

なぜ猫は虫を食べるのか?その理由を徹底解説

なぜ猫は虫を食べるのか?その理由を徹底解説

猫の狩猟本能と虫への興味

野生で生活している猫は、自分で獲物を捕まえて食料としています。野生の猫たちは、小型の鳥や、ネズミ、トカゲなどの小さな動物や、セミなどの昆虫を食べています。そのため、猫の本能には小さな物に対し狩猟本能が働きます。飼い猫の場合、食べるために虫を捕まえるのではなく、狩猟本能が刺激されるために虫を追いかけて捕まえます。

屋内で猫が虫を見つける状況

外に出る猫であれば、草が生い茂っているところや木などに虫を見つけて、捕まえてくることでしょう。室内で虫を捕まえる状況としては、窓やドアから入ってきた虫を追いかけることもありますが、室内の昆虫といえばクモやハエ、ゴキブリなどを捕まえることが多いかもしれません。壁や家具の隙間に潜んでいる虫を見つけて捕まえます。

猫が虫を食べた場合のリスク

猫が虫を食べた場合のリスク

消化不良や嘔吐の可能性

室内飼いの猫は十分なフードを与えられているため、虫を食べる必要はありません。虫は食べなれないものであるため、消化不良や嘔吐を起こすことがあります。虫の中には体液に苦味を持つものがいるため、嘔吐したりよだれが出ることもあります。

有毒な虫(ハチやムカデなど)を食べた場合の危険性

ハチやムカデなどの有毒な虫は、刺されたり噛まれたりして、そこから毒が注入されます。激しい痛みに襲われますが、喉が腫れあがることがあり呼吸困難を起こすことがあります。特にハチは、場合によってはアナフィラキシーショックの原因を起こし命にかかわることもあるため、注意が必要です。

寄生虫や細菌感染のリスクとその影響

ノミは屋外だけでなく室内でも悩まされる小さな虫です。ノミには瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)と言う寄生虫を含んでおり、グルーミングで猫の体内に取り込まれます。そして猫の腸で成長し、猫の腸から栄養を横取りします。そのため、下痢や栄養失調になることがあります。猫の便に、卵を含む片節を排出し、それをノミが食べることでまた感染サイクルが成立します。

ハエ、ゴキブリなどの衛生害虫は、体の中にサルモネラ菌などの病原性のある細菌を持っているため、胃腸炎などを起こすことがあります。嘔吐や下痢、食欲不振などを起こすことがあります。

猫が虫を食べた後に注意すべき症状

猫が虫を食べた後に注意すべき症状

嘔吐や下痢などの消化器症状

食べ慣れない虫を食べると、一時的に嘔吐や下痢が出ることがあります。すぐに治ることもありますが、病原性細菌や寄生虫の感染が起こると、消化器症状が長く続きます。適切に治療をしないと治らないこともあります。

元気がなくなる、食欲不振のサイン

病原性細菌や寄生虫の場合、激しい胃腸炎症状を起こすことがあるため、食欲がなくなることがあります。また、栄養吸収が妨げられることにより元気もなくなってきます。

アレルギー反応や腫れが見られる場合の対応

ハチやムカデといった有毒昆虫を食べた場合、その毒により刺された場所が腫れあがってきます。よく見られるのが口の周りですが、口の中や喉のあたりを刺されて腫れあがると、呼吸困難になることがあります。また、アナフィラキシーショックを起こすことがあり、意識がなくなる、口の中が青白くなる(チアノーゼ)、泡を吹く、嘔吐を繰り返すなどの症状が起こります。これらの症状は、刺されてから30分以内に起こることが多く、適切に治療しないと命にかかわります。有毒昆虫を食べてしまった場合は、様子を見ないで動物病院を受診するようにしましょう。

猫と虫のトラブルを防ぐための予防策

猫と虫のトラブルを防ぐための予防策

室内環境を整えて虫の侵入を防ぐ方法

虫は窓やドアの隙間から入ってくることが多いです。網戸が破れていたり、ドアを開けておいたりすると入ってきてしまいます。虫が入って来ないように、隙間を塞ぐようにしましょう。

ゴキブリは排水溝などからもあがってくると言われています。ゴキブリが食べるようなゴミなどは、すぐに蓋のあるゴミ箱に捨てるようにしましょう。

定期的な駆虫薬の使用と健康診断の重要性

虫の中には寄生虫を媒介するものもあります。定期的に駆虫薬を使用することで、ノミやダニが体につくのを防ぐことが可能です。また、駆虫薬の中にはお腹の虫下しを含む物もあるため、腸管内に入ってしまった寄生虫も駆除できます。

また、飼い主さんが寄生虫感染に気づいていないことがあります。健康診断で糞便を定期的にチェックしてもらうと、寄生虫の卵が見つかることがあります。

猫が虫を食べた場合の対処法と獣医師への相談タイミング

猫が虫を食べた場合の対処法と獣医師への相談タイミング

虫を食べた直後に行うべき確認事項

万が一虫を食べてしまっても、ほとんどの場合が何事もなく済んでしまいます。しかし、ハチなどの有毒昆虫、ゴキブリなどの衛生害虫は観察が必要です。嘔吐や下痢、口などの腫れ、アナフィラキシーショックの症状がないか確認しましょう。

猫は虫を丸呑みせず、まず遊んで弱らせます。そのため、虫の羽や足などが取れて落ちていることがあります。もし、何の虫かわからない場合、虫の羽などが落ちていないか確認しましょう。

異常が見られた場合の緊急対応

異常が見られた場合、すぐに動物病院に連絡しましょう。夜間や休日の場合は、かかりつけ病院が開くのを待つのではなく、すぐ診てもらえる病院を探しましょう。そして、電話にて獣医師に指示を仰ぎましょう。

有毒動物の場合、痛みから興奮状態になることがあります。タオルなどで包んで洗濯ネットに入れて受診しましょう。

アナフィラキシーショックの場合、心停止することがあります。万が一心停止している可能性がある場合、すぐ動物病院に連絡し、獣医師から心臓マッサージの方法を確認しましょう。

獣医師に伝えるべき情報と相談時のポイント

動物病院に連絡する時に、「何の虫」を「いつ」食べたか、「今の症状」はどうなのか、「何分くらいで到着するか」を伝えてください。症状によって、動物病院は緊急の対応ができるように準備をして待っています。もし、何の虫かわからなくても、落ちている羽などからわかるかもしれません。疑わしい時にはまず相談しましょう。

まとめ

まとめ

虫の中には、猫の健康を害するものがあるので、極力出会わないように対策しましょう。もし食べてしまったら、慌てずに動物病院に連絡をし、何か異常が出ないかを観察しましょう。間違っても、虫をくわえている猫に殺虫剤をかけないようにしましょうね。


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