獣医師が教える!猫が誤飲・誤食しやすいものランキングと対処法

獣医師が教える!猫が誤飲・誤食しやすいものランキングTOP5と対処法

猫の困った行動の中に、誤飲・誤食があります。誤飲・誤食は食べてはいけないものを食べてしまう行動ですが、猫を飼っているのであれば一度は経験したことがあるのではないでしょうか。今回は猫が誤飲・誤食しやすいものについて詳しく解説します。

猫が誤飲・誤食しやすい理由とは?獣医師が解説する行動の背景

猫が誤飲・誤食しやすい理由とは?獣医師が解説する行動の背景

猫の習性と誤飲・誤食の関係

猫は本来狩りをして獲物を捕まえ食糧とします。誤食で多いものに「おもちゃ」がありますが、猫のおもちゃは狩りの本能を刺激します。そのため、おもちゃなどで遊んでいて、獲物と勘違いして飲み込んでしまうと思われます。

また、猫の舌はとげがまた、誤食で多いひもやビニールなどは、口で噛んでいるうちにどんどん飲み込んでしまうケースも少なくありません。

好奇心旺盛な猫が引き起こす事故の実態

誤飲・誤食を1回でも起こした猫は、再度事故を起こしてしまう傾向にあります。猫は本能的に行動する動物です。興味があるもので遊んでしまうことがあります。例えば、有毒な観葉植物や花、クッションマット、ねずみのおもちゃなどは誤飲・誤食の危険性が非常に高いものです。人の薬などは、小さくてよく転がるため、誤って飲み込んでしまい大きな事故につながることもあります。

年齢や環境によるリスクの違い

高齢の猫の誤食は少なく、年齢が若い猫の方が誤食リスクは高いように思えます。おもちゃが常に出しっぱなしだったり、物が猫の手の届くところにある環境では事故が多いように感じられ、飼い主さん自身が誤食に気づいていないケースが多く見受けられます。

猫が誤飲・誤食しやすいものランキングTOP5

猫が誤飲・誤食しやすいものランキングTOP5

猫の誤飲・誤食をランキング付けした統計はありません。筆者自身の経験に基づいてランキング付けを行っております。参考にしていただけたら幸いです。

1位 猫のおもちゃ類

1位 おもちゃ類

猫のおもちゃの誤食事故が一番多いのではないでしょうか。猫のおもちゃの中にはウサギなどの毛皮や羽毛を使用しているものがあり、獲物と勘違いして飲み込むケースが後を絶ちません。よく誤食されるのはネズミ型のおもちゃです。さらに、ひもがついているものも多く、おもちゃと一緒にひもまで飲み込むことも多くあります。猫は5㎝くらいまでの物は飲み込むことができてしまい、ネズミのおもちゃを丸ごと飲み込んでしまうケースもよく見られます。

これらのおもちゃは中身がプラスチックであるため、消化されることはなく消化管にとどまってしまいます。また、吐き出そうと思っても大きさによっては吐くこともできません。消化管が完全に詰まってしまうと、何度も嘔吐を繰り返します。最悪の場合、腸管が破れてしまうこともあります。そのため、誤食したと思ったら、動物病院での対処が必要です。

2位 ひも・ビニール・ゴム類

2位 ひも・ビニール・ゴム類

猫はひも・ビニール・ゴム類が大好きです。おそらく動きが小さな生き物やヘビのように見えたり、本能が刺激されるからと思われます。猫の舌はトゲがあるため、遊んでいるうちに飲み込んでしまうことがあります。これらの物は、消化管で詰まってしまい消化管閉塞を起こすことがあります。また、喉の奥や消化管に引っかかってしまい、腸管などが引っ張られて縮れ、腸管に大きなダメージが加わってしまいます。最悪の場合、腸の一部が破れ腹膜炎などを起こす可能性もあり、手術が必要となります。

何度も嘔吐を繰り返す、食欲がない、元気がない、お腹を触ると痛がるなどの症状が現れます。

電源のケーブルもかじることが多く、感電のリスクもあります。

3位 クッションマット・スポンジ類

3位 クッションマット・スポンジ類

クッションマットのつなぎ目やコーナーのところをかじって飲み込んでしまうケースが多くあります。一度に飲み込む量が多いため、胃の中で止まってしまったり、腸管を閉塞させてしまいます。クッションマットだけでなく、サンダルの裏側、食器用スポンジなども誤食でよく見られます。吐かせる処置を行っても吐けないことが多いため、内視鏡や開腹手術によって摘出します。

他のものと同じように嘔吐、食欲不振、元気がないなどが症状になります。早く処置をしないと消化管のダメージが大きくなります。

4位 人間の食べ物

4位 人間の食べ物

人間の食べ物はおいしいにおいがするため、猫にとってはごちそうです。しかし、猫の体には有害なものもあります。猫の誤食で多いものは、チョコレートやケーキ、肉、魚などになります。多くの場合、問題なく経過しますが、魚や鳥の骨などは刺さると消化管を大きく傷つけてしまいます。また生の肉や魚は寄生虫などの問題もあります。チョコレートは興奮作用があり、最悪の場合不整脈などを引き起こしてしまいます。

食べ物の誤食は食べた跡があるため、ほとんどの場合すぐに気づけます。ゴミ箱を漁ってしまった場合、何が入っているかわからないため、注意が必要です。何か食べた形跡があればすぐ動物病院に相談しましょう。

5位 有毒植物、医薬品

5位 有毒植物、医薬品

観葉植物や花には有毒な物があります。また、飼い主さんが飲んでいる薬に興味を持ち、飲み込んでしまうこともあります。症状は誤飲・誤食したものによって異なりますが、嘔吐や下痢、よだれ、けいれんから、最悪の場合亡くなることもあります。花瓶の水を舐めただけでも中毒症状が起こることもあります。医薬品の場合、成分によって中毒症状を起こしますが、医薬品を包んでいる外装ごと飲み込んで、消化管を傷つけることがあります。

緊急時の対処法:猫が誤飲・誤食してしまったときの対応方法

緊急時の対処法:猫が誤飲・誤食してしまったときの対応方法

獣医師に相談するタイミングと必要な情報整理

誤飲・誤食に気づいたら、すぐに動物病院に相談しましょう。「そのうち出てくるよね」と楽観的に考えていると、手遅れになってしまうかもしれません。誤飲・誤食に気づいたら、「何を」「いつ」「どれくらい食べたか」を獣医師に伝えてください。正確にわからなくても、だいたいの時間や疑わしい物でも構いません。誤食をする猫は何回でも繰り返します。普段から何か口にする癖がある場合、その旨をお伝えください。

誤飲・誤食時のNG行為とそのリスク

誤飲・誤食をしたら慌ててしまうと思います。取り出そうと口に手を入れてしまうと、噛みつかれてしまうかもしれません。口や肛門からひもや糸が出ている場合、引っ張ったら取り出せそうな気がしますが、腸管のどっかに引っかかっているかもしれません。無理に引っ張ると腸管が避けることもあります。また、インターネットには食塩水を飲ませるなどの対処法が載っていることがありますが、誤食した内容によってはNGになりますので、まず動物病院に連絡してください。飲み込んだもので対処方法が変わってきます。

猫の誤飲・誤食を未然に防ぐための予防策

誤飲・誤食しやすいものを置かない

誤飲・誤食を防ぐには、これ以外はないでしょう。誤飲・誤食しやすいものは絶対に猫が取り出せる場所には置かないようにしましょう。おもちゃやひも類などは出しっぱなしにせず、必ず片づけることが大切です。植物などは飾らない方がよいでしょう。

おもちゃの選び方のポイント

誤食の原因となるおもちゃは、猫の口の中に入る大きさのものが多く、ウサギなどの毛皮が使われていることが多いです。また、ひもがおもちゃについているものもあり、ひもまで飲み込んでしまうことがあります。おもちゃは口の中に収まらない大きさで、毛皮などを使用していないもの、ひもがついていないものがよいでしょう。

おもちゃは消耗品なため、壊れかけたおもちゃを誤飲してしまうことがあります。少しでも壊れてきたら、直してまで使い続けず新しい物に交換しましょう。

愛猫のストレスを軽減する環境整備

好奇心旺盛な猫は、退屈になるとおもちゃになるものを探します。ゴミ箱を倒して漁ってしまうかもしれません。普段から退屈しないように上下運動ができるキャットタワーなどを設置しましょう。窓の外が見えると気分転換になります。飼い主さんが遊んであげることも大切です。しっかり体を動かすと本能が満たされます。遊んだ後はおもちゃを片づけることを忘れないようにしましょう。

まとめ

まとめ

猫の誤飲・誤食は、本能によって起こることが多く、気づかないうちに飲み込んでしまいます。一度でも誤飲・誤食を起こすと、何度でも繰り返します。誤飲・誤食をしたら様子を見ず、必ず動物病院に相談しましょう。よく何かをかじっている猫が嘔吐や食欲不振が起きた場合、誤食している可能性が高いです。その場合も早めに動物病院を受診しましょう。

そして、誤飲・誤食を起こさないためには、口に入れそうなものを猫の手の届くところに置かないよう、環境整備をしっかりして予防しましょう。


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